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『麒麟がくる』(第3回)の「狐女房」

今日(2020年02月02日。0と2が多い!)の『麒麟がくる』では、美濃国の伝説として、『日本霊異記』の「狐女房」が紹介されました。

★『日本霊異記』「狐女房」
https://note.com/sz2020/n/ndde0b14811b3

ただ、歌が、
「恋は皆我が上に落ちぬ玉かぎる遙かに見えて去にし子故に」
ではなく、
「私一人残して玉の光のようにほんの僅かの間でお前は消えてしまった」
でした。牧(明智光秀の母親)が「少し違うけど」と言ってましたが、全然違いますよ (^-^;) 。意味は同じけどね。(「少し違うけど」って、どう違うのか、石川さゆりさんに歌っていただきたかった。)

 「玉かぎる」は「珠が淡い光を放つ」ことから「ほのか」「はろか」等にかかる枕詞であって、「珠がキラッと一瞬煌めき輝く(瞬間、短い時間)」ではありません。「短い」にかかる枕詞は(玉を繋ぐ緒が短いことから)「玉の緒(たまのを)」です。
 とはいえ、「玉かぎる遙かに見えて(去にし)」は、「最初は、ぼーっと光る玉のように不鮮明に見えて、くっきりと見えだしたのに(鮮明画像になる前に去って行ってしまった)」でしょうから、一瞬ではないにしろ、「短期間」ではあります。その「短期間(子供が生まれているので、少なくとも1年以上)」を男は「一瞬」と感じたのでしょうね。

「この世の恋の悩みはみなわたしの身のうえにだけおちてきたような気持ちだ。ほんのちょっとあらわれてどことも知れず去ったあのかわいい女のために。」(諏訪春雄訳)

 珠は糸魚川で採った翡翠を出雲で加工して造ります。本物か、よく似た「狐石」(本物だと思って鑑定してもらうと「偽物」と言われ、狐につままれたような気分になるので「狐石」という。「ロディン岩」とも)かは、光を通すか通さないかで見極めます。本物は光を通して仄かに光ります。「玉かぎる」状態になるのです。(他の見分け方は、「鉱物用カッターで削ってみる」です。狐石(ネフライト、軟玉)は一瞬で石の内部まで刃が通り、翡翠(ジェダイト、硬玉)は、ガリガリと表面が削れるだけです。ネフライトにジェダイト・・・セーラームーン☆彡)

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帰蝶「叔母上はお話がお上手でね、夜になると、よく昔話をして下さった。今でも覚えていますよ。美濃の狐の話」
牧「あぁ、あの話」
帰蝶「大好きで、何度も話してもらって」
駒「へ~、どういうお話ですか?」
帰蝶「昔々、村の一人の若者が、お嫁さん探しの旅に出て、ある野原で、可愛い孤児の娘を見つけ、大層気に入ってお嫁にするという話。そうですね?」
牧「えぇ」
駒「へ~」
帰蝶「若者と娘は、可愛い子供も出来て、幸せに暮らすのだけど、家に犬がいて、それがいつも娘に吠えて仕方がないの。実は、娘は狐だったのね。ある日、犬がひどく吠えて娘に迫り、とうとう娘は、若者の前で狐の姿を見せてしまい、『ここで暮らすことは出来ない』と、子供を残して去っていくという話」
駒「その時、若者が歌を歌う話ではありませんか?──こんな歌ですか?
〽私一人残して~ぇえ 珠の光のようにぃ~い ほんの僅かの間で~ぇえ おん前は消えてしまったぁ~あ」
牧「少し違うけど、そなたは京から来たのに、どうしてこの話を? これは、美濃に古くから伝わる話です」
駒「ある人から聞いたことが、昔」
牧「では、その御方は、美濃のお方やも?」
駒「・・・(「大きな手の人」の正体を知らないので、答えられない)」

果たして、「大きな手の人」は誰なのか?
(上の写真は『翡翠の雫』の高千穂珠洲の手です。)


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