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「表現の自由」における「受け手」と「送り手」の話

Twitterに「表記おかしくね?ここ日本だよな?」という投稿がされた。
見ると、ゆりかもめの車両のドアの脇に、中国語の簡体字と韓国語のハングルで、路線の駅名表記がされている画像だった。

その投稿者は「10カ国以上の国を訪れたことがあるが、自国の言語と英語以外をこれだけ表記している国は、見たことがない」というツイートを続けていた。
当然、このツイートは、いわゆる「ネトウヨ」の目に入ることになり、ゆりかもめが中韓に乗っ取られたなどと、批判の的となった。

こうした「公共交通機関に中国語や韓国語を記載することに対する批判」は、TwitterなどのSNSを中心に、ここ数年繰り返されている。
しかし、中国語や韓国語を併記することの根拠は明確にある。

日本政府観光局(JNTO)の調べによると、2017年の訪日外客数は約2869万人。うち約2471万人がアジアから訪日している。
国別で多い方から並べると、中国から735万人、韓国から714万人、台湾から456万人、香港から223万人。次にようやくアメリカが出てきて137万人である。
上位4つを足すと2128万人。つまり訪日外客数の3/4は中国、韓国、台湾、香港という4地域からの訪日なのである。これが公共交通機関に中国語や韓国語が併記される数的根拠である。

また、法的にも「観光立国推進基本法」などで、外国人観光客の利便性などの確保を求めることが要求されており、駅名の中国語韓国語表記は、それらに基づいた施策であるといえる。

これらが多くの公共の場で行われた事により、徐々に我々の目に中国語や韓国語の案内が目につく用になった。それに対する強い批判が一部で起きていたことは確かだ。だが、それは中韓憎しのあてつけであることは明らかではあった。

しかし、そんなあてつけにも一点だけ理があった。それは「中国語や韓国語が読めないので、乗り換えなど急いでいるときにに困る」という主張であった。
電光掲示板の文字切り替えは短い時間ではあるが、確かに日本語が表示されない時間もあり、それが困るというのはそれなりに納得できる批判理由と言える。

だが、今回の場合はそれとは事情が異なる。批判されたのはドアの脇に貼られた路線図シールである。そして、日常的に電車を使う大半の人は「ドアの上に基本的な路線図がある」ということを知っている。そして実際、ゆりかもめも例外ではなく、日本語をメインに書かれた路線図がドアの上に大きく掲示されているのである。中国語と韓国語の路線図ステッカーは、あくまでもドアの端に張ってある補助的なものにすぎず、日本語が表示されない状態というものは存在しないのである。

この写真上部が、日本語をメインにした路線図、ドアの左わきにはられているのが、件の中国語と韓国語の路線図ステッカーである。

つまり、今回の件については、電光掲示板のような切り替え問題は存在しておらず「中国語韓国語が表示されている」そのこと自体が批判されているのである。それにもかかわらず騒いだ人たちがいた。つまり予想通り、「乗り換えで時間が云々」も中国語や韓国語を憎しがための、批判に過ぎなかったことが、今回の件で明確になったと言えるのだ。
結局、公共交通機関の中国語、韓国語表記を嫌う人たちは、要は「中国語や韓国語を見たくない」から騒いでいる以外のなにものでもないのである。

さて、ここから本題。
僕はふと別の騒ぎを思い出した。それは1つではなく、いくつかの騒ぎだ。

池袋マルイでの「太もも展」の中止騒ぎ「碧志摩メグ」を志摩市が公認したときの騒ぎ。そして美濃加茂市での「のうりん!」ポスター騒ぎなどなどである。

有り体に言えばこれらの表現に対して排除の姿勢を示した人たちの基本的な主張も「それを私は見たくない」であったと僕は見ている。
性的搾取だ、子供が見たらどうするのかなどの批判はあったが、それらも根拠なきあてつけである。

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