日記31:乱視(2019/10/09)
おそらくだが物心ついた頃にはもう乱視の目だったと思う。どんなに集中して見つめても自分に見える月は必ず多重にぼやけていて、兎も蟹も住んでいなかった。兎がついていた臼と杵と、伸びっぱなしの餅だけが残っていてそのほかはただ薄黄色く光っている。それが私に見える月だ。
月を見ているとコンビニを思い出す。
暗いところで見るコンビニの灯りが好きだ。あれに得るのは安心だ。
学生だった頃、海のすぐ側に住んでいた。夜の海は真っ暗闇よりも暗闇で、ただ波の音と風の音、そして自分の心拍だけが身体を