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10周年を迎えたOtusというバンド

ダークハードコアバンドのOtus。東京近郊でハードコア好きな人ならこのバンドの事を知ってるんじゃないかなって思う。

他のnoteの記事にも書いてるけど自分はハードコアマニアでは無いから、色んな他のハードコアバンドの名を挙げて比喩したり、専門的なハードコアのジャンルの棲み分けを表しながらは書けないのでそこはご了承ください。あくまでも自分が知る知識の範囲、ライヴを観て感じたOtusというバンドに対してを綴ります。

実は自分がOtusの存在を知ったのは昨年で、その頃はメタルコアにハマってて、ゲストでOtusが度々出演する事があってそれがきっかけで知るようになった。

Otusは予備知識全く無しで初めて観たんだけど、前のnoteにも書いた様に、とにかくまず最初にドラムのセキノさんの凄さに圧倒された。セキノさんはライヴで上半身裸で叩くんだけどシャツを脱いだ時の筋肉隆々の鍛え上げられた身体を見ただけでこの人たぶん只者じゃないぞと直感した。

その直感通りライヴでのドラミングは凄まじかった。自分は元々メタルだからハードコアに詳しくはないけど、デスメタルの様な高速ブラストビートが炸裂してしかも出音がやたらデカくて終始タイトでOtusのめまぐるしく変わるテンポチェンジにも正確なビートを叩き続けるドラミングにただただ圧倒された。

セキノさん

ドラムの話から始めてしまったけどOtusの自分のファーストインパクトはドラムの凄さだった。そこからOtus全体をチェックし始めるんだけど、次に気になったのはタカシさんのベースだった。低音で歪んだサウンドがビンビン響いてて正に自分好みのベースサウンドで凄くイイなって思った。あとタカシさんが醸し出す雰囲気と空気感が何か独自だなって思った。ステージ上クールで常に冷静だけど、時折見せるアグレッシブな動きがカッコよくてこの人の佇まいなんか惹かれるなと思いながら観てた。後にタカシさんが特集されたラストステップファンジンを読んでタカシさんはずっとハードコアという音楽を愛してハードコア一辺倒のバンド活動をしてきて、且つ、Straight Edgeで確固たる信念や思想を持ってる人だと分かりそこであのステージでの空気感がどこから来ているのか自分なりに繋がった。ストレートエッジについては自分も書きたいことがあるからそれはまた別の機会でnoteに綴りたいと思う。

タカシさん

ギターのタツノブさんはメタリックなサウンドでスラッシュメタルの様な高速の刻みやテクニカルなリフを弾くからメタルが原点なのかなと思ってたけど過去のインタビュー読むとやはり源流はハードコアな人なんだなって思った。タツノブさんのダークなギターフレーズの旋律がOtusの世界感の一躍を担っているのはサウンドを聴けば明確に分かる。ライヴで頭を振りながらギターを弾く姿も凄くいいんだよね。

タツノブさん

ヴォーカルのマキムラさんは初めてライヴ観たときは長髪で全身黒い服を着て独自の空気感を醸し出してた。Otusの屈強なサウンドに負けない迫力あるボイスでOtusの陰鬱な音楽性を見事に表現してて、独自な存在感に惹かれた。去年はパンデミック下でライヴで色々な制限があるから派手な動きはしてなかったし、あの時期色々思う事があったのか心が葛藤している様にも自分には映ってた。短いMCの言葉や話し方からこの人は元来真面目で実直な良い人なんだろうなと感じて凄く印象が良かった。
最近はライヴハウスの制限も緩和されつつあるから、マキムラさんもガンガンフロアに身を乗り出したり、柵に上がったりしながら歌ってるのを体感して、元来こういうステージングするんだなって気づいた。
自分はOtusは前で観るので最近はマキムラさんと常にハグ状態になってる笑 その至近距離での熱を感じながらのライヴは否が応でも燃えるよね。

マキムラさん

こんな凄いメンバーをどうやって集めたのか過去のインタビュー読んだら「メンバー募集的なことはせず、深淵に闇を抱えていそうな人たちをひとりひとり選んで声を掛けた」との事。バンドはその人となりの内面から湧き出るものが形となって現れるから、まずOtusの「人間性の醜さを直視する」というテーマの方向性を決めた時点でそれを表現できる人間性を第一に考えて人選したのがなんとも興味深い。

Otusを何度か観て他のハードコアバンドには無い魅力を感じて気に入りMurkや過去音源を聴きまくった。

そのOtusが結成10周年を迎えて同時にEPリリースも兼ねてたし、タカシさんやマキムラさんからもこのライヴには是非来て欲しいって言われてたし、こういう節目のライヴってバンドにとって大事だから一緒に10周年を祝いたいと思いアンチノックに行った。

新宿アンチノック

このライヴの前に新EPからMorgueが先行公開になったけどこれがとんでもなくヤバい曲で初っ端から超高速リズムで猛烈に駆け抜けて行くかと思ってたら途中ビートダウンパートがあって、曲調がガラッと変わって、今までに無いテイストが加わって、また高速パートに戻り、更にダウンパートになるという目まぐるしい展開だけどとっ散らかることなく一曲にまとめ上げた力量に感嘆したし、Otus10年迎えて更にネクストレベルに行って凄いとしか言いようがなかった。勿論ライヴでも最高にヤバい。是非体感して欲しいって思う。

この日のアンチノックはOtusと旧知のバンドがゲストで呼ばれてたし、ハードコア界隈の方々も多数来てて和やかな空気感もあって良い雰囲気だった。

Otusは前半にライヴでの定番ナンバーを固めて、後半に新曲を続けて披露する構成になってた。相変わらずの強力無比の音を放って、フロアは最高潮に盛り上がって、まさに10周年を祝うに相応しい熱量の高いライヴだった。

マキムラさんもタカシさんも、「10年続けてこれたのは凄くもなんともなくて、支えてくれた人、一緒にやってきたバンド、そして聴いてくれる、こうやって観に来てくれる皆んなのお陰だから」と言ってたけど、バンドに限らず物事を継続することって凄く大変な事でましてやバンドなんて10年続かさせることは簡単なことじゃないから、継続したOtusは本当に凄いしリスペクトしかない。

自分は子供の頃は内気で言いたいことも言えなかった。物事の先は悪い結果が待っていると考えてしまうネガティブ思考で基本的に今もその根っ子は変わってない。社会問題や物事に対して凄く深く考えるから、精神的に疲弊することも多々ある。だからそういう自分にはOtusの様な陰鬱を表現した音楽は自分にフィットする。

10周年ライヴでは新EPを先行で購入できたから、自分なりにこのEPの歌詞を解釈してみたいと思う。あくまで個人的な解釈だからバンドの意図とは違うかもしれないけど。

新作EP Morgue

Morgue
「他の存在を否定することで生まれる安堵」社会では多様性と謳いながらマイノリティなものはとかく異端として排除される。マジョリティ側にいてその反対側にあるものを否定すればそれが民意に属するから安堵は得られるかもしれない。人は誰しも自分が可愛い。だからその安堵に引っ張られそうになることもある。だけど本当にそれが正しいことかと自問せよという問いかけの様に感じた。

Protagonists
「軋轢のアーカイヴ」インターネット上では毎日無数の言葉が飛び交っている。正解などない事象に対して、互いの主張をぶつけ合って、互いに自分たちは正しい、お前たちが間違ってると争いが常に生じている。不毛な争いに配慮のない言葉の刃で傷つき流さなくて良い血を流す先に何が残るのだろうか。

Divided by the Line
本来人の価値は同等で互いに尊重されるべきでどちらが優れているか否かなんてないはずである。それなのに社会は人に対して勝手な尺度で優劣を階級を定め格差を産んでしまう。境界線を引いてお前は下側の人間だからこっちには入ってくるなと。同じように人種やセクシャルマイノリティな人々に対しても自分とは違うからと否定し排除する。境界線を引かれることにより、分断が生じて違うものに対しての理解、共感、慈悲は無くなる。愛というものが欠落してしまった人類の待ち受ける終着点に希望などない。

これは自分の解釈だから人それぞれ違うと思う。もしMorgueを手にする機会があれば各々考えてみたらよいと思う。特にMorgueやDivided by the Lineで綴られてる様に自分はマイノリティ嗜好で社会で階級差別され分断排除されるという事は嫌というほど体現してきたから共感できる。

Otusは10年迎えて更に音楽的に進化してるけど、その芯はこれからも変わらないと思う。この先時代はどう変化していくか分からないけどまた10年後に20周年を祝える日が来ると信じてる。

Otus 10year anniversary
セットリスト。マキムラさんの足元にあったから足跡が付いてるのが逆に貴重だ。


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