見出し画像

酒屋八兵衛〜前年度と今年度の造りの違いについて〜

今回のテーマは【前年度と今年度の造りの違いについて❗️

まず、何故昨年と今年で造り方が変わったのか…大きな要因は杜氏が変わったこと!

昨年まではご兄弟のお父様である元坂新さんが杜氏を務めていましたが、今年から元坂新平さん、彰太さんのご兄弟が杜氏を務めています。

というわけでゲストは元坂酒造の元坂兄弟。
お馴染みの兄・新平さん

画像1

そして、初登場の弟・彰太さん

画像2

//お手柔らかにお願いしまーす。乾杯‼︎\\

\\乾杯〜🍶🍶//

画像4

元坂兄弟の思う山廃純米(火入れ)の30BYと1BYの違い

昨年度(30BY)
しっかり発酵させてアルコールを得ていたこともあり、搾り立てはパワフル👊で香りもあり、複雑味を持つ味わい。
きちんと寝かせて円やかにさせて飲むのが理想的なお酒🍶
《酵母:7号(k701号)》
酸の出かた→酸味の先行型で白ワインのような酸味

今年度(R1BY)
口当たりは透明感があるが、喉奥に連れて膨らみのあるお酒。寝かせてなくても搾り立てから美味しさを楽しんでもらえるお酒🍶
《酵母:mk1》
酸の出かた→甘みが先行型で酸は穏やかで丸い

この飲み比べセットはこちらでご購入できます
→https://kuraken.base.ec/items/28732975

今迄の八兵衛をガラリと変えるのではなく八兵衛の良い所(膨らみのある個性の部分等々)は引き継ぎつつもステップアップを図りたかったのです!!!👆
※生と火入れで今期は酵母を変えています。

実際に造りを変えてみて…

2人での杜氏業は初の1BY。まずは2人にとっての酒造りのスタンダードを築きたかった!

だけどそう上手くいかないのが酒造り。

レシピをしっかり決めてその通りに作ったとしても、その年のお米の出来具合、気候、等々様々な要因に影響されてしまい思い通りにいかない!!

6ヶ月間の造りを前期、中期、後期の三段階に分けて例えるならば

前期:10月〜11月頃、手探りの時期、情報等に惑わされてしまい我を見失うことも…

中期:12月〜1月頃、立て直しの時期、自分達の酒造りの組み立てが出来てきた

後期:2月〜3月頃、成果が感じられた時期、自分達の酒造りがモノになった

という風に初年度、結構前期〜中期において手こずられたのだとわかりますね🤔

しかし、後期において自分達の目で経験で積み重ね、《純米大吟醸雄町》は形になりいい出来だったそうです👌

さて、ここからは"造り"について詳しく解説していただきます‼︎

一麹二酛三造り

これは酒造工程の大切さを表したもので、酒造りにおいて重要なのが「麹造り」「酒母造り(酛)」醪を仕込む「造り」といわれます。


《麹について》
お酒の裏ラベルに原料《米、米麹》が書いてありますよね?

米は農家さん(もしくは自社)でつくったお米を使います。

では米麹は?
これは酒蔵で造られるモノ!!

簡単に言うとお米に麹菌という良いカビを生やしたものを育ててそのカビを増やしていくのが麹作りです!!

何故麹が必要なのか?

それは糖分を作り出す為!!

お米、炊き立てのご飯そのものにはそもそも糖分がありません🍚
じゃあ何故ご飯を食べると甘く感じるの?

それは口に入れた際に唾液に含まれる酵素がお米のデンプンを糖分に変えているからなのです。

糖分が無ければ発酵が出来ない。発酵が出来ないという事はそう!アルコールに変えれないという事!
それではお酒は作れませんよね?

米麹は酵素を持っているお米です。

米麹が持つ酵素→
お米の持つデンプンを糖分に変える→
酵母がその糖分を二酸化炭素とアルコールに変える

これが酒造りのメカニズム☝️

ここでちょっと酵素を深掘り!!
米麹の持つ酵素は2種類あります。
[αアミラーゼ]お米の外側に付く酵素。デンプンの繋がりを切断してマルトース(糖分)という数個の繋がりを作る。
[gアミラーゼ]お米の内側に付く酵素。数個の繋がりのマルトースを1つずつ切断してグルコース(糖分)を作る。

画像7

この酵素の2つの量感が実は凄く大事🧐(酵素力価)

元坂酒造の理想の麹は締まっている麹!!

締まった麹というのはαアミラーゼよりもgアミラーゼの方が多く存在しています。

締まった麹は簡単に言うとパワフルな麹です。
20日〜ある醪の育成期間に最後までアルコールを作るのに必要な糖というエサを供給していくことが出来ますが、緩んでいる麹だと育成途中でエサを供給することが出来なくなってしまうのです。

その為、締まった麹だとお酒造りのコントロールを行うことができるんです!!

米麹作りはただただ米に麹菌を増やせば良いのではなく、どういう麹菌をどのように生やしていくかが大事なのです!!😤

《酒母(酛)について》
山廃という酒母は、健全でタフな酵母を育てる為の、ハードにゆらゆらと揺れるゆりかごのようなもの。
こちらは「酒屋八兵衛×手取川×秋鹿〜山廃編〜」にてたっぷりご説明していただきましたので下記URLをご参照ください。
https://note.com/syunraisyunrai/n/n2258bdbb19be

《造り(醪)について》
ここからは醪の経過簿を見せていただきながらお話ししていただきました👀
『元坂兄弟がどのようなところを見ているのか⁇何故そのようなグラフになったのか⁇』

画像3

※*マークの用語の説明とグラフを照らし合わせながらご覧ください。

*三段仕込み
❶添…少ないロットで少しづつ発酵を促す(酵母はいっぺんに糖を食べられないため)
《踊…添えで仕込んだ醪の酵母を活性化させる。(酵母を増やす)》
❷仲…踊りで酵母がたくさんいるから活性が保たれてる‼︎
❸留(初日)…以降2日目、3日目となる

画像6

*温度について
例えば…①
添の13.5度。
 温度が高い→酵母は元気
 温度が低い→米の糖化(糖分が先行する醪)
上記の条件で、この醪にとっては拮抗した温度なんだそう💡

例えば…②
3日目〜の醪の温度。
米感の残る醪だし、本当はもうちょっと低い温度の推移で抑えたい‼︎
何故なら…
米を糖化したい‼︎かつ、最初から醪の温度が高いと酵母が元気になりすぎて最後までもってくれない可能性が…(酵母は自ら出したアルコールで弱ってしまう)

しかし、温度操作は、その年の米の状態や気温、設備によってかなりコントロールが難しいそうです🤔

*ボーメ
エキス分。麹が出す糖分の比重のこと。
(ボーメ3≒日本酒度-30)
ボーメは数字が増えるほど比重が大きい、つまり糖がいっぱい溶けてるということになります。(3日目は7.7→搾るときは-0.3になってますね‼︎)

醪の製造経過でボーメはどのように変化するでしょうか。
下のグラフはB曲線というもの。
赤線にご注目ください📈(青い線は醪の温度)

画像5

赤い線の山⛰になっているところ(35ぐらい)は一般的にかなり低い値だったそうで、
この原因は『米が溶けにくかった』からだったのではないかということでした。

ちなみに、『麹の力で米がよく溶けた』場合…
・醪の温度を低く保つ
・水をあげる(糖が多すぎて酵母が動けない)

ここ❗️かーなーり迷ったそうです…❗️

水をあげるとたしかに酵母は元気になる‼︎
…がしかし‼︎味が薄まってしまう…

いかに味を残すか❗️葛藤の連続です🙄

💡水をやるタイミングの違い
〔前半〕糖分を薄め酵母を活性化させるため(アルコール度数12度ぐらいまで)
〔後半〕アルコール度数を薄めるため。アルコールが出過ぎると酵母が死んで(←この耐性は酵母によります‼︎)アミノ酸が出て雑味や重たさに繋がる。

こういった見極めは杜氏さんの技術と経験によるものなのです👏👏

*上槽
日本酒度、アルコール度数、アミノ酸度などの目標数値を定め、その目標に達した時やっと搾ります。
今回アミノ酸度は、もっと麹によるアミノ酸を出したかったそうですよ〜🤓


今期の反省、そしてこれから

今期は、前期〜中期にてこずってしまったので、今後もっと打率を上げていきたい!データを残しながら、僕たちの肌感覚も磨いていこう‼︎

というお二人が印象的でした☺️


さて、

次回《酒屋八兵衛の会》のお知らせ

今後の元坂酒造のオンライン酒の会&kurakenの予定になります!!

●5月18日(月)20時〜21時半
【元坂酒造×書道家 万美】

R1BYより一新した酒屋八兵衛のロゴを手掛けた書道家、万美さんをお招きしての対談!!
誕生の秘話等も聞けちゃいます!!

https://facebook.com/events/s/%E5%85%83%E5%9D%82%E9%85%92%E9%80%A0%E6%9B%B8%E9%81%93%E5%AE%B6-%E4%B8%87%E7%BE%8E/566192620947522/?ti=icl

●5月24日(日)13時〜14時
【kuraken〜元坂酒造vol.2〜】

オンライン蔵見学第二回!自然栽培米のスタート!!

https://facebook.com/events/s/%E5%85%83%E5%9D%82%E9%85%92%E9%80%A0%E3%83%8F%E3%83%BC%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%AB%E9%85%92%E8%94%B5%E8%A6%8B%E5%AD%A6vol2%E8%87%AA%E7%84%B6%E6%A0%BD%E5%9F%B9%E3%81%AE%E5%A7%8B%E3%81%BE%E3%82%8A/245782103204818/?ti=icl


●5月25日(月)20時〜
【元坂酒造テイスティング勉強会!!】

テイスティングについて色々お伺いできます🙆‍♀️
こちら参加をご希望の方、詳細が気になる方はご連絡下さい!
イベントの詳細をご連絡させて頂きます😎



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?