旬野夜彩

旬のものとともにある日常を。

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残り続ける日々の光景

朝6時15分。 7時前には出勤する夫に合わせて竹子は起床する。 まだ布団の中で起きるのを渋っている夫を残してキッチンに立ち、朝食の準備をする。炊飯器から茶碗にご飯をつぎ、冷蔵庫で保存していたカボチャのポタージュを電子レンジで温める。和洋折衷な朝ごはん。 眠そうな目でご飯を口に入れる夫を見ながら、夫が出勤したら二度寝をしようかと考えてみたりするが、朝早くから出勤している夫のことを考えると、自分だけ二度寝をするのは罪悪感があり、結局コーヒーを淹れて飲むことで目を覚ます。 12時か

    • Feeling good

      予報では今夜降ると言っていた雨は、昼前には降り出した。3月下旬も雨が続き、4月になっても雨予報が続く中、昨日までの4日間は貴重な晴れ間で、桜もようやく陽の光を浴びることができたと言わんばかりに咲き始めていた。そんな時に雨に打たれることになり、春の空気には消化不良感が漂っていた。 朝食後の食器洗いや洗濯など一通り家事を終えて、窓辺にあるテーブルに向かう。椅子に座り、パソコンを開き、白紙のページを前に今日1日を思い浮かべる。特に大きな予定は無いため、淡々と過ぎていきそうだ。 退職

      • 例年より遅く桜の蕾が開き出した時期、竹子はそれまで勤めていた会社を辞めた。これまで、平日は片道1時間半かけて満員電車で職場に行き、同僚や上司に囲まれながら仕事をこなす。1日の大半が、周りにたくさんの人がいることを避けられない時間だったけれど、今では、意識しないと誰にも会わず、1人で過ごす時間がほとんどだ。話し相手といえば、専ら自分、そして夕方仕事から帰ってくる夫。会社に行けば、仕事があって、降り掛かってくる物事に対処していれば、自分が少しでも何かを作り出している気になり、とり