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バイト先の棒

日本という国は、セックスレスがむしろマジョリティです、という話を目にすることが多い。良く読む女性誌には、それの特集を組むことが多いような気がする。

気がする、というのは私がそれを気にしているから、セックスレスに関する情報に目ざといのか。おそらくそうなのだろう。それが良いことなのか悪いことなのか、良く分からない。夫婦間の絆?そんな幻想に酔いしれているのは、きっと結婚していない女だけだ。
結婚して、子供ができてからは、夫には男性としての魅力を感じることなく、それは全て子供を育てるためのモチベーションに変わった。
それでも家庭が円満なのは、その部分に目を瞑り、夫と二人で子供の健やかな成長、そして幸せを願うことに神経を注いでいるからだ。

そんな私でも、時折、男性に抱かれたいと思うことはある。ここで言う男性というのは、夫ではなく、別の男だ。
不倫をしたいのかというと、そこまでではない。ストレートに言うならばセフレがほしいということになるのだろう。
家庭は壊したくない。だが面倒なやりとりもしたくない。
そんな想いを抱きながら、日々悶々と暮している。

自宅の近くにファーストフード店ができるとTwitterでフォローしている地域情報のアカウントで見たのは、まだ記憶に新しい。それから本当にお店ができ、半年経ったくらいでお店がオープンしようとしていた。オープニングスタッフ募集!という張り紙が、その店の前に貼られていた。それだけではなく、自宅にもポスティングされていた。この地域は若い世代が多いはずだから、わりと集まっているのではないだろうか、と訝しげに考えつつ、しかし、この専業主婦生活に少し何か刺激が欲しいと思っていた矢先だったのもあり、夫に相談することにした。夫は、まるで何も考えていないかのように二つ返事で、オッケー、いいんじゃない、ただし家庭のことは疎かにしないでよ、と言い放ち、風呂へ向かっていった。私とはもう目も合わせない。私はそれを寂しいとすら思わない。そんな程度の夫婦関係だった。

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