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唐澤俊輔 「カルチャーモデル 最高の組織文化のつくり方」

Facebook友人から、いろいろな本を紹介してもらえるのは本当によい。この年始休暇中に、唐澤俊輔 「カルチャーモデル 最高の組織文化のつくり方」を読み、正月休みのうちに読了。期待よりずっと良い内容だったので、なんだか、かなり得した気分だ。


まず、著者の誠実な姿勢と人格が伝わってくるようで読後感がよかった。上から説いてくる、といった感じでは全然なくて、最終章「おわりに」に書かれている著者自身のエピソードで人柄も好印象。

それでいて、

・Tom Peters の 7S (*1) を応用してフレームワークとして使ったカルチャーモデル 
・企業の経営スタンスを、中央集権型ー分散型の軸と、変化志向ー安定志向の軸の、2つの軸で4象限にわけるフレームワーク
・カルチャーをつくるための5ステップ(1. 現状のカルチャーを棚卸する、2. ビジョン・ミッションを設定する 3. カルチャーの方向性を決める、4. カルチャーを言語化する、5. カルチャーを浸透させる)

これらの枠組みを用いることで、日本や海外の企業やグローバル企業、老舗大手やスタートアップといった、様々な企業に対して、そのまま鮮やかに分析・適用できる極めて実践的な内容だ。

このフレームワークは、時間軸の中での企業の経営スタンスの変化もとらえやすく、それにつれてのカルチャーモデルの変化もわかりやすい。

著者の経験からマクドナルド、メルカリ、SHOWROOMの3社、他にもいくつか会社の具体的な事例をあてはめて解説しているのも具体性があってわかりやすかった。

読者は、自分自身の会社について、制度や実際に起こっていること経験していること、などを、本書に書かれている枠組みで整理してみると、非常に面白いと思う。

もちろん、「なぜ、今になってカルチャーが必要だなんて言ってるの?」と思う人には前半に重要性と効用が書かれている。私は、人材の採用面での効用に関して目からうろこだった。なるほど。

そして、一番大事なのは、会社全体でカルチャーを軸に整合がとれていることで、「言っていることとやっていることと違うじゃん」ってことにならないようにすること。ということは、序文に著者はこう書いている。

カルチャーを言語化し「いい会社」をつくることは、人事担当者のみならず、各領域のマネージャーや経営者にとってこれから欠かせない営みとなることでしょう。

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このカルチャーモデルによる組織経営の視点は、宗教について考えるのも有用な気もした。また、内部にあるものを言語化することで外部化し、改めて共有して制度として内部化していく、という形式も考えるところがあった。

そのことについてはまた後日。

■注

(*1) 7Sはマッキンゼー ・アンド・カンパニーの 7S、組織運営に関するフレームワークであり、以下の7つ。

ハードの3S
 1. Strategy: ストラテジー(戦略)
 2. Structure: ストラクチャー(組織構造)
 3. System: システム(制度)
ソフトの4S
 4. Shared Value: シェアードバリュー(共通の価値観・理念)
 5. Staff: スタッフ(人材)
 6. Skill: スキル(能力)
 7. Style: スタイル (経営スタイル・社風)

トム・ピータースとロバート・ウォーターマンの「エクセレント・カンパニー」(大前研一訳)にあるので、興味ある方はそちらをどうぞ。

■関連記事

トム・ピータースは熱い。
(下記記事には7Sのことは触れてませんが。。。)

内部にあるものを外部化し多くの人と共有し巻き込んで仕事を作る。外部にあるものを内部に取り込み、仕事を広げる・変えていく。学んだことはカルチャーに落とし込む。そんなことも思い出した。

そういえば、「自分の仕事をつくる」は去年の正月に読んだのだった。

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