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西アフリカのコラの響き・3:セク・ケイタ

ついこの間、キューバ出身のジャズ・ピアニスト、オマール・ソーサ、アフリカはセネガルのコラ奏者 Seckou Keita (セク・ケイタ)、パーカッションはベネズエラの Gustavo Ovalles(グスタポ・オヴァジェス)のトリオ、SUBA Trio が NPR の Tiny Desk Concert に出演した。

よく見るコラは一本のネックに21本の弦を張るが、セク・ケイタは二本のネックに弦を張っていてちょっと見慣れないものだ。ダブルネックコラとでも言うだろうか。また、概要欄によれば24本の弦を張ってあるらしい。残念ながら私の知識は十分ではないのでこれ以上あまり語ることはできない。

一曲目は "Allah Léno" 曲の最後のあたりで満面の笑みをうかべ、二人の共演者とうなづきあう。息のあった演奏で、オマール・ソーサもグスタポ・オヴァジェスも楽しそうだ。旅することを歌っているという。2曲目は "Khari" (ハリ)、友情について歌ったものだということだ。3曲目は "Maam" 母について歌ったものだという。

河の流れのようにゆったりとした楽しそうな演奏ではあるが、全体的に遠くから故郷や自分のルーツを眺めるような哀愁が流れているように感じる。

これらの曲は2021年のバンドの名前を冠した "Suba"という素敵なアルバムに収められている。

私は、先にオマール・ソーサのファンになり、いろいろ聴いている中でこのアルバムがリリースされてセク・ケイタのことも知ったのだった。

official siteに経歴など詳しく記されている。


セク・ケイタは他流試合も多く、そういう姿勢も好きなところだ。

最近では、今年になって、BBC Concert Orchestra と、コラとオーケストラとの共演を試みアルバム "African Rhapsodies" をリリースしている。

このような企画だと、どうしても西洋の音楽の枠組み(和声やリズム、そして曲の構成)の中にはめ込まれてしまい、イージーリスニングぽくなってしまう点がちょっと私の好みからはずれてしまうのだが、コラの音色の魅力が際立ち、悪くはない。

ハープのカトリン・フィンチとの2022年のアルバム ”Echo”はなかなか面白い。構造こそ違うものの共通部分がある二つの楽器だが、ストリングのアレンジもよくいいアルバムに仕上がっていると思う。

2013年にも "Clychau Dibon" (クリハウ・ディボン)というアルバムを出しているので第二弾ということだ。

演奏の様子が動画で見ることができる。なかなか興味深い。

もっと素朴な民族音楽の音やコラの響きが聴きたい向きには、初期のアルバムたとえば2002年の "mali"というアルバムや、EPの"Rewmi"がおすすめだ。


3週間前だか、新しいシングル "Alam Gi" をリリースした。セク・ケイタはボーカルもいい。

リズム楽器やバックにシンセサイザーも取り入れてもっとソフィスティケイトされた聴きやすい音作りになっていると思う。コラの音もバックで歌の魅力を引き立てていると思う。

この数年で何曲かシングルがリリースされてもいるし、新しいリーダーアルバムがそのうち出るのではないか、と思う。

楽しみに待っている。


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