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オンライン授業対応無し+在宅勤務~学校や教員が提供できる価値って~

僕は私立高校で教員をやっています。結構楽しく先生生活を楽しんでいました。

ただ、コロナの影響があり、学校は休校状態になりました。そして僕の学校ではICT設備無い・ICTリテラシー無い・教員は出勤して無いの「3密」では無く、「3無い」状態の学校です。

そんな中、在宅勤務中の僕は突如、管理職から電話を受け「You、ICT好きだよね。じゃあ、ICT化のとりまとめやっちゃいなよ」(注:実際にはもっと丁寧な依頼を受けました)、ICT化担当に急遽なることが決定しました。

これは前回の記事です。ちなみに前回の記事には書かなかったのですが、管理職からは「5日後までにおおまかな案をまとめて提出してね」という指示も出たんですね。

おおまかな依頼は以下のとおり

① Classiが現状使いにくいので、それに代わるシステムの構築。
② オンライン授業を可能にするシステム設計と機材について
③ 面談や進路指導などをどのように行うかのスキーム作り

これについて5日間でまとめて管理職に提出するってのは割とハードでした。ってかハードです。ってか無理なんじゃね?ってか無理だーーーーーー。すいません取り乱しました。ってな感じです。

ただ、せっかくチームも作ってもらったので出来る範囲でいろいろ考えています。その中で今特に問題になっていることがあります。

それは生徒からのメッセージ機能を認めるかどうかという問題です。

僕らの学校はClassiというシステムを導入しています。Classiにはメッセージの機能があって、教員から生徒に個別にメッセージを送れます。現在、教員から生徒へのメッセージ機能は使えます。

ただ、生徒→教員へのメッセージ機能は制限されていて使えないんですよね。この機能を開放するかどうかで僕らの意見が分かれました。

ちなみに僕は生徒→教員へのメッセージ機能は使っていくべきだという意見です

開放するべきでないという先生の主な意見は以下4つ。

①教員が生徒からのメッセージの対応に24時間対応する可能性がある。
②文字ベースだと数学などの教科では半端ない労力がかかる。
③休校の学校に対するクレームを担任が直接受けるリスクが上がる。
④休校中とは言え、生徒個別に教員が対応する義務はない。

① 教員の労働時間について

たしかにSlackで仕事を始めてわかったのは、仕事時間という概念が無くなることです。僕は8時くらいから夜の3時くらいまでいろいろと作業をしています。ブラックです。本当にブラックです。ブラックサンデーです。すいません。疲れています。本当に疲れています。許してください。

ただこの問題に関しては「8:30~16:30までは対応する」など対応時間を設定してしまえば問題ないと思います。

「時間外問題が発生する!」という意見にもこの時間設定で答えられるかなとは思います。そして僕がこの意見を聞いて思ったのは、「オンライン授業に全く対応していない僕たちは、『時間外労働』よりも、『時間内労働』の質をどう上げるかについて気にしないといけないということでした。

②数学などの教科では文字ベースで指導すると負担がかかる問題

これはたしかにそうかもしれません。なので教科に関する質問は文字ベースでは無く、zoomなどの音声や映像を媒介した形にした方が指導コストも、生徒の学習コストも低くなりそうです。

オフィスアワー的なシステムにするか、授業の後に質問タイムを設けるかは未定ですが、そうすることによって、衆人環視の状況での質問になるので、生徒の質問数も制限できそうです。

また、一部の教員には熱狂的なファンがおり、そういった生徒から、対象の教員を守るという意味でも衆人環視の元での質問にするメリットがあります。文字ベースでの学習に関する質問は制限した方が良いのかもしれません。

③休校の学校に対するクレームを担任が直接受けるリスクが上がる。

生徒からのメッセージ機能を開放した場合、担任がクレームを受けるリスクは上がります。コロナ自粛疲れもあり、生徒のストレスも上がっているので、気を付ける必要があります。

これに関しては、担任ではなく、クレームに関する窓口を別に設けるしかないかなと思っています。

クレームを受けるのは学校としてはキツイですし、正直理不尽なことも多いと思います。ただ、現状あまりクレームが無いのは、不満が顕在化していないだけで、生徒や保護者の中には不満が蓄積されているんですよね。

むしろそれらを早く知り、それに対する対抗策を考えて言ったほうが長期的に見て生徒や保護者からの信頼も得られそうな気がします。

④休校中とは言え、生徒個別に教員が対応する義務はない。

やりすぎは良くないですが、現状僕らはほとんど何も生徒にしてあげられることが無い状態です。そうすると僕らの給料はいったいどんな労働に対する対価なんだろう?と不思議に思うことがあります。

僕は休校中に学校が生徒に提供できる価値は「あたたかさ」や「温もり」といった精神的なことだと思うんです。それって、教師からの一方通行的な情報発信だけでは作り出せないと思うんです。

僕らは学校にいる時に生徒からの個別の質問対応もしていましたし、彼らの悩みとかも聞いていたわけです。オフラインでやっていたことをオンラインで置き換えただけじゃないのかな、と思いました。

それこそ、学習だったら「スタディサプリ」などの既存の学習動画には質的に勝つことは難しいわけです。そしたら学校が価値を発揮するのって、双方向的なコミュニケーションから生まれる精神的満足度だけなんじゃないかなとも思います。

休校が終わったらこの双方向のコミュニケーションは無くしても良いと思いますが、この休校期間中は非常事態ということもあり、何とかこの機能を使う方向で考えていきたいです。

ってか、トラブルが起こったとしても、その対応を含めた経験値を早い段階で積んだ方が良いのではないかな、と思っています。

教育は今後、より双方向的なコミュニケーションがもとめられるし、アダプティブな方向に進むだろうから、この際、経験値を積みたいです。

エンタメだって少し前から、一方通行的なものから、ファンとの双方向的なものにシフトチェンジをしました。

休校になって、学校が魅力的な空間だったのは、授業は一方通行だったけど、それ以外の場での教員⇔生徒、生徒⇔生徒のインタラクションだったんだなと思うようになりました。

引き続き、このインタラクションの魅力をオンラインでも表現できるような制度設計にするために頑張っていきたいと思います。

仕事中にこんな長文を書いてしまいました。そうです。現実逃避です。でもここに書くことによって自分の頭が整理されたような気がします。

全国のICT担当の先生方。すごいことやってたんですね。尊敬します。僕も先輩方を見習って少しずつでも学校を良い状況に持っていけるように頑張ります。


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