Travis Japanは+81で帝国を再建する
ジャニーズ事務所が「帝国」と比喩される理由は、そのインペリアリズム(※)的な運営にある。
このやり方は正直あまり褒められたものではないけれど、そのおかげでジャニーズがここまで大きな勢力になったことは間違いない。
そしてまた、ジャニーズが嫌われる理由の一つになっていることも然りである。
けれど近年頻繁するいろいろな、本っっっ当にいろいろな事情により「帝国の崩壊」と言われて久しい。世間一般のイメージからするとジャニーズはもうとっくに「オワコン」なのだという。
私は何だかそれがとても悔しい。悔しくてたまらない。だってこんなに素敵な後輩たちが育ってきているというのに、世間はそれに見向きも気づきもしないんだから。
ジャニーズ帝国へのアナキリズム
かくいう私も小学生から長年ジャニオタを続けているが、「ジャニーズ帝国」に対する一種のアナキリズム(※)を抱いた瞬間があった。それが以下のツイートである。
今応援しているジャニーズJr.の7人組、Travis Japan(以下トラジャ)が、2021年7月31日に放送されたBSフジ「EP.3:Techno~ Travis Japan × PIKOTARO」という番組に出たあとに、勢いにまかせて呟いたものだ。
トラジャはこの放送の2週間ほど前に初の全国ツアーである「IMAGE NATION~全国ツアーしちゃってもいいですかっ!?~」を完走しているが、これがま~~~~~~~あ素晴らしかった。本当に言葉にならないくらい素晴らしかった。脱線するけれど、とりあえずこれを見てほしい(DVDが出ます。完全受注生産なので良かったらお買い上げください)。
そして、そのBSフジさんの企画というのが、「いろんなジャンルの方に楽曲提供(アレンジ)していただき、それにあった振り付けを6時間で完成させる」というもので、これまたま~~~~~~あ素晴らしかった。3回目の今回はもはやアイドルの域を超えていて、しばらく呆然として言葉を失ったほどだった。
こんなにすごいのに、トラジャは何となく推されてないんじゃないかと感じていた私は、「何でトラジャはこんなすごいのにデビューできないの? もうこんな事務所出たらええやん!! 今はジャニーズじゃなくてもデビューできるし! 絶対トラジャはもっともっと売れる!!!!!」などと鼻息を荒くしていたのだ。今思えばとんでもない暴論である。
するとどうだろうか。このあと1か月ほどで「+81 DANCE STUDIO」という、画期的なプロジェクトが始まったのだ。
このプロジェクトは、歴代の先輩たちの曲で踊るという、これまでありそうでなかったもので、そのグループのファンの方々の好意的な評判も聞こえてくる。本当にありがとうございます。
私は興奮のあまりティザー映像が公開された途端、掌を返すように「トラジャはこれからのジャニーズを背負って立つんや!」とこれまた鼻息を荒くしていた。まじでちょっと自分の発言に責任もった方がいい。
+81についてはいくつか書いたけれど、そのなかで確固たる自信を持っていたのが「Travis Japanはこのプロジェクトでジャニオタを救う」ということ。
簡単に言えば、「解散・休止・脱退者のいるグループの歌を原曲で踊ることで、そのグループのファンの気持ちを昇華させるかもしれない」ということだ。
私も長年関ジャニ∞を応援しているので、8人時代の曲を踊られた日には自我が保てるかどうか自信がない。
そうやってジャニーズから離れる可能性のあるファンを救ってくれるのかもしれない。それほどトラジャはすごいことをやっているな、と思った。
ジャニーズ帝国の世代交代
そう考えていた私も、2021年11月5日に「Johnny's Festival」開催決定のメールを受け取った時は割と大きな衝撃を受けた。出演者一覧で、3番目に関ジャニ∞の名前があったからだ。
私の世代(30代前半)のしっくりくる一覧といえば少年隊、SMAP、TOKIO、V6、KinKi Kids、嵐、タッキー&翼、NEWS、そしてやっと関ジャニ∞、KAT-TUNであろう。
何なら10周年を迎えるSexy Zoneでさえ最近デビューしたような気がしている(反対にKis-My-Ft2はJr.時代を見ているせいかまだ10年……?という気持ち)。
それが、9番目だった関ジャニ∞が、3番目……? 近年のジャニーズ事情を受け入れているつもりであっても、こうして改めて一覧で表されると何とも言えなくなる。
最近はカバーされた有名な曲でも元が誰の歌か知らない人も増えたり、なんとなく時代の移り変わりを感じることが多くなった。
誰のこととは言わないけれど、一部で「老害」とか「後輩人気に便乗してる」なんて言われてるところを見てしまうと「ジャニーズの先輩たちってすごいんだぞ!!!!!!」とマイクロフォンで耳元に叫びに行きたい気持ちになる。だって私にとって、彼らは誰もがスーパーヒーローなのだから。
もちろん新陳代謝は大切だし、世代交代も必要だけれど、こうしてかつての栄光は過去のものとなり、どんどん私の好きだったジャニーズは薄れていくんだなぁ……と何ともセンチメンタルになってしまった。
そこでふと思い出したのが、大好きな「+81 DANCE STUDIO」のことだった。
ジャニーズ帝国は本当に崩壊しているのか
+81が始まったとき、彼らのInstagramには「ジャニーズの先輩方が残した名曲を世界に発信する」と記されていた。
「さまざまな世代のみならず、世界中の視聴者に向けて配信していきます。(出典:+81 DANCE STUDIO Youtube概要欄)」とあるように、これからの世代に、世界に、過去の名曲の数々を知ってもらうこと、残していくことが目的なんじゃないか。だからこそのJOHNNY'S CLASSICSなんじゃないか。
なぜそんな基本的なことをすっかり忘れていたのだろうか。+81というコンテンツをあまりにも普通に楽しみすぎて、どこかへ飛んでしまっていた。
近年の事務所内のいろいろは、きっと若いタレント達にも大きな影響を与えているはずで、嫌でも「ジャニーズ帝国の崩壊」は耳に入っていると思う。けれど、そこで立ち止まるわけにはいかないのがジャニーズイズム、“Show must go on”の精神である。
伝統を重んじ歴史を伝えるために、新しい独自のパフォーマンスを加えて文化を発展させる。彼らは+81で「ジャニーズ帝国」を再建しようとしているのだ。
たくさんのボーイズグループが台頭する今、もはや世間にとっては「ジャニーズかどうか」なんて重要ではなく、「どれも同じに見える」という意見も少なくはない。
だからこそ、Travis Japanは自分たちが世界を目指す今、大好きなジャニーズを背負って立つことにしたのだと思う。
+81 DANCE STUDIOは多角的なプロジェクトである。他G担の既存のジャニオタを救い、トラジャ担に他Gや過去曲の良さを伝え、さらに「ジャニーズは終わった」という外の人に向けてジャニーズ帝国の復活を示そうとしている。
新たな幕開けへ
先述の全国ツアー“IMAGE NATION”のコンセプトは〈創造国家〉。彼ら一人ひとりが〈国王〉となり、各々の個性が散りばめられた新たな国家を創りあげることで、”Travis Japan”という一つの〈帝国〉が生まれた。
それはもしかしたら「新しいジャニーズ帝国」の誕生を表していたのかもしれない。
これまでのジャニーズは一人の個性というより、どちらかというとグループとしての個性を大切にしてきた。その各グループ=各国をまとめあげ、〈帝国〉として芸能界に君臨していたのだ。
先に書いた通り、今では多くのボーイズグループが台頭し、もはやこれまでの帝国的な戦い方では必ず終焉が来ることは間違いない。
少し前からはジャニーズっぽさを薄めたようなコンテンツや演出で、いわゆる「ジャニオタ受け」から脱しようとする姿も見られる。そのおかげで新たなファン層を取り入れることもできているけれど、だからといってそればかりでは短期的な戦略にしかならない。
そこでジャニーズの強みである先輩たちの伝統と、自分たちの個性を掛け合わせることで、ジャニーズならではの魅力を再発見してもらう。温故知新のコンテンツが+81 DANCE STUDIOである。強い、強いぞTravis Japan。
それができるのは、発信する側が「ジャニーズというアイデンティティに誇りをもっていること」が大前提。誰だ、「ジャニーズ出てデビューしよう!!!」なんてそんな戯言を言ったやつは。一旦土下座した方がいい。
トラジャは今、新しい試みをたくさん行っている。+81ではコレオグラファーの方々とのコラボ、Youtubeチャンネルでは水溜りボンドやkemioさん、そしてBSフジの企画では、MIYAVIさん、真秀-MAHORA-、ピコ太郎さんなど、外交も盛んである。
これからジャニーズが目指す未来が、”一人ひとりの個性を大切にし、ある程度の自主性を持ったグループ(=国)たちがジャニーズという一つの大きな国を成し、外部との関わりは侵略ではなく交流を図っていく”ことだとしたら、ジャニーズ帝国は崩壊したのではなく、これからの時代にあった国に生まれ変わる途中なのである。いうなれば……ジャニーズ共和国? いやジャニーズ連邦?(しっくりこない)
そして、これこそが大きな意味での“IMAGE NATION”なのかもしれない。
今+81を頑張っているTravis Japanが、その筆頭に挙げられる日が来ることをとても楽しみにしている私がいる。トラジャは間違いなく、これからのジャニーズを生まれ変わらせ、引っ張っていく力があると信じているから。
Travis Japan、絶対デビューしようね!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?