#2 夢日記

 気にして毎日、というわけではないが、覚えていた時には夢の内容をメモに残している。先日とうとう40に到達したので、少しばかり達成感などを感じないでもない。いつか、高校の友人と夢の話をしたのを思い出す。

 私の見る夢は友人にとってはなかなか不思議に思うそうだ。私からすれば、食べ物をたらふく食べたりいつも通り学校で過ごしたり、という友人の夢こそ不思議に感じる。そんなに日々と似通った夢を見て疲れないのだろうか。それでは起きているも寝ているも変わらないではないか……

 私はあまり日常らしい夢を見ることがない。というより、見ていても覚えていることがないのかもしれない。私の夢のメモにはいつも知らない風景や現実離れした情景が書き留められている。何より私が私でなかったりする。それにテレビの画面を見ているような夢だったり、物語のように長い長い夢だったりする事もある。

屋内で同い年くらいの男が包丁を振り回している。何人か刺されたので、みんな叫びながら逃げ惑っている。
逃げ込んだのは家庭科室のような場所で、それぞれ盾になりそうな鍋やフライパンを手にして散り散りになった。そこに包丁を持った男が半狂乱になりながら駆け込む。私は焦って近くにあった中華鍋を引きずり出して男から離れようとする。
逃げきれずに何人か刺されて倒れた。血の気の引いた顔でそれを見ていた私の方に男が包丁を向けてくる。咄嗟に鍋を胸の前に掲げたら、何とか躱すことができた。私は強い衝撃で倒れる。慌てて起き上がろうとしたが、意識を失ったフリをすれば男はこの場から離れるだろうと、倒れたままで息を詰めた。
男は落としかけた包丁を握り直し、次の標的を狙いにいった。薄目で周りを見ると、足元と頭側とにそれぞれ1人ずつ多量の血を流して倒れていた。ピクリともしないので最悪死んでいるだろうと思った。私は血を流していないので、バレるのも時間の問題だ。気づかれる前に逃げなければと考えていた。

 これは某日のメモだが、文字に起こすとなんとも滅茶苦茶な話である。しかし夢の中では必死だし目を覚ませば息が上がっている。
 友人の夢を疲れそうとは言ったが、どうやら私の方がよっぽど疲れる夢を見ているらしい。たまにはのほほんと紅茶を飲むくらいの緩やかな睡眠を楽しみたいものである。

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