税理士試験科目選択(講師・実務家目線)【#税理士試験】

前回記事では、税理士試験の科目取得について、受験生目線での思考について書きました。

それに対して、専門学校の講師目線や実務についた上ではどう思うかを書いていきます。
科目選択にお悩みの受験生は、参考にしてください。

1.講師として思うこと

正直、科目の選択はどれでも良いと思います。

自分の興味はフィーリングに合う科目で良いと思います。

こんな内容だと、投げているように思われると思いますが、(笑)
正直、そこまで固執しなくても良いのではないかと感じます。
税理士試験には特異性がありますので、とある科目にハマってしまう方を多く見ます。
知識はバツグン、答練でも常に上位、それでも合格を勝ち取れない方を目にします。
採点箇所や配点は非公開ですし、自分の作った答案は返却されないため、その方がどういう答案を作っており、それに対してどう採点されたのかは試験委員しか分かりません。
合格者がいるわけですから、単純に本番でのその方の出来が良くなかったのかも知れませんが、こういったことが何年か続くことがあります。
上記で示した、ハマってしまう状況です。
こういった状況に陥る可能性があるので、自分に合う、合わないは見極める必要があります。

早く受かる科目を選ぶ

ことを意識していただくのが良いと思います。

2.合格しやすい科目とは

では、合格しやすい科目とはどういった科目なのでしょうか。
これも本人に合う、合わないもありますし、これだ!と一つに絞れない難しさがあります。
その上で、各科目の特徴は以下のような印象があります。

① 所得税法・法人税法
⇒税法の必修科目なので、受験生は多いです。
約上位10%が受かる試験の傾向を考えれば、受験生が多いほど合格者の絶対数は必然的に多くなります。
会計科目が終わって次のステップで受験される方が多い(最近は、消費税法などのボリュームの少ない税法を経験してから学習される方もよく見ます)ので、初めての方と経験者で受験生のレベルの開きが大きい(どの科目にも言えることですが)の印象があります。
出題範囲が広く、専門学校のカリキュラムでも学習しないような論点が出題されることもあるため、合格レベルに達するまでに時間を要します。
上記のように、合格者の絶対数が多く、合格レベルに達しないまま受験する受験生も多い点を考えると、ある程度まとまって学習時間の取れるような方にとっては、勝ちが見込める科目なのではないでしょうか。
一つのミスが命取りになるというわけではなく、また、出題論点が多く、配点箇所が不明のため、番狂わせが見られます。

② 相続税法
選択科目の中ですが、国税なのと、近年の相続ビジネスの注目度により受験者数は多いです。
選択科目の税法の中では最大のボリュームがあり、また、既に4科目に合格している受験生がラスト1のところで受験する傾向があり、所得税法や法人税法などの相続税法よりも難易度の高い税法をくぐり抜け、また、他の税法も学習済みの猛者が受験する印象があります。
資産税については、やらない税理士は実務にいっても全くやらなかったりするので、知っているといざ実務でその知識を使う機会がきた場合には大きなアドバンテージになります。

➂ 消費税法
実務では、課税事業者に該当する個人事業者や法人について必ず使う税目なのでミニ税法の中ではひと際人気があります。(ミニ税法の括りですが、正直、他のミニ税法に比べてかなりボリュームがあると思います。ミニ税法の括りで良いのだろうか。。)
①の所得税法や法人税法にいかず、まず、消費税法から入ろうという方や、院免+1科目で受験される方が多いです。
ボリュームはミニ税法の中では多いですが、①、②の科目に比べれば少ないので合格レベルまで自分の知識を完成させるまでは割とスムーズにいくと思います。
受験専念(大学生が大学中に簿記論・財務諸表論に合格して、大学院卒業の間に受験するなど)の方や、
合格レベルにあるのに、前年の受験で涙を飲んだ方などが多くおり、上位層のレベルが極めて高い印象があります。
合格レベルに達している上で、本番もそこまで多くのミスが許されないため上位陣から割と順当に受かっていく気がします。

④ ミニ税法(酒税法・固定資産税・事業税・住民税・国税徴収法)
学習ボリュームが少なく、合格レベルに達しやすいです。
総合的な学習時間が少ないため学習時間の取りにくい働いている方が学習している印象があります。
院免の受験生が消費税法の代わりに、この中のミニ税法を受験することもあります。
文頭にも書いたように合格レベルに達しやすいのですが、その反面、周りの受験生もレベルが高いのと本番では1つのミスでさえ命取りになる可能性があります。
受験人数自体も少なく、合格者の絶対数が少ないのでかなりハイレベルな戦いになると思います。
ボリュームが少ないから受かりやすいということは決してないです。
所得税法と住民税の講師を担当してみて、ミニ税法はミニ税法の難しさがあると痛感しました。
計算で専門学校の模範解答と最終値が同じなのに合格できなかったという話も耳にしたことがあります。

付け足して、最近、少し思うのは国税徴収法は意外に狙い目なのではないでしょうか。受験者が近年増加しており、所得税法を上回るほどです。
受験者が多いということは、合格者の絶対数が多いわけなので良いのではないかと思います。
学習内容はほぼ計算がなく、理論を理解して覚える形になるので、計算が得意な方には向かない点もあります。

3.実務について思うこと

実務につくと正直、合格科目は関係ない気がします。
必要であれば試験が終わってからでも新たな税法でも学びますし、受験とリンクする点もあれば、実務的な側面も多々出てくるので結局、また学ぶ必要があります。
実務についても学びは終わりません。
結局はほとんどの税目の知識を身に着けなければならないので、学習してきた税法にプライドを持って、熱くなって、実務に臨むことは良いことなのですが、受験がすべてではないと思います。切に思います。
今も会計事務所によっては、法人税法の受験経験を応募資格にしているところもあったりしますが、雇う側からしてみれば、所得課税の何たるやを一から説明するのは大変なので、知っておいて欲しいということなんでしょうね。
別に、法人税法をやっていないからと言って、その事務所とは縁がないかも知れませんが絶対に就職できないなんてことはないですし、実務について真剣にやれば直ぐに身につくので法人税法に囚われるなどしなくて良いと思います。
会計科目を終えたら講師から、企業会計を学習したんだからその流れで法人税法がいいとアドバイスを受けたという話も聞きますが、そんなことはないのではないかと個人的には思います。

4.まとめ

上記で諸々を示してきましたが、結論は、自分の好きな税法を学習して良いと思います。
興味があることが向上する上では一番ですし、他人の意見は参考までで、それに囚われず、自分で自分の人生の選択をすることを心掛けていくのが良いと思います。
その方が、真剣になれるし、何かあっても後悔はないと思います。
早く合格できる最良の選択して、早く受験を終え、実務の世界で羽ばたいてください。

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