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料理エッセイ お弁当の時間

 ANAの機内誌「翼の王国」に「おべんとうの時間」というフォトエッセイが載っている。写真は阿部了さん。文は妻直美さんという御夫妻が作者だ。
 昔から、乗ると必ず読むほど好きで、高じて今、単行本になった「おべんとうの時間」シリーズを四冊持っている。

 子育て中のある時期、毎朝、最多で5個の弁当を作っていた。
 共稼ぎだったので、夫と自分の分。高校生の上の子二人の分。末っ子の中学生の塾前の夕食だ。
 料理は若い頃からの趣味だから、調理するのは苦ではない。
 趣味になったのは、自分が美味しいもが大好きで、外食して感激した食べ物を、家へ帰ると作らずにはいられなかったから。

 詰めるのは自己流のルールに則ってやっていたが、見栄えと好物優先を望む子供たちを満足させるのは大変だった。
 色きれい・汁なし・においなし・煮物なし。肉、揚げ物がっつり・・・。

 自前のルールとは、全体のバランスを整えることだ。
 主食と副菜は、半々。副菜の半分は野菜。残りはタンパク質。
 野菜は生と過熱したものが半々。タンパク質は肉と魚と大豆製品と卵料理のどれかを2、3種類。
 あとは色。赤・白・緑・黄色・黒に気を遣う。
 書くのは簡単だけれど、実践には根気と知恵が必要だった。
 時には茶色ばかりと文句を言われても、味と栄養だけは自慢のお弁当だった。

 阿部夫妻の本の、手作り弁当の周りには楽しそうな、嬉しそうな表情が必ずある。
 美味しいものを食べて不機嫌になる人はいない。
 お弁当は、健康と幸せを運ぶ、素朴で単純な方法だ。 

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