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砂漠のギタリスト:ムドゥー・モクター Mdou Moctar "The Niger River"

アフリカはニジェールのトゥアレグ族 (*1) のミュージシャン・ギタリスト、ムドゥー・モクター。

「砂漠のジミヘン」とも言われているらしい。左利きで普通のギターを上下逆に持って演奏するスタイルが同じ。もちろん、ジミ・ヘンドリックスとは全然違うテイストで、西サハラの伝統的なフレーズとリズムが心地よく、曲によってはサイケデリックな激しい演奏も見せる。

新作アルバム"Afrique Victime"を出したばかりだ。


今年(2021年)の5月に NPR の Tiny Desk <Home> Concertに出演、いい演奏を聴かせてくれる。"Afrique Victime"から3曲、"Ya Habibti," "Tala Tannam," "Afrique Victime" が演奏される。

アルバムのタイトル曲でもある3 曲目の "Afrique Victime" は約7分の激しい演奏だが、「アフリカはあまりに数多くの犯罪の犠牲者だ。声を上げないならお終いだ。」とフランス語で歌われている(*2)ということだ。

最近, YouTubeにアップされたライブ動画もいい。神秘的で美しい。

演奏メンバーは、Mdou Moctar (lead g, vo), Ahmoudou Madassane (g. vo), Mikey Coltun:(b) leymane Souleymane Ibrahim (per.) だ。

ベーシストのミキー・コルトンはアメリカはNYのミュージシャンということで、アルバム "Afrique Victime" も彼のプロデュースだということだし、この動画 "The Niger River"にも彼の丁寧な長いコメントがついているので、興味ある方は一読をおススメする。かいつまんで訳しておくと次のとおりだろうか。

もともとは、ニジェールの村から村へと旅して演奏するプランだった。美しい映像があちこちでとれたはずだった。しかし、そのころ首都のニアメを離れて旅をするのは危険な情勢だったので、代案を考えたすえ、ニアメの近くニジェール川の畔で夜明けにコンサートすることにした。
夜明け前に機材をセットし、演奏中に身体が冷えないように焚火を焚き、そしてトゥアレグのお茶をたいていた。
“Tala Tannam”を演奏しはじめたときに陽が上り始め、 ムドゥー・モクターのシンボルでもあるサハラの鳥・ムナジロガラスが飛び、どこから来たのか山羊の群れが現れた。こういったことが巧まずして起る。ムドゥー・モクターではよくあることだ。結果、バンドの一番美しい演奏の一つになった。

私は比較的最近に知ったのだが、世界的なデビューは2013年の "Afelan"のようだ。

このアルバムでは、ベースがまだ参加していないが、ラフで素朴なサウンドで、ローカルさがたっぷり感じられ、聴きごたえがある。1曲目、手拍子やパーカッション、バックのコーラスとのコール・アンド・レスポンスもいい。2曲目や3曲目も太い音で力強く勢いがあっていい感じだ。


地平線まで茶色いアフリカの大地できっと木陰だろう、照りつける太陽の下、ギターを左に構えて胡坐をかいて歌うムドゥー・モクターと、大きな瓢箪のパーカッションを両手で叩くもう1人、彼らを丸く取り囲むようにして集まって、手拍子を打ち声を上げながら踊る人びと、そんな村の光景が目に浮かぶような気がしないだろうか。


■ 注記

(*1) トゥアレグ族

サハラ砂漠西部の遊牧民でベルベル人系ということである。(ベルベル人 wikipedia)

アルジェリアのベルベル人のポップスが「ライ」だ。以前にちょろっと紹介したことがある。

(*2) 西アフリカの大半はフランスの植民地だったことから、フランス語が通じる国が多い。アルジェリアはアラビア語とベルベル語が公用語だがフランス語は広く通じるということだ。セネガルやマリ、ブルキナファソ、あるいは、ムドゥー・モクターのニジェールも公用語はフランス語だ。だからか、これらの国々の音楽もフランスのレコード会社から発信されることが多いし、パリに移住して活動するミュージシャンも多い。

私が愛してやまないマダガスカルの音楽も同様である。


■ 関連外部記事

ざっとムドウ・モクターの記事を検索してみたら、次のサイトが詳しかった。参考になる。


■ 関連 note マガジン

1. 好きでよく聴いているミュージシャンを紹介。毎週木曜日に更新中。ギタリスト多め、たまに懐メロ。

2. 愛している女性シンガーに特化したのが、我ながらベタな名前だと思うが「世界の歌姫たち」。こちらはさらに愛している思いのたけのみの記事ばかり、週一、毎週火曜日に新しい記事を書いている。懐メロ多め。

3. いずれも、耳もあまりよくないし、知識も少ない、語彙力もない、なので、基本YouTubeやSpotifyのリンク貼り付けと「好きだー」「愛している」というだけの記事ばかりになっているし、そうなっていく。

私本人が楽しく書いていることだけは間違いない、それだけは伝わるだろう。


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