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日記

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Twitterの拡張版として始めました。140字でおさめるにはあまりにくだらないしとりとめもない話など。 誰にも読まれなくてもいいからとりあえず日記という体で書いています。
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2019年10月の記事一覧

日記34:ハローハローハロー(2019/10/25)

三度繰り返された言葉は、虚空に放たれている。そう決まってる。 一度目は相手のあるものとして。二度目は大切なことなので。三度目は真実。あるいは生きること。あるいは死ぬこと。あるいは? スピッツのガーベラ、聴いたことある? 聴けばわかるよ。 スピッツのガーベラを聴けば全てわかるので、今日の日記はこれで終わりです。

日記31:乱視(2019/10/09)

おそらくだが物心ついた頃にはもう乱視の目だったと思う。どんなに集中して見つめても自分に見える月は必ず多重にぼやけていて、兎も蟹も住んでいなかった。兎がついていた臼と杵と、伸びっぱなしの餅だけが残っていてそのほかはただ薄黄色く光っている。それが私に見える月だ。 月を見ているとコンビニを思い出す。 暗いところで見るコンビニの灯りが好きだ。あれに得るのは安心だ。 学生だった頃、海のすぐ側に住んでいた。夜の海は真っ暗闇よりも暗闇で、ただ波の音と風の音、そして自分の心拍だけが身体を

日記32:台風(2019/10/12)

きっとこの台風が夏を連れ去ってしまう。 きっとこの台風が過ぎ去ると世界は秋になる。 そういう、不安と期待。 季節の変わり目に来る台風は決まってそういう不安と期待を乗せて私の世界に辿り着くわけだが、凡庸な脳の凡庸な不安や期待などは全てなかったことにして、平然と燦然とぽつねんと秋の空はやって来る。きっと今日も。 大雨が来ると高校時代を思い出す。 地元であった豪雨で子供が一人、川で行方不明になったことがあったからだ。試験期間だったと思う。遠目でテストを受けながら、その子供の情報

日記33:画鋲(2019/10/13)

壁に小さな穴があいている。目を凝らすとやっと見つかる程度の小さな穴だ。けれど、一度あいた穴は二度と塞がることはない。致命傷ではない。でも怪我だ。 画鋲によってあけられた小さな穴。それは増え続け、始めは目立たなかった跡もやがて「また刺すべき場所」然とするまでに拡張し、そうしてそのうち広がりすぎてお役御免になる。どうしたってそうなる。 どんな些細なことでもやったことはなかったことにはならなくて、良くも悪くもそれは自分の生きた痕跡として世界に存在してしまう。影響してしまう。 き

日記30:秋は夕暮れ(2019/10/01)

なんで「秋は夕暮れ」なんだ……。 俺は夕暮れが好きだ。 みんながみんな自分の手元しか見ていないのに俺だけがあの燃える美しさに気付いている電車の中で見る夕日が一等好きだ。そういう時、電車は宇宙船と同じになる。 夜が身近で安心するから、だから夜の入り口みたいな夕暮れが、真っ赤になって燃えて消えるのが美しくて美しくて大好きだ。命の終わりってああいう風に燃えるものなのかなとすら思う。本当は終わってから燃やされるのにな。何で? 烏の寝所。烏の寝所ね。 最近の夕暮れは労働に勤しんで