「60名→1700名」組織拡大の真ん中にいた僕がメルカリで向き合う次の壁
こんにちは、石黒といいます。2015/01にメルカリにJOINして人事と採用のど真ん中でずっと走ってきました(つもりです…)。
ミッション達成のために採用をし続けてきました。頼もしい、大好きな仲間がたくさん入社してくれました。
しかし、人の採用が進み、組織があれば、そこに組織的課題は大なり小なり生まれます。
このnoteで伝えたいこと
このnoteで伝えたいこと先に書きます
- [組織課題]に向き合う僕たちは今、「期待値の整合(=expectation alignment)」の重要性を実感している
- [組織課題]の解決はリレーのようなもの。バトンの渡し方、すべての走者が重要である
ミッションとバリュー
メルカリはミッションとバリューを大切にする会社です。
例えば募集要項の「応募資格」の「必須条件」にこのように書いています
20人の頃に作った(と言われる)メルカリのバリューやミッションは1,700人を超えた今も、採用基準や評価基準、そして何より意思決定など日々の行動基準として大切にされています。
一方で事業の拡大とともに組織が大きくなり、ミッションやバリューの理解や捉え方も多様化してきています。仕事の進め方や仕事をする上での「当たり前」も多様化し、いわゆる「組織課題」も人と人をつなぐ糸の数だけ原理的には増えていくことになります。
数年前は耳にしなかった人事制度への不満、マネージャーへの不満、経営への不満の声を少しずつ聞くようになりました。わかりやすいよう「不満」と書きましたが、何かあったら役割や立場、性別、国籍、入社年次に関わらずオープンに意見を伝え合うことができ、「改善すべきことは改善し、健全な状態を目指し続ける組織」であることはメルカリの誇りです。
カタいこと書きましたが…世間ではおそらく「いい会社」だと思っていただいているメルカリでも、組織課題はたくさんありますよ、ということをお伝えしたいと思います。
EA(=Expectation Alignment)を知った
さて、僕は今年の2月から採用のミッションから離れ、組織開発・人材開発(Organization&Talent Developmentチーム)のマネージャーを担っています。先日ある本を読んで、これだと思ったキーワードがありました。
EA(=Expectation Alignment)
すごく直感的ですが「あ、これだな!」みたいな感覚があって。すぐチームのSlackに書いたんですよね。
詳しくは私の友人である @tommygfx90 のnoteに書いてあります。
おそらく今後、人事や組織の世界ではEXやeNPSという言葉と同等、もしくはそれ以上にEA(=Expectation Alignment) という言葉が重要視され、大切にされていくものになると確信しています。本の紹介はこちら。
本書によるとEA(=Expectation Alignment)とは
従業員の主観的実体験が、その人の期待していた職場体験とどれだけ一致するかを指します。
と書かれています。彼のnoteや本書から、関連を一部抜粋を掲載します
ベゾスはAmazonのカルチャーについて明示的にこう言っている。
Amazonで働くのは決して楽ではない。Amazonで働くことは極めて重要なものを作ることであり、常に顧客が最優先で、孫に誇れる仕事をする場所なんだ。だからとにかく優秀で結果を残すハードワーカーだけを評価する。(中略)ハードな環境のため、離職率も高い。しかし、Amazonが明確なのは「ワークライフバランス」のスコアも、「離職率」のスコアも、Amazonにとっては重要ではないということだ。そしてそれを明示し、そこに期待する人はAmazonは合わないと最初から言い切っている。つまり、彼らが大切にする価値観が彼らが発信するメッセージから大変クリアで白黒ハッキリしているため、変な期待値はそもそも生まれないのだ。
Expectationは自然に積み重なっていく
期待(Expectation)というのはあらゆる接点や情報によって人々の中に積み重なっていきます。例えば、メルカリの採用戦略として「採用ブランディング」を強化してきました。「メルカン」や外部メディアにを通じて、経営陣やメンバーの考え、また社内の情報をなるべくありのまま伝え、そこに合う人にだけ応募してもらうことを目指しました。
どんな人がマッチして、どんな人がマッチしないのか、それを明示することで応募者=採用者になればいい、と思いながら取り組んでいました。
(勝手ですが)きっと他社よりも「メルカリはこういう会社だろう」という期待が積み重なりやすい会社だと思っています。
そして、いろんな物を包み積み重なった期待値が入社後の体験とギャップがなければいい(それを超えた経験なら最高だ)。ですが、もしギャップがあったら、それはExpectation Gapと呼ばれます。
「カオス」であること
メルカリに入社したメンバーはよく「入社して想像以上にカオスで驚いた」と表現します。これは面白いなwと思うのですが「想像以上に」と言われます(笑)その状態をポジティブに捉え「やれることがたくさんある!」と言ってくれるメンバーを本当に頼もしいと感じる一方、「”カオスに見えない”のはよくないな…」と感じていました。設立まだ6年、100人を超えてまだ4年しか経っていません。当然カオスです・・そして、カオスな状態自体を悪いことだとは思っていません。
2019年5月、メルカリの採用ページをリニューアルしました。その中に、はっきりとこの文字が入っていました。
そんなメルカリが、創業期から今でも変わらないことがあります。それは常に「カオス」であることです。事業や組織が急拡大するなか、誰も経験したことがない未知の課題に、数多く直面してきました。しかし、どんな状況においても、正解のないカオスな状況を楽しみながら、失敗を恐れず、「Go Bold(大胆)」に挑戦する。そうすることでメルカリは、一歩ずつ地道に、ミッションの達成に向けて歩み続けることができました。
メルカリはまだまだスタートアップであり、未完成な企業です。メルカリを世界中のお客さまに使っていただけるサービスに発展させるためには、今以上に国や言語、カルチャーの異なるメンバー同士が学び合える、グローバルテックカンパニーへと成長する必要があります。これは、かつて多くの日本企業が世界で成功してきたように、不可能なことではありません。もちろん、数多くの困難や失敗もあるでしょう。しかし、それこそが事業や個人を強くし、成長させると、私たちは信じています。
オフィシャルな、カオス宣言ですね。
そう、メルカリはとてもカオスな状態です。事業や組織が急拡大する中で、あらゆる意思決定があらゆる場所で日々されています。そのスピードは本当に凄まじく、直近1年くらいでしょうか、経営にも現場にも近い(と言われる)人事という立場の僕でさえ「情報がとりきれていない…」と思うことが出てきました。
WHYがないコミュニケーションはつらい
突然ですが、WHYがないコミュニケーション、つらいですよね。
・背景説明がないアノ業務依頼
・実施の理由がない施策
・結果だけ聞かされる人の採用や異動
メルカリでは、組織サーベイやマネジメント向けのサーベイを実施しています。前四半期に実施したサーベイの結果として、メンバーが期待することの第一位は
「意思決定の意義や背景を明確に伝える」
という項目でした。オーナーシップを大事にするメンバーが集まっているので、とりわけ「Why」が欲しいのです。「Why」さえあれば、すぐに走り出せるのです。
すべてのコミュニケーションは「WHYから始めよ」です。
「WHYの欠落」
彼のブログからまた抜粋します。
EXというコンテキストにおける真の主人公は誰かと言ったら、ミドルマネジメントに他ならない。どれほど組織のトップやボードメンバーがWHYから懇切丁寧に伝えても、組織の末端までギャップ無く腹落ちレベルで響かせるのは至難の技だ。EAの文字通り、期待値のアライメント(調整)をど真ん中で愚直にやり続けるのが組織上下の噛み合わせを左右する中間管理職のミドルマネジメントなのだ。
100人を超えた組織で「上から下、右から左まで全く同じメッセージで腹落ち感あるコミュニケーションを取る」ことは簡単ではありません。メルカリは「あらゆる発信」をうまく使っている会社だと自負しています。それでもパーフェクトになんかできていない。逆に言えば、改善点は山ほどある。
そして僕はひとりのマネージャーとして、このコミュニケーションというものに向き合っています。失敗事例なら何時間でも話ができます。。。僕に限らず、あらゆるマネージャー達があらゆる工夫をしてメルカリが大切にしているミッションとバリューを拠り所に、メンバーとのコミュニケーションに腐心しています。組織のど真ん中で、愚直に。組織上下左右の噛み合わせを少しでもよくするために。
1on1の話
マネージャーとメンバーとのコミュニケーションの方法は色々ありますが、僕たちは1on1を大切にしています。
社内にはSlackやチームミーティングなど 1:n のコミュニケーションが比較的多いのですが、1:1 で向き合える1on1の時間は個別に「テコ」を効かせることで成果を最大にし、それがまた人の可能性を最大にすることができる(と信じている)からです。
冒頭に書いたとおりメルカリ社内にも様々な1on1があります。メンバーのバックグラウンドが多様だからです。
上記は、私達が実施しているサーベイのフリーコメントで記載があった1on1についての一部のメンバーの声です。感謝の声も改善を求める声もあります。これこそがExpectation Gapです。
社内では当たり前に実施されている1on1ですが、だからこそ(人的コストもかかっているわけなので)より戦略的に、より効果的に1on1の時間を活用して欲しいと思い、半年前から社内で1on1Workshopを実施しています。
メルカリの[1on1 Workshop]公開講座やります
突然ですが、この社内で実施している[1on1 Workshop]を公開講座として6/25(Tue)にメルカリオフィスでやってみることにします(Tweet)。メルカリが今あらためて注力するEAの中の”ほんの一部”の取り組みではありますが、会社と従業員が期待値をAlignmentするリレーがあるとしたら、マネージャーがやっているメンバーコミュニケーションは第三走者のようなものです。とても意味があり、大切な時間だと感じています。
<概要>
日時:6/25(火)19:00~21:00
場所:株式会社メルカリ 東京都港区六本木6-10-1 (詳細別途)
人数:12名(当日キャンセルはご遠慮ください)
<募集対象>
・1on1を導入している/もしくはしようとしている企業の経営者及び人事担当(1人でもOKですが、効果の観点から2人での参加を推奨します)
・本Workshopへの参加後、お持ちのblog/note等に感想・Workshop内容を投稿いただける方
・(いろいろ書きましたが)お気軽にご応募ください
EA(=Expectation Alignment)のHowの一つとして大切な1on1、この機会に一度私達の「共通認識のつくりかた」を体験いただき、皆さんからのフィードバックも積極的にお受けしたいと思っています
書きたい放題書いてきましたが…今回実施するもう半分の理由は「最近イベント企画していないな・・何かやるか!」という僕の思いつきですwみなさんにとって何を持ち帰るのかはみなさん次第なので、期待半分で来てください(すでに期待値…EAは始まっています…!)
申し込みはコチラ
note、はじめて書きましたが、UXめっちゃ良いですね!
最後に、当社の名物noterである @hik0107 のnoteを置いておきますw
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