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辻村深月『冷たい校舎の時は止まる』を読んだ

同じチームの先輩に教えていただいた本。冷たい校舎の時は止まる、読み終わった。

自分が今まで読んできた本の中で1番と言っていいほど、人物描写が本当に繊細でびっくりした。

一人一人の今までの人生が丁寧に振り返られて、「それ」があったからこの行動をするんだな、という背景がすべて綴られている気がした。

例えば、榊先生の榊というのは苗字ではなく名前だったことや、「ヒロ」は鷹野の子ども時代だったことに驚いた。
さまざまなことが最後に種明かしされて圧巻だった。

本作に出てくる色も好きだった。
初めは吹雪で白・黒・グレーの世界だったけど、
だんだんと血の赤色が入り交じり、最後はお祭りや海・空の青が広がっていく様子を見て、
固く閉ざされた校舎(心)からの解放感と対比を感じられて良かった。


辻村深月さんの本は初めて読んだけど、約450ページ×上下という大作を最後まで緻密に書ききっていて、
純粋にすごい、、、と思った。

最後、角田さんが生きているような描写があったけれど、そこの解釈はまだ追いついていない。
もしかして、他の本に伏線が張られているのかもしれない、、、と思ったり。


まだ1回読んだだけだから、深い湖の表面をすーっと走っただけのような気がするけど、
それだけでもこんなに面白いし読み返したい!と思えた。


辻村深月さん作の、別の本も読んでみようと思う。

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