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イリアン・カニサレス:Yilian Cañizares "Habana-Bahia"

キューバ出身でスイス在住のミュージシャン、イリアン・カニサレス (Yilian Cañizares) の新しいシングル "Habana-Bahia" がよかった。

キューバ、中南米のリズムと歌がよくマッチしている。Wikipedia (Yilian Cañizares - Wikipedia) によれば、キューバに生まれ、そこでバイオリンを習い、ベネズエラ、スイスと渡って音楽学校で学んだということだ。クラシック畑ではあるが、ジャズに興味を持ちボーカルも学び、バンド "Ochumare" (*1)を結成してデビューしたのが2009年、2013年から自身の名前でアルバムを出して活動している。バイオリンと歌、そして自身のルーツである中南米やアフリカのリズムや雰囲気がミックスした面白いミュージシャンだ。

たとえば、YouTubeの動画で2021年のライブを聴いてほしい。

Childo Tomas (ベース)と Inor Sotolongo (パーカッション)とのトリオ "Resilience Trio" での演奏だ。箱型のダブルネックベースが目を引くChildo Tomas はモザンビーク出身、Inor Sotolongo は同郷・キューバ出身だ。
後半、バイオリンを指で爪弾きながらスキャットしてアフリカの竪琴を思わせる音色のベースともからみ、なんとも面白い。

そして、なんと楽しそうな演奏だろうか。

この曲は2019年のアルバム "Erzulie"に収められている。

つぶやくような歌で哀愁のこもったスローテンポな "Habanera" から始まり、全12曲、佳曲が揃っている。


キューバ出身のピアニストのオマール・ソーサとの共演で、内省的で静かな2018年のアルバム "Aguas"がすばらしい。

翌年、パーカッションに GUSTAVO OVALLES を迎えた"Aguas Trio"でツアーをし、ライブアルバムもリリースされている。

私が知ったのは、たぶんこのライブアルバムだったと思う。つい最近のことだ。このライブの動画が YouTubeにあがっているので貼っておこう。


さて、冒頭に紹介した "Habana-Bahia"がタイトル曲となるアルバムが 10 月 6日にリリースされる予定だ。先行して他に2枚のシングルがリリースされている。


バイーアにキューバそしてアフリカ、ジャズの要素、バイオリンとボーカルを駆使し、自身のルーツを探求しつつ現在の音楽を融合した新しい感覚の音楽が楽しい。

楽しみにしている。


※アルバムがリリースされたら、あらためて、ここに貼ることにする。



■追記
1.Home | Yilian (yiliancanizares.com)
official site の Bioを見ると、キューバのピアニスト、チューチョ・バルデース (Chucho Valdés) が絶賛のコメントを寄せている。

“Yilian is one of the most incredible talents of the new generation of Cuban musicians. She is a virtuoso, she is expressive, spontaneous and with a grace that makes her the favorite of all of us.” (Chucho Valdés)

Home | Yilian (yiliancanizares.com)

2.やはり現代のミュージシャン、SNSで積極的に発信し、毎日のように元気な姿を見ることができる。

https://www.facebook.com/yiliancanizares

Yilian Cañizares (@yiliancanizares) • Instagram photos and videos

Yilian Cañizares (@yiliancanizares) / X (twitter.com)

■注記
(*1) 少し調べてみたところ、Ochumare (もしくは Oxumare) はヨルバ族の神々オリシャ (Orisha) のひとつで「変容」や「再生」に結び付けられる虹の神ということだ。西アフリカのヨルバ族は奴隷貿易でカリブ海に連れてこられ、キューバ・ハバナにもヨルバ族が先祖である人も多くいるということだ。

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