日記32:台風(2019/10/12)
きっとこの台風が夏を連れ去ってしまう。
きっとこの台風が過ぎ去ると世界は秋になる。
そういう、不安と期待。
季節の変わり目に来る台風は決まってそういう不安と期待を乗せて私の世界に辿り着くわけだが、凡庸な脳の凡庸な不安や期待などは全てなかったことにして、平然と燦然とぽつねんと秋の空はやって来る。きっと今日も。
大雨が来ると高校時代を思い出す。
地元であった豪雨で子供が一人、川で行方不明になったことがあったからだ。試験期間だったと思う。遠目でテストを受けながら、その子供の情報をずっと流してる市内放送を聞いていた。はやく見つかるように、はやく見つかるように、とうすらぼんやり祈りながら。
こんな時にテストなんかやってたって何の意味もないよと宛てない怒りを内包して、行き先ない祈りの正体を怒りに変えていった高校時代の自分から、今も何も変わっちゃいない。
自分の核の部分ってきっと物心ついたその瞬間から決まってしまって一生そのまま変わらないんだ。
雨が降ると頭痛が酷くする。ああほら、日記まで散文的になってきた。雨風が散っているから思考も散るのだと思う。俺は今とても適当なことを言っている。
おれの頭の血管あたりは気圧の低下に極端に弱いらしく、頭が痛むと「雨だな」と予報もできる賢さを備えているのを除くとただただ生きる上の枷でしかない。いや重荷でもある。平気な人間はどうやって生まれてきたんだ? なぜ気圧の影響を受けないんだ。教えてくれ。胎内からやり直すから。
頭が痛いよ。
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