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vol.003 「管理職とは、『判断する機能』である。」

中間管理職に求められる要素ってなんだろう、みたいな話をします。
 
 


■コミュニケーションとは、「相手に伝わること」である。


 
『基本は笑顔。』
 
悲壮感を出しているリーダー、「自分が大変アピール」は、周囲が引くだけです。良いことが一つもありません。
常に前向き、笑顔、というわけにはもちろんいかない。だけど、「不機嫌そうなリーダーに、情報は集まらない」と覚えておく。
 
そして、これが案外、むずかしい。
 
 
『コミュニケーションは質よりも量。』
 
コミュニケーションは質よりも量。内容を厳選するよりも、回数を多くする。人と人との信頼関係は、接触回数に大きく相関すると言われている。原典をいま確認できないけど、よく聞く話だ。

朝夕のあいさつ、見送り、雑談、今日のお昼のメニュー、昨日の話題の続き。
極端にいうと、【中身は何でもいい】から、回数を重視する。
悩んで声をかけないより、まずは声を出す。
 
打席数が先。打率は後。
 
 
『コミュニケーションは公明正大。』
 
リーダーも人間。つい無意識に、仲の良い相手、話しかけやすい人、元気なメンバーとの会話が増えるもの。
 
意識して、おとなしいタイプ、ふだん目立たない人、口数の少ないメンバーほど、コミュニケーションを取る。
とうぜん、
 
その際、「何かあったらいつでも言ってきてね」では不十分なのだ。
定期的に、自分から「困ってない?」「あの件はどうですか?」など、声をかける。
 
「(あなたから)言ってきてね」は、開放的なリーダーに見えるけど、怠慢なリーダー、と心得る。
 
 

■「イヤなことの上位」を取り除く。


 
リーダー(上司)が、好かれるかどうかは別にして、一定の信用を獲得するのは、あんがい簡単だ。すくなくとも、単純だ。
 
一言でいうと
「自分がメンバー(部下)のとき、嫌だったことの上位」
を取り除くだけ。
 
例えば、
 
・原因不明で、機嫌が悪くなる
・小さなことで怒る。急に、怒り出す
 
・目下には威張って、目上には卑屈
・上級上司に言われると手のひらを返す
 
・ランチを同席する、飲みに行くのが前提と思っている
・自分の権力を確認する
・判断基準がわからない。またはしょっちゅう変わる
 
・プライベートに立ち入る、詮索する
 
・仕事をしない、勉強しない
・見てない、聞いてない、すぐ忘れる
・自己保身に熱心
 
といったことだ。
 
これらの行動を、すべて封印する。
誘惑を振り払って、極力やらない。やってしまったら、面倒でもいちいち拾って、謝って、行動を改める。
 
おすすめは、チーム内に「やらない(やめる)」と宣言してしまうこと。この抑止力はかなり効きます。
 
 
別の言い方をすると、
 
自我を出す、
自分の承認欲求を満たす、
個人として好意を持たれようとする、
 
等は、放棄して、あきらめる。
 
部下には関係ないこと。興味がないことだからだ。
 
 

■管理職とは、「判断する機能」。


『トラブルはチャンス。』
 
仕事をするかぎり、トラブルはかならず発生する。いちばん大変なのは、当事者となったメンバー。自分自身のミスのときはなおさら。青ざめて、手につかない。
 
もちろんリーダーの出番だ。才能やセンスの問題ではなくて、立ち位置の問題。機能(ファンクション)の問題だ。
 
ふだん会話の少ないメンバーのトラブルが起きたら「信頼関係を深めるボーナスステージ発生!」と、前向きにとらえるくらいでちょうどいい。
(注:心構えのイメージです。態度・表情はあくまで真摯に) 
 
事情を詳しく聞きながら、たとえば営業職なら、クライアントへのお詫びに同行する。率先して、かわりに頭を下げる。
 
解決したら、安堵するから、日頃は話さないようなことも聞ける。副次効果が期待できる。
 
トラブルのときこそ、頑張りどき。工夫のしどき。
平たくいうと、投資対効果が(とびぬけて)高い。
 
 
 
『感想を述べるリーダーは要らない』
 
リーダーの仕事は、「判断すること(決めること)」と「結果責任を負うこと」。
メンバーが相談に来るということは、その時点で「困っている」ということ。貴方/貴女に動いてほしくて来ているのだ。
たんなる感想や、評論は必要としていない。
 
「材料が揃うまで判断しようとしないリーダー」「事前に聞かされてないと言い訳するリーダー」は、【使えないリーダー】だ。
それらが潤沢に揃うなら、誰でも決定できるからだ。
 
材料が不足していても、とにかく決める。時間はほとんどのものに優先する。
 
極端にいうと、
 
・コイントスで決める。サイコロで決める。
・メンバーの提案のイエスマンになる。追認する。
 
なんでもいい。
 
判断しないよりはずっといい。
 
立派な、素晴らしい判断をしようとするからうまく行かない。
 
 

■言ってくれる人をつくる。


個人が、「自分の長所」に気づくのはむずかしい。
管理職が、「自分の短所」を見つけるのはさらにむずかしく、機会は少ない。
 
部下はもちろん、上司であっても、連続的・定常的に指導、諭してくれたりはしない。
そういう空気(約束ごと)になっていない、距離感ではない、ということもあるだろう。
けれど、本質は、「人を指摘して言い続ける」ことがかなりのスタミナ・労力を消耗するからだ。
 
費やす時間。投入する根気。面倒くささ。 
数十年生きてきた他人を変えることの難しさ、伝わらない徒労感、予想される反発(遺恨)。
自分も周囲からどう見られるか etc.
 
それらを考えると、
「圧倒的にめんどうくさい」
からだ。
 
逆にいうと、
「弱点、欠点を指摘してくれる人を、身近に持っておく」
ことができたら、それはかなりの威力を持つ。
 
人を雇ったり配置したりする権限を持っているなら、そういう性格、能力の人物を近くに置いておく。
 
そこまで行けなくとも、いま身の回りにいる人、チームメンバー、部下に、頼んでみる。
 
面と向かって言いづらそうなら、匿名・無記名で教えてもらう仕組みを考える。
 
 
考えて、工夫する価値のあるテーマだと思う。

こうして書き出してみると、実行できていないことがあるなと、思い出す機会になります。


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