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『VUCA(ブーカ)』とは 飲食店の為のマーケティング基礎知識

コロナ禍で、ちょくちょく見かけるようになっている『VUCA(ブーカ)』とは 飲食店マーケティングの為のというワードご存じでしょうか? 経営戦略や人材の採用や教育の話などのビジネスの世界でも2010年頃から使われるようになってきたワードですが、外食産業にいるとあまり聞きなれない言葉かと思います。

 最近、ここの重要性を改めて再認識しましたので、『VUCA(ブーカ)』について解説をしていきたいと思います。

1.『VUCA(ブーカ)』が言われ始めたのはいつ?


 もともとは、1987年のアメリア陸軍戦略大学のカリキュラム開発資料に出てきたのが最初らしいです。結構経営系のワードは軍事からの転用が多いですよね。(戦略、戦術やロジスティックス、サバイバルなど)冷戦後終結後の国際情勢を意味する言葉として使われ始め、その後2010年頃からビジネスシーンでも使われるようになってきたようです。

2.『VUCA(ブーカ)』のそれぞれの意味は?

・V:Volatility(ボラティリティ:変動性)

 インターネット普及後が顕著ですが、これまでの延長線上ではない急激な世の中の変化が起きるようになっています。コロナがきっかけになったという事もありますが、テレワークやSNS、サブスクサービス、フードデリバリーなどの浸透が起きました。また、その中での消費者の価値観の変化や多様化が起きています。

・U:Uncertainty(アンサートゥンティ:不確実性)

 大規模な自然災害や今回のコロナのような伝染病やウクライナでの戦争など予期の出来ないことや膨大な情報の中にFake Newsなどが紛れることで正しい情報が選別できないといったこともある意味このUncertainty(不確実性)ともいえるでしょう。

・C:Complexity(コムプレクシティ:複雑性)

 生産や調達をはじめ、様々な取引や情報のボーダレス化が進み、飲食店であってもそのビジネスを構成する要素が複雑になって来ています。食材においても世界的な動きの影響も大きく、燃料価格の高騰や戦争による食材の輸出入の変化や円高による価格変動等々複雑にかみ合っています。

・A:Ambiguity(アムビギュイティ:曖昧性)

 インターネットの普及による情報の多様化および即時性の向上により、人々の価値観も多様化し、またその変化のスピードも速くなりました。それ故に一つの事象においてもその解釈の仕方は人それぞれで、以前のように画一化されにくくなっています。ここで言う曖昧性は、一つの事に対しての解釈の可能性が複数あるといった意味合いです。

 まさしく、コロナ禍でVUCAがより高まったと言えるのではないでしょうか?恐らく、テレワークやフードデリバリーの習慣はそれがなければここまで短期間で浸透しなかったでしょうし、このコロナ後の外食の状況を予測することができた人もいなかったでしょう。AI化も思った以上に進んできており、AIに仕事を奪われることが遅いだろうと予測していたクリエイティブ系の絵や音楽のジャンルが真っ先に奪われかねない状況になりつつあります。

飲食店でも『VUCA』を意識して、今後の戦略を考えていく必要があるでしょう。

3.『VUCA』時代の変化

これまでも『VUCA』時代ではあったのですが、恐らくここから数年がAIの進歩と共にさらに凄い勢いで変化が訪れると個人的には予想しています。

①人々の価値観の変化

 これまでの常識の否定、新たな非常識の肯定が生まれる。

②時代変化に対応したサービスや商品の出現

 一方で、これ間になかった価値観や生活スタイルから全く新しいサービスや商品が誕生する可能性も非常に高く、ある意味ゲームチェンジのチャンスが誰にでもあるとも言えるのではないでしょうか?

③さらなる予測不能な変化

 個人間だけではなく、国家間での予測できない変化(戦争や金融危機、パンデミック等も含め)、AI、メタバース、DAO等の最新テクノロジーの発達などが絡まりさらに予測不能な変化が起きると思います。

そんな『VUCA』時代を生き抜くためのフレームワークとして『OODA』ループといったものが提唱されていますので、紹介したいと思います。

4.OODAループ

PDCAに似ているのですが、環境変化の激しい時に対応したフレームワークです。もともとは戦闘機の勝率を高める為の手法でした。

①O:Observe(観察)

市場や顧客、競合などの対象を観察・調査し、客観的な生のデータを集める
 ※過去の経験や常識にとらわれない

②O:Orient(状況判断、方向づけ)

情報を分析して、現在の自店舗の置かれている状況を客観的に判断する

③D:Decide(意思決定)

Orient(状況判断)で得た情勢の仮説に基づき、論理的な意思決定を行う

④A:Action(行動)

Decide(意思決定)によって決定された方針に従って実行
その後にまたObserve(観察)に戻り、OODAのループをもう一度繰り返します。

※PDCAとの違い

 個人的には、そのベースにある思想の違いが一番大きいかと思います。PDCAは、計画作成から入るので組織として計画が共有されるため、全体の統制が取れやすいといった面があります。一方で計画作成に時間がかかり、その後に進まないといった事や細かい環境変化に弱いといった面があります。
OODAの方はどちらかというと、『状況を見てとりあえずやってみる』といったアクションを施してくれるフレームで現場の状況に合わせた臨機応変な対応がしやすいといった面が強みとなっています。
メリットとしては、
・状況を見て、その場で判断ができる
・現場に即した有効な行動がとれる
・自ら考え、判断、行動する組織つくりができる
・改善のスピードが上がる

デメリットとしては、
・思いつきや感情で行動する個人の増長
・中長期的な計画立案ができなくなる
・検証結果が残らず、共有もされないことが多いため暗黙知が発生する
といった面もあります。

『VUCA(ブーカ)』時代にPDCAが悪いという事ではなく、OODAの思想を組み入れ、ハイブリッドにして、もっとスピーディーに改善を行えれば、より相乗効果を発揮するでしょう。

一番の重要視すべきことは、改善のサイクルのスピードを速くすることだと思います。ここが遅いと環境変化についていかれないといった事は明白であることと過去の延長線にないVUC時代の変化においては、どれだけ過去の分析をしても答えは出ない=綿密な計画は立てられないという事。にも関わらず従来のPDCAにとらわれてPに時間を費やしても無駄が多いという事です。複雑な関連性の中で明確な指標を見つけることが出来ないからと言って施策を打たないのは単純に時代に置いていかれるだけです。


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