組織の強さ


組織の強さとはなんでしょうか?


日本一になることですか?


試合での優勝や勝利ですか?

組織は個人の集合体です。そこには様々な価値観を持ち、異なるバックグラウンドをもった人が所属しています。

個人の強さとは単純に技術であったり、人としての強さであったり、ある程度どうしたらいいかがわかるものだと感じています。もちろん努力の方向性を理解しているという前提で。

なぜなら主語が自分だからです。

そのとき自分が何を感じ、何をしたいと思い、何を目標に設定しているのか。自分のことなのでよくわかります。

ですが、それと同じレベルで他者を理解することはできません。類推することはできても完全な理解はできないでしょう。

だからこそ個人の集合体である"組織"はなかなかまとまらないのです。簡単には団結しないのです。

組織が崩壊するのも、固く団結するのもほんの些細なことがきっかけで起こります。誰か一人の影響で良くなることもあれば、悪くなることもある。違和感を無視していると、しばらくしてそれが大きな問題となり、手遅れになる。

"組織"は生きものだと思います。正しく育てれば強くなり、歩み寄ろうとしなければ弱くなる。

組織を強くするのは難しく、だからこそ面白い。



最初の問に戻ります。

組織の強さとはなんでしょうか?

私はこう考えます。

絶対にベンチ入りできないとわかっていながらも、毎日素振りを続けることのできる選手の数が多いこと


野球をやったことがないのに野球で例えてしまいました。

別の競技でも同じように当てはめることができるでしょう。


絶対にベンチ入りできない選手は試合に出ることができないので、素振りをしたところで、野球の技術を向上させたところでチームの勝利に直接貢献することができないのは明白でしょう。意味が無い行動にも思えます。

本当にチームの勝利を願うなら、レギュラーのサポートをしたり、分析をしたり。もっと他にやることがあるだろうと。

でも私はこの行動にはとても大きな価値があると信じています。
さらに言うと、レギュラーではなく実力的には下の選手が行うことにこそ意味が生まれると思っています。


素振りをすること=技術の向上が目的ではありません。たとえベンチでもスタンドでも、レギュラーでも非レギュラーでも、努力する姿勢を見せるということに意味があるのだと思います。


素振りは自分のための努力ではありません。後輩のための努力です。今の後輩に背中を見せる、そして自分がいなくなった後も努力し続ける伝統を未来の後輩に残す、そこに自身の存在意義を見出しています。しかも、それがやらされているのではなく、自ら意思決定してやっているということがポイントだと思います。


自分のためという内向きのベクトルではなく、他者のためという外向きのベクトルで努力できる(もちろん自分のためになることが他者のためになる、またはその逆が望ましいと思います)人間が多い組織は自ずと視野が広くなり、相手が何を考え、何を感じ、どうしてその行動を選択したのかということに想いを馳せることができます。


「ダイヤのA」という好きな漫画があります。青道高校という強豪校の野球部が舞台となるのですが、そこに渡辺という3年生が出てきます。彼は選手としてはベンチ入りできる実力ではないことは自分でも気づいています。しかし、相手の分析という点でバリューを出し、チームに貢献しています。では、渡辺は練習をせず分析だけを行っているのでしょうか?実は練習にも参加しており、練習後の素振りも行っています(監督からはマメがほとんどできていないことから取り組みが甘い、しかしこの新しいマメは毎日行っていなければできないものだと言われています)。

なぜ渡辺は選手としては活躍できないのに素振りを続けるのでしょうか?本人はチームのためや、入部以来ずっとやっていたから落ち着かなくて、と言っています。本人は意識していないと思いますが、チームのためを思った行動は他の人と比較するとわずかな違いでしかありません。しかし、その積み重ねが周囲からの信頼となり、チームへの貢献量へと繋がっていくのだと思います。

素振りが直接的な原因ではないと思いますが、渡辺はチーム内で確実に信頼関係を築いています。もちろん彼が自ら選手を諦め、素振りもやめてしまったら周囲から信頼を得ることは難しいでしょう。ですが、彼は逃げずにやり抜いた。分析も時間がかかることであるのは部員も理解しているでしょう。だからこそ質の高い、細かい分析を毎回してくれることに対して、その裏にある努力を推し量ることができ、信頼につながっているというわけです。


漫画では、監督から「自分のためにもバットを振れ」と言われています。これは外向きのベクトルだけでなく内向きのベクトルでも努力できるようにしろ、というメッセージだと思っています。やはり両方のベクトルで努力できた方が良いですね。



なんだかまとまりませんが、組織の強さとは

組織のために自発的に行動できる人が多いこと


ではないかと思います。


その上で個々のスキルアップに注力していくことで、より強い組織になっていくのではないでしょうか。


最近ではエンゲージメントの高さも大切だよな〜って感じてます。それが"自発性"に込められていると思ってください。やらされているのではなく、やっているのです。


青道高校はエンゲージメントが高く、良い組織だと思うので、漫画を読んで何故エンゲージメントが高いのか、自発的に行動できるのかを考えてみると良いかもしれません。自分ももう一度読み直してみます。


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