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起業というロックな生き方

僕は君の「熱」に投資しようを読んだ。

起業家のエピソードというのは、人の中に眠る熱を呼び起こすものがある。つまり起業とは、ロックなんだ。

ベンチャー界隈では言わずと知れたVCの実話で、事業を立ち上げる身としては、より冒険を始めたくなった本。

私自身、DeNAでは南場さん、OYO LIFEで孫さん、今は前澤さんと、日本を代表する経営者から勉強させていただく中で感じたことがこの本でも通ずるところがあった。

結果を出すには、正しい努力を行う前に、まず「正しい場所」にいることの方が、遥かに重要なのだ。成功の9割は場所で決まると言っても、過言ではない。

新規事業を立ち上げる際、これはどの経営者からも入念に問われる。市場規模が三桁億くらいだと、大体どんな人からも「ちっさ」と言われ相手にされない。四桁億後半くらいから徐々に話を聞いていくれるイメージだ。また、誰とやるかと聞かれる。アイディアは大体すでに存在するので、誰とやるのかをすごく問われる。

起業、さらには事業を作る上で重要なことは、世の中にある「価値のズレ」に気づくことだ。

企業の基本的な原理は、古本の販売などに代表される「せどり」という。これは今前澤さんと働いてすごく感じることだが、この感覚が非常に鋭い。

価値がズレているところを捉えて、それをビジネスで埋めるルーツはどこだろうと思って聞いてみたら、もうすでに小学生の時にこの「せどり」をやっていたようで、自分の子供にもこれはやらせようと思ったのは最近の話だ。

僕が口癖のように言っているのは、「まずは規模を100倍にしろ」だ。とどのつまり、企業のアイディアなんてどうでもいいのだ。君に熱があって、やってみたいことが見つかればそれで十分。あとはそれを100倍の規模でやるだけだ。
エアビーとウーバーは、今や世界の常識を変えるほどのサービスになった。いったい何がそうさせたのか?彼らが、小さな思いつきをとんでもない規模に拡大したからだ。つまり、ただの「サンフランシスコ空き家ドットコム」や「市のタクシー会社専用配車アプリ」を作ることに終始しなかったことが、彼らの成功の理由だったわけだ。

偉大な経営者も話してみると普通の人だったりする、でも一番違うのは、これじゃないか。

OYO LIFEを立ち上げる時、孫さんへの事業のGo or No Goの判断をしてもらう一世一代のプレゼンを作った。このフィードバックは「このサービスはきっとみんなを幸せにする、"全世界の住まいが全部"これになったらいい」だった。小さく始めみるとか、PMFがどうとかに全く興味がなくて、スタート地点で見る夢の規模が大きかった。

また、今前澤さんと働いて、たまにイラっとされる。それはユニットエコノミクスとかPMFにこだわりすぎて、小さい提案をしてしまう時。私は小さく当てたものを、一気に拡大すればいいと考えがちだが、小さく当てる前にそもそも大きな夢を描くことを強く求められる。

トップ集団の中にいるだけで勝手に成長できる。

自分は採用責任者をやることも多かったのだが、DeNAで南場さんに、「とびっきり優秀な人だけを採れ」と言われていたのを今でも覚えている。事業は人から生まれるし、そういう人を集めると、勝手に切磋琢磨して大物になっていくのをこの目で見せてもらうことができた。

今DeNAマフィアと言われる起業家が多くいるが、それは間違いなく、新卒採用が成功した年に入社した才能たちだ。最初に踏み出す場所が思いのある優秀な集団だと、あとはそこで「平均点」を取れればよかったりするものだ。

社員数が30人くらいになると、経営者がそれぞれ個別に対話ができる限界に達する。すると経営者には「組織と対話する」という能力が求められるようになる。数人規模であった創業当初の個人間の対話とは違う言葉で話さなければならなくなる。(中略)。さらに事業が成長し、100人くらいの組織になると、自分の代わりに組織を管理できる役員やマネージャーを採用することも必要となってくる。(中略)。そして、いよいよ会社が100人以上に成長してくると、今度は社長である自分が「いなくなっても回る仕組み」というものを作っていかなければならなくなる。

これは方々で語られる内容ではあるが、組織を作っていくと必ず起きる課題だ。自分自身創業したSprinklr Japanでは30人の壁にぶつかってなかなかうまくいかなくて、OYO LIFEではその経験を生かして100人の壁までは上手く超えたけど、そこで止まってしまった。これらの組織の壁はほんと難しくて、まだ自分は超えきれてないので、次こそはと思っている。

「これを作れつやつは勝つ」とういゴールはすでに見えているのだ。僕らはそれを実際に作っている起業家を探し、才能のあるところに資本を集中させ、歴史を爆発的に加速させるのを肩越しに見届ける。そうして未来が訪れるまでの時間を短縮するのが、僕たちベンチャーキャピタリストの本当の仕事だ。

最近は出資を受ける事業者の立場でも、出資をするファンドの立場でも仕事をするけど、これはどちらであれ大事で、経営者とVCの関係がこうなれたらなと思う。

UUUMやラクスルの成功は、近い未来、僕の履歴書から消え去るだろう。僕が挑戦者であるみんなと戦っているのは、いかに3年以上前のことがプロフィールに載らないか、いかに最近の戦果でプロフィール欄が埋め尽くされているかのレースでもあるんだ。

と著者が言っているが、これは自分もそうありたい。そのためにも今この瞬間大きなものをもっと仕込まないとな。

やる気出た。


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