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絵画解説シリーズ・美術関連noteまとめ

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絵画解説や、テーマが特に美術(作品)に関連するnoteをまとめております。
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#美術

無憂宮の調べ、大王の音楽

 前々から欲しかったクラシック音楽のCDを購入した。「フルート協奏曲、シンフォニア集」。誰の曲かというと、フリードリヒ大王である。    ドイツ好き、世界史をよく学ばれた方であれば、その名に聞き覚えがあると思われる。  プロイセン王、フリードリヒ2世。  哲学者として名高いイマヌエル・カントは『啓蒙とは何か』において、啓蒙思想の盛んであった彼の統治時代を“フリードリヒの世紀”として讃えたことでも知られるように、フリードリヒ大王はその軍事的才によって強国たらしめただけでなく、

絵画解説:「バベルの塔」

 ブリューゲルの絵画「バベルの塔」のパズルを買った、という話を前回少し書いたのだが、今回はそれにちなんで解説を試みたい。  とは言っても、バベルの塔という物語は有名で、もはや僕があえてするような余地はない気もする。  バベルの塔。それは旧約聖書にある話を描いたもの。  天にも届く塔を建てることによる洪水への対策と神への挑戦。  だが、神にとっては謀叛である。  よって、その塔は破戒(または未完成のままに)されると共に、以降、人間の言葉もバラバラにされた(言語がひとつではなく

絵画解説:「The young Napoleon Bonaparte studying」

 絵画の語り口として、大きく分けて二つあると僕は思う。  一つはその絵画を描いた作者について。当人が有名であればあるほど、紙面上で絵画自体の特徴に触れる余地が減っていく。  もう一方は、描かれた題材(景色・テーマ・人物)が有名な場合。この場合だと、むしろ描いた作者があまり知られていない事が多々ある。  さて、今回扱う絵画はこの後者―――すなわち題材が有名で、作者が日本では無名―――に該当するのだが、それでもなかなか特殊なケースであることを前もって言っておきたい。    今回

絵画解説:クロード・モネ「睡蓮」

 先日、100円ショップ・セリアに、「睡蓮」と「モナ・リザ」のジグソーパズルが売っていたのでさっそく作ってみた。それをきっかけに、今回はモネの睡蓮について軽く解説してみたい。  「モナ・リザ」については案外、基本的なことは多くの人が知っているであろうし。映画でも大ヒットだったミステリ『ダヴィンチ・コード』シリーズの影響もあるのかもしれない。  さて、モネの睡蓮と言われて、あなたが想像するのはどのようなものだろうか。というのも、モネは様々な「睡蓮」を描いているのだ。  試みに

美術解説への憧れ

 昨日、投稿したnoteこそ、僕にとっての美術解説の第一歩となった。  YouTubeでは山田五郎の解説をほぼ毎回観ている。  またYouTubeといえば、VTuber事務所・ホロライブでは、「ラプラス・ダークネス」さんが絵画好きと以前言っていた他、ついには新人デビューした「儒烏風亭らでん」さんが、配信で美術解説すら行いだした。    しかも、僕が中学の時に興味を持っていた能面を付けて初登場。  悔しいが、僕は能面を持っていない。その上、美術好きだが僕は解説をしていない。わ

絵画解説「虚空蔵菩薩像」

 美術館などへ行くと、必ず気に入った作品のポストカードを買っているという話は、かつて書いたことがある。  それらはホルダーにしまっているのだが、唯一、飾っているものがある。  それが、「虚空蔵菩薩像」。  西洋絵画などであれば、写真・ポストカード立てに入れるのが通例だが、日本の仏画なので、ポストカード用の掛け軸をチョイスしている。  さて、「菩薩」というのは、悟りを開く前の修行段階の姿である。  虚空蔵菩薩の名は、空海について調べたことのある人であれば印象的な存在。それにつ

西洋陶磁の歴史と魅惑

岩波新書・大平雅巳(著)『西洋陶磁入門』もともと私は、西洋絵画の鑑賞とその歴史に関心があり、よく美術館やその特別展・展覧会に行っている。特に印象に残った作品のポストカードを買うこともまた、趣味の一つであると自認している。 また、近頃は美術評論家として知られる山田五郎氏が自身のYouTubeチャンネルで解説を投稿なさっているが、その動画を拝見するのも楽しみの一つとなっている。 一方で、陶磁器に関しては洋の東西を問わずして、個人的に少し敷居が高いように感じていた。というのも、そ