見出し画像

どう猛な「シャチ」の調教から学ぶこと

(写真は宮城県

ハイパフォーマンス・コンサルタントの髙澤健(たかざわたけし)です。

一人ひとりが「最高の自分」に向って成長し続けることに役立ちたいと願って書いています。

エッセイ風の単発投稿に挟まれるようにシリーズで記事を書いています。

成長への何らかの刺激やヒントが共有できればとても嬉しいです。どうしても、一方通行になりますので、スキをつけて頂く事を通して役に立つよとお知らせ下さるのもありがたいです。

また、疑問やご要望などありましたら、コメント頂けますと幸いです。

さて、今回は「海の殺し屋」とも言われるシャチを、世界で始めて調教した米国カリフォルニア州サンディエゴにあるシーワールドのエピソードから学びたいと思います。

(ここではシャチを飼育して芸をさせることの是非ではなく、シャチ・ショーをするまでに至った訓練から、人財育成のヒントを得ようと考えていますので、ご理解下さい。)

シャチの曲芸

5年程前にシーワールドではかねてから動物愛護団体より抗議を受けていたシャチのショーを全面的に中止しています。

シーワールドでは、シャチのショーを行うにあたってシャチの曲芸の訓練がなされました。

成功したのは1960年代後半のことですから今から50年も前の事になります。

シャチはどう猛でイルカのように野生でも人なつっこい行動をすることは一切ありません。サメやアザラシなども捕食する「海の殺し屋」と言われているわけですから、人前の曲芸などはするはずもありません

しかし、シーワールドでシャチに芸を教え込むことに以下のような方法で成功したのです。

  1. 水槽の通り道にセンサー付きの大きな輪を設置する

  2. シャチが輪を通り抜けるとセンサーが起動して鉱物のイカと鯖が水槽に落とされる

  3. シャチが輪と好物との関係を学習した辞典で徐々に輪の位置を水面に近づける。

  4. 最終的に輪が水面の上にまで上げていく

このようにして水面からジャンプをして輪をくぐるという芸が完成したのです。

調教の原理

どのような原理が働いていたのでしょう?

説明はできなくともこの原理を理解できると思います。そして、この原理はシャチだけではなく人間にも応用する事ができるのです。

それを「行動分析」による調教と読んで良いかもしれません。

「行動分析」では、行動を3つの行動に分けてそれぞれの行動に対応する仕方を変えます。

  1. 望ましい行動

  2. 望ましくない行動

  3. 危険・ゆるしがたい行動

この3つの行動にどのように対応するのでしょう。

望ましい行動」これは想像しやすいでしょう。そう、褒めれば良いのです。

一つ飛んで「危険・ゆるしがたい行動」これも簡単ですね。制止する。すぐにやめさせるのです。

それでは「望ましくない行動」はどうでしょう。これが難しいのです。
答えは「無視する」です。

ところが多くの場合、望ましくない行動をしたときに、無視できずにご褒美を上げてしまうのです。

どういうことでしょう。私も小学生の時にしていたのですが、好きな女の子にちょっかいを出すのです。机の上の筆箱を机の中に隠したり、後ろから肩をトンと叩いて逃げたり、他愛のないイタズラです。

これらは女の子からすると「望ましくない行動」です。

私のとった望ましくない行動に、女の子は「やめてよ〜」とか言いながら追いかけてくるのです。この追いかける行為は、ちょっかいを出した私にとって「ご褒美」なのです。

好きな女の子に注目される、追いかけられる。これが「ご褒美」になってしまっているのです。

望ましくない行動を取ったことで、ご褒美をもらった私は益々調子に乗ってイタズラをくり返すことになってしまうのです。

これでは「望ましい行動」を私から引き出すことができません。

「望ましい行動」を引き出すためには、「望ましい行動」を私がしたときに褒めて、「望ましくない行動」を取ったときには無視し続けることなのです。

人に応用したところ...

シャチの調教は、この原理で成り立っているのです。シャチが輪の中をくぐる(望ましい行動)を取ったときには間髪入れず、ご褒美(イカと鯖)を与える。

シャチが輪の中をくぐらない(望ましくない行動)時には、無視をするというわけです。

1960年代後半にシーワールドが調教に成功したエピソードを知った一人のコンサルタントが、「これは使える!」と思って自分の夫に実験的に応用してみようと思いました。

この旦那さんは、家に帰ると玄関にジャケット、リビングにネクタイ、キッチンにシャツ、寝室のベッドにベルト、靴下などなど、帰宅した後の動線に服を脱ぎ捨てる習性がありました。

この望ましくない行動を、コンサルタントは帰るべく、それまで服を脱衣カゴに入れるように口うるさく注意をしていたのですが、封印しました。

一切何も言わず、無視をしました。

そして、「望ましい行動」、すなわち自分の脱ぎ捨てた服を脱衣カゴに自分で入れたときには、間髪入れず「ありがとう。あなたが脱衣カゴに服を入れてくれたのね、私すごく助かる」と言ってハグとキスをしたのでした。

しばらく経つと、この旦那さんは何も言わず、何も言われずに服を脱衣カゴに入れるようになったそうです。

そして、このコンサルタントは「実証実験」が済んだ後に、この原理をベースにして自身の人材育成サービスを創出なさったのです。

私は何を学ぶのか

Practice makes perfect.
文字通り訳せば「練習は完璧にする」

辞書で調べると「習うより慣れろ」と訳されています。

しかし、この言葉をここで引用する理由があります。

それは、シャチの調教から学ぶことが、あるからです。

人は行動によって造りあげられる

どのような行動をその人から引き出すか。

いや、その人の本当の姿「最高の自分」としてのパフォーマンスが引き出されるということ。

そして、その行動が、その人を造りあげていくということを、シャチの調教にまつわるストーリーから確認させられるのです。


最後までお付き合い下さりありがとうございます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?