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大学卒業後はじめて早稲田大学のスタバに行って泣く
ちょっとした用事で、早稲田大学のキャンパスに入った。
袴を着て戸山の坂をくだった以来だった。
夏休みということもあり、校内が空いていたし、私がいた時にはなかったスタバができていたので入ってみることにした。
と、隣の席でなにやらビジネスをしているような学生がいた。インターンシップなのだと思う。いつの時代にも一定数の学生はこうなるんだなと思った。
macを広げ、ターゲット層がどうとか、遡及がどうとか、電話で話している。
学生時代、一瞬だけ、彼らに対して引け目を感じていたことを思い出した。
当時はなんで自分はこういうメンタリティに産まれてこなかったのだろうと思ったことがある。
でも今なら言える。ダサいよ、と。
「大学構内で偉そうな電話をしているやつを見かけたらおままごとをしていると思え」
卒業生の私からの遺言だ。いや、おままごとだけでは可愛い。もしかしたら愛しいなという気持ちが芽生えてしまうかもしれない。やはり
「大学構内で偉そうな電話をしているやつをみたら、公然オナニーをしていると思え」
と言いたい。オナニーであれば公然わいせつ罪でお縄になってもおかしくない。私たちはそれくらい不快なものを見せつけられている。彼らは、大学内で何者にもなれない自分に嫌気がさし、大学でお門違いな仕事ごっこをし、自尊心をしごいているのだ。大学生は時間がある。人生の夏休みに将来に悩み、足掻くのもまた一興だ。彼らは「わからない」「時間がある」から逃げているだけだ。
社会に逃げて、一足はやく大人になっているつもりだろうが、それは一足早く日本社会のホモソーシャルと年功序列に足を踏み込んでいるにすぎない。
そういえば、トミヤマユキコ(早稲田大学の教授)が編集実践(雑誌を作る授業)で、いつもmac片手に忙しそうにしている7:3分けの学生に「どんなプレゼンをしているんだろう?」と楽しみにしていたら、「早稲田の校内でパンチラが拝める場所特集」という性加害めいた企画を持ってきたというエピソード書いてたなあ……
私の大学生活は、うつむいて36号館でご飯を食べているような生活を送っていた。サークルの幹事長、インターンをしていてmacを片手に仕事をしている学生、ヨッ友がおおい赤い髪の学生。それは選ばれた人だけが出来ることだと思っていた。実は、彼らは偉いわけではないのに。
水族館の魚の群れのように流れゆく学生たちをフラペチーノ片手に眺める。
芋っぽい子が髪の毛を赤髪に染めているが、眉毛と色があっていない。
大人びて破天荒に見えていた人も、ただ脱色したにすぎない。
タバコを吸っていてイキっても、寿命が短くなるだけだ。
偉そうにmacを持って電話片手で移動している子も、企業からしてみたら学生の低賃金の労働力としか思われてないはずだ。(よっぽど優秀な学生が、囲い込みをされているという場合もあるが)
「ワーハッハ」「ギャハハ」「ウェッフェッ」
笑い声が響く。うるさいな。苦手な喋り方だ。
声を張り上げているのは、周りにアピールしているからなんだろう。
私は大学生のときに、人間が全員嫌いだと思っていた。
でも、小さい世界だったんだなと思う。
早稲田大学は、高校で勉強を頑張った人がいけるユートピアでは全然なかった。
大学を卒業すると、ホモソーシャルと年功序列という環境に否が応でもいかなければならない。忌まわしき日本社会。ここで、私たちは60歳まで働かないといけない。早稲田大学は、その前兆だったんだ。
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