【毎日更新5】センスの良い差し入れ

2024年5月11日(土)

老いがすぐそこまで迫っている。

30才を過ぎて、そう感じることの多くなった私は、よく分からない成分のクリームを毎日6種類塗って寝ている。
たぶん、6種類も塗ったら逆に良くないことは薄々気づいている。

そんな話を方々の高座でしていることもあってか、最近お客様から「美容系の差し入れ」を頂くことが多くなった。

先日、不適な笑みを浮かべたお客様から「とにかくつけてみてください。驚きますよ」という文言とともに、謎の小瓶に入った『怪しい液体』を落語会終わりに頂いた。

その夜、お風呂上がりにその液体を恐る恐る肌につけると、瞬く間に私の肌はぐわっと熱くなり、燃えるような灼熱地獄に襲われた。
その時、私はこう思った。

「やばい。変なものを混ぜられた」

命を危険を感じた私は、急いでその液体の正体を調べると、それは『高級ビタミン美容液』だった。
31歳にして初めて、ビタミンを顔につけると耐えられないくらい熱くなることを知った。

また別のお客様には、特別な歯磨き粉を頂いた。
「昇咲さん。この歯磨き粉は使った次の朝、起きてすぐにキスをしても大丈夫な口になるという代物です。」

私の心はまんまと高鳴った。
その夜早速使って、お布団に入って寝るまでの間、「明日の朝、俺の口の中はどうなっちゃってるんだろう」とどんなに私がウキウキワクワクしたかは、きっとあなたには分からないだろう。

私も30才を超えて、いろいろな人にプレゼントを贈る機会が増えた気がする。

相手の心をワクワクさせる、そんな贈り物が出来る人間になりたいものである。