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酒場は人なり

「文は人なり」は、文章に書き手の人となりがわかるという意味ですが、これは酒場にも当てはまると思いませんか。

几帳面な大将の店は、店先から店内までピシッとしています。醤油差しに入る醤油は常に補充されていて、液垂れなんて皆無。暖簾はアイロンがかけられ、品書きの文字も丁寧です。そうした大将の人柄を感じてか、客層もピシッとしたタイプが多く、全体的に引き締まった雰囲気に包まれていきます。

いい酒場は、いい大将(女将)がいる店です。親しみやすい大将の店には、温厚な常連さんが集まり、毎晩の店の雰囲気もあたたかいものになるから不思議です。

厨房や客間の清掃や補修といった目に見えるものだけでなく、店を包むオーラまで大将の人柄が強く反映されています。もちろん、料理にも人柄が出ます。手間が掛かるわりに高い値段をつけられない「ポテトサラダ」や「玉子焼(だし巻き)」にも手を抜かないのは、そういうタイプの店主だからでしょう。これらが美味しい店は、刺身の仕入れや鮮度にもうるさいはずですし、煮物、揚げ物も期待できます。だからこそ、個人店を訪ね歩くのは楽しいのです。

人柄が現れるから酒場は楽しい

「そうそう、こういう店あるよね」と思っていただくために、タイプ別の「酒場は人なり」を整理してみようと思います。

伝統継承型

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