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出産したら、子供がダウン症だった話。~その3~


O医師との出会い

妊娠中にはわからなかったけれど、出産後に子供がダウン症であることがわかりました。
生後4日目の医師からの診断では、顔の特徴、私の高齢出産によって、ダウン症の可能性があると言われただけでした。
この段階では、検査はしていなかったので確定診断ではありませんでした。
退院前に医師から説明がありました。
その時は、告知をされた時の医師とは別の医師でした。
その医師はゆっくりとした口調で穏やかに話しかけてくれました。
「前回の医師からはどのように聞いていますか?」
丁寧でゆっくりと言葉を選んで話してくれています。
O医師は「お顔の特徴は赤ちゃんによってもそれぞれですので、目が上に上がっているように見えるというだけではダウン症だとは言い切れません…。一度、自分の病院に来てもらって検査をするかどうか考えましょう」と言ってくれました。

染色体検査

染色体の検査についてO医師は「今回、お子さんが生まれた後に少ししんどそうな状態になりました。身体の筋緊張の弱さが見られるので、もしかしたら、ダウン症の可能性があるかもしれません。でも、まだ検査をしていないので確定はできません。検査は受けるか、受けないか、親御さんによっては受けない方もおられますので、ご家族で話し合って決めてもらえればいいです。」と仰られました。
我が家の場合、主人も私も「検査をする」という方向性だったので、迷わず検査をしてもらいました。検査は赤ちゃんの血液を採取して行われました。

染色体検査の結果

2週間後、染色体の検査結果が出たので、主人と一緒に結果を聞きに行きました。
その日もO先生は、言葉を選びながら、ひとつひとつ丁寧に説明をしてくれました。
「染色体検査の結果が出ました。ここに1番から22番までの染色体が並んでいます。染色体の半分はお父さん、もう半分はお母さんのものです。本来であれば、1番から22番までが2本ずつで合計46本ですが、赤ちゃんの場合21番の染色体が3本あります。これは21トリソミーと呼ばれるダウン症です。そのため赤ちゃんはダウン症であるということがわかりました。」
O医師の言葉に私達夫婦は、ただ頷いていました。
恐らく、ダウン症であるだろうと思っていたので驚きはありませんでした。
これから、どうなるのか、そんなことも考えられず、目の前の赤ちゃんを見つめるだけでした。
ただ、非常識かもしれないけれど、その時「トリソミー21番」と聞いて、「なんだかかっこいい名前だなぁ」と子供に対して誇らしい気持ちを持ったことは確かでした。
O医師からは、ダウン症の合併症の説明を受けた後、後日、心臓や脳、内臓、甲状腺の検査をすることを告げられました。
ただ、不思議だったのは、目の前にいる、赤ちゃんは、ただただ愛おしく可愛い、それだけでした。
保育器の中にいる時、「ダウン症の子供を愛せるのか?」「私に育てられるのか?」その心配と不安でいっぱいでした。
でも、現実は違いました。
「大丈夫、愛せるし、育てられる。」
まずは、一歩。
ダウン症の赤ちゃんとの生活がはじまりました。



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