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139.NASAと鉛筆〜あの有名コピペの真相を知って気づいたこと〜

ごきげんよう。

先日、ネットサーフィンをしていたら、たまたま気になる文房具についての記事を見つけました。


芯も軸も金属の鉛筆……!
どんな書き味なんだろう。
芯が減ったらどうするんだろう?
色々気になりますよね。

(2023年追記)
どうやらこの鉛筆、売れてるみたいです。
確かに、普段使いには少し高いものの割と気軽に買えるお値段ですし、ちょっとしたプレゼントとかにもよさそうですもんね。

かくいう僕もちょっと欲しいです。

…というところで、
さて、こっから本題です。

一方ロシアは…

この金属鉛筆の記事を読んだ時、思い出した小噺がありました。

こんな話です。

アメリカのNASAは、宇宙飛行士を最初に宇宙に送り込んだとき、無重力状態ではボールペンが書けないことを発見した。

これではボールペンを持って行っても役に立たない。

NASAの科学者たちはこの問題に立ち向かうべく、10年の歳月と120億ドルの開発費をかけて研究を重ねた。

その結果ついに、無重力でも上下逆にしても水の中でも氷点下でも摂氏300度でも、どんな状況下でもどんな表面にでも書けるボールペンを開発した!!

一方ロシアは鉛筆を使った。

出典不明

小噺っていうか、コピペですね。
ラスト1行でキレイにオチがつく、
とてもよく出来た話だと思います。

続きがあった

このコピペが流行ったのはもう10年以上前だと思いますが、
こないだこの話の続きというべき話を、ひょんなところから知りました。

どんなのかというと、
「鉛筆は折れた芯や粉塵が無重力下で舞い、機械や人体に悪影響を及ぼす。だから、NASAが大金を投じてペンを開発したことに意味はあったのだ」
というようなお話。

聞いてみるとなるほど、と思います。

考えてみれば、
鉛筆って折れるし、削りカスも出るし、
もし字を消したら消しカスも出るし、
あまり無重力空間で使うには適してなさそうですよね。

冒頭のコピペでNASAのことを笑ってた人(僕ですね)は、ここで一本取られたわけです。

真相は?

しかし、ここで気になるのは
「ホントのところはどうだったの?」
ということです。

なんせ、そもそものペンと鉛筆の話、
出典不明のコピペですからね。

真相はどうだったのでしょうか。

このことについては、
なんと、NASAが公式サイトで言及しています。

以下、転載します。
(リンクも貼っておきます)
当然英語ですがその辺は頑張ってください。

During the first NASA missions the astronauts used pencils. For Project Gemini, for example, NASA ordered mechanical pencils in 1965 from Tycam Engineering Manufacturing, Inc., in Houston. The fixed price contract purchased 34 units at a total cost of $4,382.50, or $128.89 per unit. That created something of a controversy at the time, as many people believed it was a frivolous expense. NASA backtracked immediately and equipped the astronauts with less costly items.

During this time period, Paul C. Fisher of the Fisher Pen Co. designed a ballpoint pen that would operate better in the unique environment of space. His new pen, with a pressurized ink cartridge, functioned in a weightless environment, underwater, in other liquids, and in temperature extremes ranging from -50 F to +400 F.

Fisher developed his space pen with no NASA funding. The company reportedly invested about $1 million of its own funds in the effort then patented its product and cornered the market as a result.

Fisher offered the pens to NASA in 1965, but, because of the earlier controversy, the agency was hesitant in its approach. In 1967, after rigorous tests, NASA managers agreed to equip the Apollo astronauts with these pens. Media reports indicate that approximately 400 pens were purchased from Fisher at $6 per unit for Project Apollo.

The Soviet Union also purchased 100 of the Fisher pens, and 1,000 ink cartridges, in February 1969, for use on its Soyuz space flights. Previously, its cosmonauts had been using grease pencils to write in orbit.

Both American astronauts and Soviet/Russian cosmonauts have continued to use these pens.

Fisher continues to market his space pens as the writing instrument that went to the Moon and has spun off this effort into a separate corporation, the Fisher Space Pen Co.

Steve Garber, NASA History Web Curator

全文まるまる貼っちゃいましたが、要は

NASAも当初は鉛筆を使ってたし、

無重力でも使えるペンはNASAじゃなくメーカーの自主開発だし、

ソ連/ロシアも無重力ペンを使ってましたよ、

というお話です。(太字部分参照)


うん、身も蓋もねーな!!

まあ、事実は往々にしてそんなものですよね。

伝聞はまことしやかに脚色される

この真相を知って思ったのは、
事実はやはりありのまま広まることはない、
ということ。

物事は人づてに伝わっていく過程で
より人目を引くよう面白おかしく脚色されていくものだし、どんどん尾ひれがついて、しかもそれがいかにも事実かのように広められていくのだなと。

良いとか悪いという次元ではなく、
伝聞とはそういうものなのでしょう。

だからこそ、
情報を取るときは、
その出処に注意するのが大事
だな
と、改めて思いました。

一次情報、ソースが確かなもの、
責任を持って発信されているもの。

自分が何かの決定をするときとか、
人に伝えるときなど、
しかるべき場面では特に、
情報の取り方を大事にしようと思います。

そしてもう一つ思ったのは、
噂話には必ず尾ひれがついてると思っておこうということ。

特に人が集まるところには、
必ずといっていいほど、噂話があります。

そういう話を聞いたときは、
別に面白がるのはいいけど、
そのまま鵜呑みにするのはやめておきます。

また、自分に関することも、
仮に何か人に広まることがあれば
必ず脚色されていると覚悟しておいた方が良さそうです。

情報と上手に付き合える自分でありたいものです。

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