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どうして岡村隆史が批判されてはならないのか

例の岡村隆史氏によるオールナイトニッポンでの発言の件。

ハッキリ言って、反応している人たちが、とてもヒステリックな状態で、なんら道理をもって話してない。

その理由は明らかで「岡村隆史という個人は、風俗の利用者ではあっても、その経営に関わっているわけではない」のだし、
また「貧困のせいで風俗に行かなければならない女性がいるとすれば、それは社会保障の不備であり、その責任は岡村隆史にはない」からである。

今回、この問題に対して反応した人の中に、NPO法人ほっとプラスの藤田孝典氏がいるわけだけれども、
彼は以前「ファミマ!こども食堂をやる」というときにも、真っ先にそれを批判していた。
それはまさに「非正規労働者を活用することで成り立っているコンビニエンスストアの本部は、貧困を生み出している側であり、それまで貧しい状況にある子どもに少しでも良い環境を与えるためにやってきた「こども食堂」という行為を、貧困を生み出している側が換骨奪胎するべきではない」という批判であった。

僕はこのファミマ!のこども食堂に対する藤田氏の批判はまったくその通りだと思う。

理由は上記の通り「コンビニエンスストアの本部は貧困を生み出している側」であるからだ。
貧困を生み出してそれを自らの利益にしている側が、その利益のほんのわずかをさも「貧困問題に対応している」かのように装うのは「嘘」だからである。

例えるなら、山賊が襲った旅人に対して、「衣服と、1日分の宿賃だけは返してやる」と言っているようなもので、だからといって「山賊はいい人」というのは嘘であろうということだ。

だが、もしこれが「コンビニエンスストア」という存在そのものや、そこで働く店員や加盟した店主、そして利用する客などを「お前らがそんなところを利用するから悪いビジネスモデルが発展するんだ!」と批判していたとすれば、当然「それは違う」と批判した。

今回、岡村隆史氏の件はまさにそれである。

たとえ「生活に困った女性が風俗に落ちる」という構図があるにしても、少なくともその商行為が違法ではない限りにおいて、それは風俗の客でしかない岡村隆史氏のせいではないのである。

もしこれが風俗の経営者が「コロナ騒ぎで困った女が働きに来るので、上玉が入ってくる」などと言っていたら、これは批判してもいいだろう。しかし、それは客である岡村隆史氏には一切関係のないことである。

また、「コロナ騒ぎで困った女性が風俗に行かざるを得ない」というなら、それは行政による社会保障の不備という問題である。

この2点は最初に言ったことを繰り返しているのだが、それはまさにこの「その状況に対して何らかの打つ手を持っている立場か、立場で無いか」という部分が、一番最初に書いた「道理」であると僕は考えているのである。

少なくとも、岡村隆史氏という人は、その立場にないのだから、道理として批判されるべきではないのである。

だいたい、岡村隆史氏を批判したところで何が解決するのか。

岡村隆史氏が仮に「チコちゃんに叱られる」を降板したところで、貧困理由で風俗に行かざる得ない女性が一人でも救えるのだろうか?

ぼくはそうした「的を大きく外した批判」が大っ嫌いである。

批判だけして気持ちよくなって、実態はなんら進展し無いし、いっさい解決しない。それは結局「風俗嬢を自分の気持ちよさだけに利用する」という点で、風俗利用者と同じでは無いか。
いや、風俗利用者は少なくとも女性にお金を支払っている。お金を支払わず気持ちよくなっている方が、よほど女性から搾取しているではないか!

僕がここまで怒るのは、それがまさに「就職氷河期世代を見殺しにした論理」と同じだからである。

「彼ら」は就職氷河期世代に同情するフリを見せながら、その実、同情以外の何もしていない。
いまさら、就職状況が良くなったところで「今の若者」は幸せでも、「すでに若者では無くなった氷河期世代」には何ら幸せではない。
いわば僕たち就職氷河期世代は「貧困理由で風俗に行かなければならない人」と同じ立場なのである。
たったそれだけのことすら、ろくに認識しない人たちがたくさんいるのである。

にもかかわらず、こんなときだけ対象が女性だからとしゃしゃり出て、ドヤ顔で個人を叩いている。僕には滑稽でしかない。

言っておくが、サヨクガーという話ではない。これを「フェミガー」と騒いでいる連中も、ほとんどは今の社会体制を支持している。同じ穴の狢である。

そもそも、民主主義である日本社会が、今の「経営者や正社員ばかりを優遇し、そのために非正規を使い潰す社会」となっているのは、日本社会に所属する選挙権を持つ者、すべての責任である。

日本人は、今の時代のせいで貧困に陥らざるを得なかった人たちを救い出す責任がある。その状況に対して日本人は打つ手を持っているのに何もしないのだ。

今回の問題で叩くべきは岡村隆史氏という個人ではない。
叩かれるべきは「貧困理由で風俗に行かざる得ない女性という存在を生み出している我々自身」である。

岡村隆史氏を叩いている人も、その叩いている人を叩いている人も、そこをまったく理解できていない。だからこそ、日本には格差がはびこり続けているのである。

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フリーライターの赤木智弘です