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「俺、コロナ」にうんざりしたの

「俺、コロナかもしれない」

平日。
4歳の息子を叩き起こし、寝ぼけ眼の口にパンを突っ込み、ようやく着替えさせ、さあ保育園へ出発…というところで、朝の忙しい時間を悠々と寝て過ごし寝室から抜け出してきた夫が、額を抑えながら深刻そうに告げる。

まあ、そう言うだけあって心なしか顔色も悪い気もするし、覇気も無い。

しかし、そんな深刻な報告をされた妻である私は「ふーん」とだけ呟き、息子と共に玄関に向かう。
私にとって、夫の「俺コロナ」より、息子の保育園送迎の方が重要度が高いのだ。

なぜなら、夫はしょっちゅう「俺、コロナ」だからだ。

少し熱がある(気がする)
1時間以上電車に乗った
会社の人で、コロナ陽性疑惑が出た。

ちなみに夫は、緊急事態宣言以来リモートワークで会社に行くことは無い。
コロナっていうのは、ネットを介して感染するのか?

こんな感じで、事あるごとに発せられる「俺、コロナ」に、私はもう本当に、うんざりしているのだ。




話は変わるが、現在全国的にもコロナは収まるところを知らず、猛烈な勢いで感染を広めている。
それに対し、有効な手立ては無く、ただ「自粛してくださいね」とアナウンスがあるぐらいだ。
しかし、繁華街をはじめ、年末年始のこの時期に人出は増加傾向にあるという。

「気の緩み」とか、「警戒心が足りない」とか、色々な事は言われているが、やっぱり、私みたいに「俺、コロナ」にうんざりした人たちが、いつもの日常を取り戻そうとしているんじゃないかな、思ってしまう。

感染者数も、病床のひっ迫状況も、
数字に出され、ニュースで声高に叫ばれても、今年始めからずっと言われていた「俺コロナ」を、ずっと怯えて暮らすことはできない。

恐怖は、持続しない。

感染を叫ばれても、自分や周りが感染していないから、それより優先するべきことをやっている、というのが正直なところなのだろう。


しかし、夫のように「俺、コロナ」と言い続ける人もいる。
うんざりはするが、この人たちは常にコロナは身近な存在である、と認識し続けている、とも考えられる。

何が正解か。不正解か。
どうしたら、感染は止められるのか。

私の行動一つで、劇的に世界が変わるわけでは無いけれど、それでもうんざりしながらも、警戒心を持って行動することが、今できる事なんだろう。






「じゃあ、熱測って部屋から出てこないでね」

そう考えなおした私は、夫にペットボトルと体温計を投げ、家を出た。




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