観劇感想 劇団プロデュース・F「トリオ」

というわけで始まりました夏の観劇ラッシュ
数年来のイベント再開、とのことで復活あり新企画ありと例年になく賑やかだなぁと思います。
とはいえエアコンにあたったらしく、体調不良が続いたり、慣れてくれば大丈夫と思いきや
だが放っておくと感想が溜まりに溜まってしまうので、少しづつ忘れないうちに書いていきます。

劇団プロデュース・Fさんとは?

今回観に行った劇団プロデュース・Fさんは姫路城の前に常設アトリエを構える劇団で「小劇場(こや)」スタイルの演劇をやっています。
作風はホームドラマから歴史物まで、市民劇団ならではの視点と一般参加のイベントも実施しています。

「トリオ」あらすじ

舞台は1970年代の新宿
寂れた劇場で音曲漫才を音曲漫才を披露する3人組、寿美、利津子、緒理恵
長らくトリオで売り出してきたが、お客は入らず劇場からは楽屋の明け渡しを求められ、3人はいつも喧嘩ばかりの日々。ついには解散だという始末。

そんな3人だが、寿美は人生の一発逆転として劇場副支配人で御曹司の鳥居一男、通称「トリオ」との駆け落ちを計画し、実行に移そうとする。
しかし、利津子、そして緒理恵もそれぞれ駆け落ちを計画していて、その相手はなんと「トリオさん?」
崖っぷちの女芸人3人組トリオが、謎めいた?男のトリオさんを巡ってあれやこれやのバトルを劇場の隅で繰り広げていく?
果たして、トリオさんの正体はいかに?

片隅で強く生きる人々の物語

姫路の演劇家といえば、鄭義信さんというイメージです
彼の作品は、市井の人、社会の隅で生きる人たちの視点から描かれていく作品が多いです。そのような劇作家を育んだ地の影響か、そういった視点の作品が多いと思います。
この作品もまた、決してスターとはいえない、そんな人生ではないような社会の隅で追い詰められながらも、それでも必死で生きていこうとする女性3人の姿に共感してしまいました。と思いきや最後の最後にどんでん返し。
やはり生きている覚悟がある人間はなんだかんだ言って強いんです。

演出の松岡一三さん

この舞台の演出を務めた松岡一三さん、姫路はじめ播磨演劇界隈ではかなり有名な演出家で、またこれがすごいことをやってくるんです。
小劇場の中で自転車を走らせるだけでなく、トリオさんを色々なところに「隠し」たり、ついには女優3人が舞台の上で本気の肉弾戦を始めて、笑いながらただ圧倒されました。吉田沙保里さんも観たらびっくりするかなぁ。
こういうことが舞台でできたら面白いよね、できるかなぁで終わることを本気で組み込んでくるのです。
ただのドタバタだけでなく、登場人物たちの抱える「哀愁感」というような感情もしっかりと表現してくるスタイルは、多くの人を惹きつけています。

役者陣の力、スタッフの力

今回三姉妹を演じたプロデュースFの小林さん、中島さん、高見さん
演技だけでなく楽器の生演奏までやってしまい、本当にすごいなと思いました。3人トリオのドタバタ感は同じ劇団のメンバーだからこそ息の合った部分があったかな、と思います。
トリオさんを演じた八幡さんの芝居も久しぶりでしたが、彼の生み出す独特の、観客を引き込んでいく空気感はさすがだなと思います。
照明の木谷さん、音響の一谷さん、スタッフのひさたにさんはじめ多くの人たちのおかげで、こう言った素晴らしい舞台空間が作られていると改めて思います。

この初夏に、近くの姫路城では「平成中村座」の公演が行われていましたが、こんな近くでこんな面白い演劇もやってるぞー!と思わす叫びたくなる舞台でした。

アマチュア劇団、市民劇団の手伝い、という形で関わらせていただきますが、これだけ面白いことやってんだぞと多くの人に知ってほしい、できればお客としてきてほしいと思い、ぼちぼち終わりにします

ありがとうございました!

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