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フェイルーズ:Fairuz "The Soul of Lebanon"

世界の歌姫たち」という我ながらベタな名前だなと思うマガジンを作って、愛している女性シンガーばかり、愛している思いのたけを週1、火曜日に投稿している。今日はその14回目、レバノンからフェイルーズ だ。

厚いベルベットのような声と評される、一度聴いたら忘れられない深い豊かな声が魅力だ。知っている人からは何をいまさらと怒られそうな、言わずと知れたアラブ・ポップの大御所で女王だ。

私は、アラブ・中東にこのような歌手がいる、とエジプトのウム・クルスームとともに、中村とうよう氏の「ミュージック・マガジン」で紹介されて1988年ごろに知ったと思う。

1989年に「オルター・ポップ・ディストリビューション」というレーベルからリリースされた「愛しきベイルート」 MAARIFIT FEEK というタイトルのCDを早速買い求め、よく聴いた。1987年のMAARIFIT FEEK と 1988年のCHAT ISCANDARIAの曲が収録されている。

Spotifyで探すと、それぞれ、次のアルバムが該当するものだ。かなりポップな感じで聴きやすいと思う。

このころ、フェイルーズはすでに50歳半ばで、すでに絶頂期を過ぎた、むしろ枯れた魅力もある、と言われている。もっとディープなアラブ歌謡を聴きたいという方は、2021年リリースされたベスト盤 "The Soul of Lebanon" を聞いてみるといいだろう。

音づくりや録音も古いので、ちょっと馴染がないかもしれないが、どうだろうか。と、偉そうに書いているが、実のところ、私も今年になって今更のように聴き込んでいるところだ。あまりにたくさんのアルバムがあるし、それぞれが良いのでなかなかだ。

おそらくアラブで最もよく知られ愛されている歌手だと思う。ナンシー・アジュラムが八代亜紀と似ていると以前に書いた(*1)が、フェイルーズは美空ひばりと重ねることができるだろう。フェイルーズは1935年生まれ、美空ひばりは1937年生まれ、国民的歌手として活動し始める時期が1949年前後というのも重なっているように思う。少し強引かもしれないが。。

私は同時代を生きてきたわけでもないので、だからどう、と評論する資格はまったくなく、思い入れを語る言葉を持ってはいない。しかし、二人とも今にいたるまで大きな影響を残していることを、アラブや日本の歌謡曲を聴くと感じる。

オルター・ポップのCDに同封されている井下裕規氏による熱いライナーノートを懐かしく読み返していた。

彼女の芸名をつけるに当っては、現在の「フェイルーズ」の他に「シェヘラザード」という名前が最後まで候補として残っていましたが、最終的にアラビア語で宝石の「トルコ石」を意味する「フェイルーズ」のほうにおさまったというエピソードが残っています。千夜一夜物語に登場するお姫様「シェヘラザード」のような華やかさよりも、むしろ宝石「フェイルーズ」の落ち着いた、深みのある輝きのほうが彼女の声にぴったりだというのが理由だったという点もうなづけるところです。

井下裕規氏によるライナーノート

収録されている曲以外にもいろいろ魅力的な曲があることを紹介しつつ「残念なことにこれらの曲が収録されたアルバムが、いつ日本で手に入れることができるのかはっきりしません。」とも書かれている。

30年余り後、このデジタルの時代になって、存分に楽しめるようになった。

SpotifyでFairuzをチェックすれば、古くは1955年のものから、ライブ盤やベスト盤も含めて75枚ものアルバムを聴くことができる。いつか、どこか山の中(*2)に籠って一週間ほどぶっとおしで聴くくらいしてしまうかもしれない。

以前に書いた note 記事でこう書いた。

デジタルとは、割り切りと切り捨てと熱い心。恐ろしいことだ。

デジタルとは何か:John Rossman, "Think Like Amazon"
https://note.com/t2shimamura/n/n89e94ba38453

しかし、こだわりと執着と愛する心も、デジタルによって残っていくことも事実なのだ。



■注記

(*1) この、世界の歌姫シリーズは私の期待に反してあまりに反応が薄く、実際、2週間前に投稿したフランスのミレーヌ・ファルメールの記事は悲しくなるくらい訪れた人が少なかった。しかし、一番人気は、レバノンのナンシー・アジュラムなのだ。今のところダントツだ。

いつもnoteに記事を投稿するたびにTwitterにもFacebookにも流すのだが、普段はほとんど反応がない。だが、ナンシー・アジュラムのときは違った。まったく知らないアラブ方面の方々からコメントやリツイートもどんどんされて少々ビビった。そのわりにスキの数が少ないのは、日本語だから読めなかったのだろう。少々申し訳なく思っている。

(*2) インターネットに接続できるところでなければならないのは言うまでもない。


■ 関連 マガジン

1. 好きでよく聴いているミュージシャンを紹介。毎週木曜日に更新中。ギタリスト多め、たまに懐メロ。

2. 愛している女性シンガーに特化したのが、我ながらベタな名前だと思うが「世界の歌姫たち」。こちらはさらに愛している思いのたけのみの記事ばかり、週一、毎週火曜日に新しい記事を書いている。懐メロ多め。

3. いずれも、耳もあまりよくないし、知識も少ない、語彙力もない、なので、基本YouTubeやSpotifyのリンク貼り付けと「好きだー」「愛している」というだけの記事ばかりになっているし、そうなっていく。

私本人が楽しく書いていることだけは間違いない、それだけは伝わるだろう。

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