こういう人が受かるんだろうなってわかるけど、目指そうとは思わない

先週、初めて出版社以外の選考を受けた。

結論から言えば、(選考は落ちているだろうけど)結構面白かった。出版内定者に「他業界も受けまくりました!」って人が一定数いるのもわかる気がする。

先週の選考は、説明会の途中で自己紹介があり、そこで主に選考された。一人当たりの自己紹介時間、約五分。それでも「あ、この人は通過するんだろうな」「あ、人事はいまこの人のこういう所を評価するんだろうな」とただボケっと見ていた私にも実感できた。今まで集団選考をほとんど受けたことない自分にとってはめちゃくちゃ新鮮だった(こらそこ、「五月にもなってほとんどないんですか?」って顔しない!(怒))。


例えば、同じグループにいたAさん。彼女は一番に手を挙げ、自己紹介をした。見るからに体育会系のさわやか女子。

「本日は貴重なお時間を頂きありがとうございます!!」

彼女のこの一声で、空気がピリッと変わる。先程まで人事が「みんなよろしくね~ほわほわ~」とした説明会が、一気に選考色に染まる気がした。

(あ、挨拶ってしなきゃいけないんだ~。さすがやね~。てかリモートなのに大きい声出す意味ってあるのかな~。イヤホンだからドーナツちゃんびっくりしちゃったよもう~)
私だけほわほわな雰囲気のまま彼女の自己紹介を聞く。この時点でもう負けである。

「私が一番力を入れたことは…~!!」
その後彼女は、力を入れてきたバドミントンのことを話し始め、その後に最近の趣味の話も始めた。お茶目な話題も少々。
完璧である。満点の自己紹介である。人事も興味津々である。彼女はこの選考、間違いなく通過するだろう。


次はBくん。Bくんはなんとなく自信なさげに、もぞもぞとしゃべりだした。

(あ、これが俗にいう「ハキハキしてない」しゃべり方なのかな?)そんな最低で失礼なことを考えていた(ごめんねBくん)私の考えはこの言葉でひっくり返る。


「ぼく、このようにうまくしゃべれなくて…」


(こやつ、自覚している……!!!!!)

その後、Bくんは自分の喋り方の弱点から、直そうと挑戦したこと、そしてその短所を生かしたなんかいい感じのことや、それとリンクした志望動機を話し始めた。


「就活は、自分を知ったもん勝ちです」「自分がどのようにみられるか知ることが大事」
内定者の言葉を思い出す。このBくんは自分がどのようにみられるかわかっており、かつそれを努力して克服しようとしているエピソードを披露し、向上心をアピールしている。さらにそれを志望動機につなげている……。

………こ、これが就活か。

Bくんはおそらく選考に通過したと思う。こんなこともう当たり前で、この時期の就活生はみんなできているのかもしれない。でも、私は初めてマニュアルの言う「短所は克服エピソードをいえばおk」の意味が実感できた気がしたし、それを志望動機につなげればさらに強いことがよくわかった。Bくん、すげえよ。


その後のメンバーもみんなすごかった。全員見事に、ガクチカやら趣味やらと志望動機がリンクしている。なんか色々リンクしている。そして説得力がある。人間性が見えてくる。ただただすごい。

(ほえ~。みんなこうやって自分を創り出しているんやねえ~)
すごく感心した。これは悪い意味ではない。就活ってどうしても自分を創り出す、というか売り出す部分を絞らなければいけない。そうしないと面接官が、ESや15分の面接で理解しきれないから。自分にはいろんな長所があるし、いろんな強みがあるはずなんだけど、就活は面接官が感じることがすべてだ。てことは、一つに絞った方が絶対にわかりやすい。なんなら全部つながっているとなおよい。

学生時代力を入れたこと、なんて聞くけど本当に力を入れたことをただ言えばいいわけじゃない。もちろん言っていい場合もあるけど、志望動機とブレるなら志望動機に近づけたガクチカを言ったほうがいいに決まっている。本当に頑張ったことは追加エピとして付け加える程度でいいと思う。要は相手が理解できるか納得できるか、それだけなのだ。



マニュアル就活が大っ嫌いな私は、全ての設問に選考を意識した回答をすることが嫌だった。ガクチカを聞かれれば一番頑張ったことを言ったし、志望動機を聞かれれば素直にその会社の志望動機を言っていた。

しかし、そのおかげで先週の選考で私はかなり浮いていた。悪い意味で
なぜなら「人生で力を入れたこと」を聞かれているのに「こいつガクチカを言っているな」感満載だったからである。みんな人生を通じて頑張ったことを言っているのに、私だけ思いっきりガクチカ。

いや、だってしょうがないじゃん、人生で一番頑張ったこと、これなんだもん~~~~~。ガクチカ感満載だし、志望動機とリンクできてないし、人生を通じてない感やばいけど、これが一番頑張ったことなんだもん~~~~。てかガクチカ式伝え方しか知らないんだもん。

でもなぁ~~~~、人事の反応悪かったんだよなぁ~~~。私だけ質問タイムもそんな興味なさそうだったし。多分、伝え方を変えれば別にこのエピソードでもよかったのかなと思う。ガクチカ特有の結果主義じゃなくて、頑張った過程とか面白かったことを言うとか。でもそんなとっさな対応できなかったし、頭も回転しなかった。結果、ガクチカ的の話し方で言っちゃったよワロタ。普通に失敗しました。


マニュアル嫌いとかいうくせに、一番マニュアル感満載だったのは私だったという、ね。
みんな志望動機と人生で頑張っていたこと、最近ハマっていたことが見事にリンクしてたからか、なんかすごく説得力ある。準備がすげえ、結局就活って準備なんだなあ~、いかに売り込む部分を作りこむかなんだな~と思った。



そして、さらに思ったのは、エピソードがリンクしていても、ハキハキしゃべっていても、別に通過するわけじゃないんだろうなということ。
集団選考をみていても、「あ、この人は通過しそう」「この人はエピソードがリンクはしてるけどあんまり印象残らないな」って何となくわかった。いや、一就活生がなに人を見定めてるねんって感じだけど。でもなんとなくわかった。

そして思った。就活って、世渡り上手、なぜか周りから愛された人、第一印象が良くとらえられる人が優遇されるゲームなんだな、と。

よく「面接さえ進めばすいすい選考が進んで内定とれちゃいました~」って内定者がいる。あと、一次面接や二次面接くらいはだいたい通過するタイプ。そういう人、絶対これ。ぜっっっっっっったいこのタイプ!!!!!

私はわりと、第一印象は多分そこまでよくなくて、後から挽回していくタイプだ。話しかけづらいと言われるし。最初の数日はそこまでみんな反応よくない。でも慣れてくると普通に先輩にも好かれるし、友達もわりといる(自分で言うな)。そんなタイプ。

私のこと、初対面から、「この人(私のこと)好意的じゃん!」って人、そこまで見たことない。
それって、就活じゃ致命的じゃない?絶対15分じゃ私の印象微妙なままじゃない??? 
出版就活200倍(各選考は3~5倍だけど)に勝ちぬけなくね??最後の数人に残れなくね?????


今日、集団選考を受けて、なんとなく
「人事はこういう人は無条件で通過にするんだろうな」
「人事はこういう人に『人当たりが良くて明るくて前向きです』とフィードバックを出すんだろうな」
とわかった。私も、(慣れれば)わりと周りから好感触だし、明るいタイプだけど、多分私にその評価は下されない。
そして、これは業界に限らず共通なはずだ。多分。どこも受かる人って、いるよね。

ただ、「こういう人が通過しやすい」っていうのが分かったからと言って、じゃあそういう人になりたいかというと、そうは思えない
たとえば、体育会系のAちゃん。私も体育会系だし、彼女みたいなタイプをたくさん見てきた。私も彼女みたいにさわやか女子を演じようかと思えば、数か月かければできると思う。でも、やらない。私のなりたいわたし像じゃないから。私が思い描く、社会人像じゃないから。


ただ、彼女の「最初に挨拶する」とか、「姿勢を正す」とか、「何もない時も口角をあげる」とかは参考にしようと思う。素敵だし、普通に大事なことだと思うから。
でも他の部分は、たとえ通過率が悪くとも変えたくない。醸し出す雰囲気も彼女のほうが印象いいんだろうけど、変えたくない。

私は私のなりたい社会人像を目指す。彼女を真似したくない。多分これからも一次~二次選考には落ちると思うし、彼女たちみたいに楽々通過なんて高倍率業界に限らずないと思うけど、数をこなして「私のなりたいわたし像」をうまく伝えられるように頑張りたい。


という私の日記noteでした。プライド高いね、だから失敗するんだよ、なんて言わないでね。



でも正直、初めての出版業界以外の選考はすごく興味深かった。この時期まで出版しか見てなかった甘々就活生だったことへのツッコミはさておきね。

初めて【出版業界を受けてない就活生】を見るのも新鮮だった。
趣味読書が当たり前じゃない世界。本が大好きなことが前提じゃない世界。「寄り添いたい、活力になりたい、誰かを笑顔にしたい」そんな量産型志望動機が飛び交わない世界……

逆に、今回受けた説明会の業界は、「お客様に~」とか「自分の力を試したい~」とかそんな志望動機が多かったように思えた。


業界が違えば求められてる人材、集まる人材、よくある志望動機、評価されるポイント、どれも違う。
そして同時に、出版以外の世界の中に飛び込んだ時に見える「自分」って結構違うんだなぁと実感した。

私は結構、出版就活生としてはThe・量産型☆って感じの就活生だ。
漫画大好き、文章書くのも好き、陰キャ☆、人のいい所を探すのがうまい等々。「私が人と違う所」といわれたらそこが思い浮かぶんだけど、これって出版業界じゃ死ぬほど量産型だ。割と似たような所を言っている人をよく見かける。

でも日常生活では量産どころか、周りから浮いていた(もしくは違った)部分だったので、そこしか人と自分の違いなんてわからなかった。
でも違う業界に行くと、そこにはそこの量産型がいる(失礼な言い方でごめん)。出版とは違う量産型だ。そこと自分を比較すると、その業界では当たり前だけど、出版にとっては当たり前じゃない長所、短所、志望動機自己PRの別の練り方に気づける。そう思った。


割と当たり前のことかもしれないけど、それを実感できて楽しかった。今後も、説明会兼選考会にじゃんじゃん行きたいねえ。そしてみんなの志望理由を聞きに行きたい。自分がどこが浮くのか、逆にどこが量産型になるのか確かめたい。そしたら自分がよりわかる気がする。来年の出版再挑戦につなげられる気がする。あ~やっぱ、一旦(出版以外を)22卒で終わらせるのもったいないな。もっとやりたい!!!!


おやすみ。


p.s.
あ、でもいくら「他業界を見て私がどこを浮くか探したい!」っていっても今回のガクチカ事件は別。あれは普通に質問に答えられてないだけ。