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マクドナルドの生成AIを使ったポテト宣伝動画から汲み取れるAI生成物が忌み嫌われる理由


2024年8月17日、マクドナルドの公式Xアカウントが”生成AIを使ったポテト宣伝動画”をポストしました。

こちらのマクドナルドの生成AIを使ったポテト宣伝動画ポストのリプを見ると賛否あり、いえ、否のほうが目立つように感じます。

俯瞰でみると、面白いくらいAI/生成AIって嫌われてます。「忌み嫌われる」といったほうが適格かもしれないほど。

このマクドナルドの生成AIを使ったポテト宣伝動画に対する否定的な反応が多い理由として、いくつかの要因が考えられます。

マクドナルドの生成AIを使ったポテト宣伝動画に対する否定的な反応が多い理由

倫理的問題

まず、倫理的問題。
AI/生成AIを利用すること自体が問題だと感じる人がいます。

例えば、AIによるコンテンツ生成がクリエイターの仕事を奪うという懸念や、無断で著作権や肖像権を侵害している可能性を懸念する声があります。

マクドナルドのAI動画に対しても、同様の疑念が向けられているのかもしれません。

AIが労働市場に与える影響や、クリエイティブ産業におけるAIの役割についての倫理的な問題が含まれます。

AIに対する不信感

日本では、AI/生成AIの利用に対して懸念を持つ人が多くいます。

特に、AIが作ったコンテンツが、”偽りのリアリティ”を提供していると感じる人が増えています。これにより、「本物らしさ」を欠くAIコンテンツに対する反感が強まっているのだろうと考えられます。

広告効果への疑問

このようなAI生成コンテンツが、本来の広告としての目的を達成しているのか、疑問を感じる人が多い可能性があります。

AI生成の人物/キャラクターが現実的でない・リアルでないために感情移入が難しい、もしくは違和感を感じる人がいるのだと思われます。

過去のトラブルや議論の影響

過去にAI関連のトラブルがあったり、SNS上でAIに対する批判的な議論があった場合、それが今の状況に影響している可能性があります。

わかりやすいところでは、画像生成AIによる盗作が挙げられます。

画像生成AIは、公開されている大量のデータから学習を行うことが多いため、アーティストの作品が無断で使用され、その結果として生成されたAI画像が元の作品に酷似している、あるいは「盗作」「パクリ」と見なされることがありました。

これが発覚した際に、多くの絵師やアーティストが自分たちの作品が不正に利用されていることに強い怒りを感じ、またそのファンの方々も同様に怒りを覚えたことでしょう。

俯瞰的にも、クリエイターの権利が守られていないと感じられるため、AIそのものに対して強い反発が生まれます。

特に日本では、アートや創作に対する尊重が強い文化があるため、「盗作」「パクリ」といった権利侵害は非常に深刻な問題と受け取られます。

オリジナリティへの懸念

↑ポストのリプを見ると、「パクリ感がある」や「AIを使うことで創造性が失われる」といった意見が見られます。

これは、AIが他の作品を学習して生成するため、”オリジナリティが欠ける”と感じる人が多いことを示唆しています。

AIとクリエイターの関係

「AIが作ったものは本物じゃない」という意見もありますが、これは”AIが人間のクリエイティブな仕事を奪ってしまう”という懸念から来ているものだと考えられます。

また、特に日本では、伝統的な職業やスキルが重視される文化があるため、AIの登場が脅威と感じられることが多いのかもしれません。

品質や完成度への不満

「最新の生成AIを活用したとしても、知識が乏しいとこの程度」というコメントも見られることから、AIで生成されたコンテンツの品質が期待に応えられない場合、それが不満として表れることもあるのでしょう。

私的見解

現状、日本ではAIに対する反発が他の国と比較して強いことが伺えます。

いや、他の国の程度を明確に把握しているわけじゃないので、「現状、日本ではAIに対する反発が強め」なのかなと。

技術的な進歩は歓迎される一方で、それが文化や職業倫理にどのような影響を及ぼすかについて、まだ多くの議論が必要とされているのかもしれません。

今回の件に関して、マクドナルドのポストのリプに一通り目を通しましたが、賛否どちらかが「正しい」というよりも、意見の相違から賛も否も互いにフラストレーションが高まっているのが感じられました。

意見に対して感情的に反応しており、その結果、議論が建設的でなくなりつつあります。

特に「パクリ」や「同じようなものが作れる」という言葉が議論をエスカレートさせています。

このようなやり取りは、オンライン上でよく見られるものであり、特にAIやクリエイティビティのような感情的なトピックでは、意見が対立しやすいです。

賛否お互いの視点を理解しようとするよりも、自分の意見を強調することに重点が置かれているため、結果としてイラつきが表面化してしまうのだろうと考えられます。

日本では、新しい技術や変化に対して慎重な姿勢が取られることが多く、AIのような急速に進化する技術に対しても警戒心が強いです。(この背景には、技術が文化や伝統に与える影響を懸念する声があると考えられます)

また、日本では、手仕事や伝統的な技術が非常に重視されており、それらがAIによって置き換えられることへの抵抗感もあるのだろうと。

AIが創作活動に関与することで、これまでの伝統的な芸術が軽視されるのではないかという懸念も広がっているのかなと。

個人的に思う、賛否の”否”の意識が和らぐためには、複数の取り組みが必要だと思ってます。

どのようにしてAIがデータを学習し、生成物を作り出しているのかをより透明にすることで、誤解や不信感を和らげることができるのかなと。

例えば、AIが利用するデータセットの出所や、そのデータがどのようにして選ばれたかを明確に示すことが重要です。

AIの学習プロセスの透明化→透明性と説明責任の確立、という感じですね。

次に著作権保護の強化。

アーティストやクリエイターが自身の作品が無断で利用されないようにするための仕組みを整えることが重要です。

これは「盗作」「パクリ」問題からも顕著で、AIが生成するコンテンツにおいても、元のデータの利用についての権利が尊重されるようにする必要があります。(二次利用=盗用という声もあるので、なかなか難しい面も)

とどのつまり、やはり個人的にかねてより思っている法規制の整備・適切な規制の導入は確立されてほしいところです。

AI技術の開発と利用に関して、適切な法的規制を導入することで、無秩序な利用を防ぎ、社会全体で受け入れられるルールを確立することが重要です。

これには、プライバシー保護、データ利用の規制、AI生成物の著作権保護などが含まれます。

AIや生成AIに関する明確なルール制定がない限り、賛同派と否定派の論争が単なる二項対立に終わってしまい、建設的な議論が進まないでしょう。

ルールやガイドラインがないと、AI否定派の懸念や不安は単に「心配しすぎ」として片付けられてしまいがちですし、賛同派の立場も「無責任」だと批判されることがあります。

これでは、両者の意見が嚙み合わず、問題の本質に迫ることができません。

明確なルールが制定されれば、どのような状況でAIを使うべきか、どのような倫理的基準を守るべきかが明示されるため、より具体的で現実的な議論が可能になります。(なるとは思ってます)

これにより、AI技術の利点を最大限に活用しながら、社会的なリスクを最小限に抑える道を模索することができるのではないかと。

また、ルールが制定されることで、AI否定派も安心して議論に参加できるようになり、より広範な視点からAI技術を評価し、社会にとって最適な利用方法を見つけることができるはずです。

結局のところ、AI技術は社会全体に影響を与えるものであり、その未来を決定するには、全ての関係者が建設的に関わることが必要です。

私的として最後に、AI情報発信者は「なぜAI生成物は意味嫌われるのか」明確な理由を把握しておくべきだと思ってます。そうじゃないと賛否両派間で建設的な議論の板に立てないのかなと。

まとめ

マクドナルドの生成AIを使ったポテト宣伝動画に対する否定的な反応が多い理由としては、上述したように様々な要因が相まって、日本における画像や動画生成AIに対する反発や嫌悪感が形成されていると言えます。

このような背景から、AIが生成したコンテンツに対して批判的な意見が多く見られるのは、その技術が文化や倫理にどのように影響するかという深い懸念が根底にあるからだと考えられます。

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