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バチェロレッテと岡村のMC

私は、現代日本のジェンダーに関わる問題に興味がある。
それと同時に、恋愛リアリティショーが大好きだ。
急速に価値観が変化しているこの社会の中で、アマプラ配信番組「バチェロレッテ」の司会者ことナインティナイン岡村さんのMCに疑問を感じている。
先日「バチェロレッテ2」の配信が終わったばかりだが、未だモヤモヤが残るので、論点を整理しながら書いていく。

○岡村隆史ってどんな人だっけ

岡村隆史といえば、コロナ禍で女性の貧困が問題になっている中、「コロナが明けたら可愛い人が風俗嬢やります」という発言を物議を醸した。

発言後、相方の矢部からラジオで公開説教を受けて「言ってもらって、自分が気づいてなかった部分もあったと思います」と謝罪をしている。

50代まで気づかなかったというのが恐ろしい……
ラジオでは矢部が指摘していたが、岡村がお笑いというホモソーシャルなカルチャーに所属し、特定の女性と向き合うこともないため考えが矯正されることもなく、深夜帯のラジオだったことなどがこの炎上に至ったのだと思う。

反省の姿勢を示しているとはいえ、女性の尊厳を低く見積もり、男性が消費する側であるという意識を持っているのは、「かっこわるい」と思った。

○バチェロレッテの司会でかっこ悪いと思うところ


参加者を見て「バチェロレッテJAPANって言うてるのに明らかにJAPANじゃない人紛れ込んでましたからね」という外国人差別。(その後も、外国籍参加者を執拗にいじり、SHELLYに「国籍で見過ぎ」と注意される)
「こういうふうにして女性をモノにするんやっていうのをこれで勉強したいなと思ってる」という女性をモノ扱いする発言。
萌子さんに対して「強い」「普通の男は逃げる」「常に上(の立場)にいる」と発言。
最終回の決断の前の萌子さんに対し、「1番綺麗じゃなかった」と発言。


製作者の意図として、「モテない男代表・岡村」と「モテる男代表・矢部」が感想戦をして、それを「女代表・SHELLY」がツッコミを入れるという構成にしたいというキャスティングなのだろうが、上手く機能しているとは思えない。

岡村と矢部は旧知の仲であり、ふたりは同じホモソーシャル村の出身である。岡村がトンチンカンな発言をするが、矢部は岡村をフォローせず流している。
この空間で、SHELLYが二人のホモソーシャルお笑い芸人の軌道修正を任せるのは重すぎだ。

彼女の持ち味であるポリコレ要素は、女性しかいないバラエティ「Wの悲喜劇」(Abema)のような言論の安全が保たれているときしか発揮されないのだろう。バチェロレッテのSHELLYは「行きたくもない飲み会に誘われて、仕方なしに相槌を打つ役を徹しているけど、このおじさんたちとは何を話してもわかり合えないと根底で思っている」ようにしか見えない。
本当にときどき、さらっと岡村の発言を修正しているが(波風を立たせぬようサラッと言っている努力が垣間見れる)、岡村には響いていない。

ラジオでも問題になった岡村隆史の低い意識は、健在である。
そもそも、恋愛リアリティーショーにおけるMCとは、視聴者の声を代弁してくれる存在であるはずだ。
岡村隆史の声を、「全視聴者の声の代弁」としてMCにするのはズレがありすぎる。

いやいや、ズレてないし、男性はみんなこういうことを思っているよ。この番組は男目線で観て欲しいという意図なんだろう」という意見もあるかもしれない。
しかし、この番組は「女性が男性を選ぶ物語」だ。
男女逆転といっているくらい「女性優位」で物語が進んでいくのに、岡村は「女性が男性よりも強いのは許せない」という様子。MCとしてミスマッチだろう。

バチェラーのMCが男性2・女性1にするなら、バチェロレッテ男性1・女性2の人数構成にしてもらいたいと思う。 
恋愛リアリティショーは木村花さんの件もあり、出演者側のプライバシーが侵害される危険性がある。そこで、バチェロレッテを優しい目で見守らず、保守的な男性目線で糾弾するMCは問題だと思う。制作者側に疑問を感じる人はいなかったのだろうか……

○嫌なら見るな?

「嫌なら見るな」。
この一言は、岡村隆史が「めちゃイケ」バッシングを受けて言ったことだ。
バチェロレッテのMCを批判したら、岡村はまたこう言うのだろうか?

私は岡村隆史のコメントが嫌だが、バチェロレッテが好きだ。
最初は気色悪い企画だと思ったが、恋愛という不確定なゲームバランスの面白さや、参加者一人ひとりの魅力が存分に伝わる美しい人間ドラマだと思う。
出演者が「恋をした」とわかった瞬間のときめきにはキュンとする。
正直、最近放送されているフィクションの恋愛ドラマよりも面白い!!

福田萌子さんのように女性のダイバーシティーをインプルーブする姿はみていて面白かったし、尾崎美紀さんのような「Forbes 30 Under 30 Asia」に選ばれるようなバリキャリ女性の意外な一面も見れて、これをみて女性起業家を目指す人も増えると思った。

だから、MCが視聴者のノイズになってほしくない。

スタジオトーク回などは特に顕著だ。
岡村がその場を回すと、ホモソーシャルなノリで、男子校みたいになる。
バチェロレッテ2では、岡村さんは「見るからにモテなそう/最初に落とされそうだと思った参加者」こと阿部大輔さんがお気に入りだった。スタジオトークでは脱落順番問わず一番MC寄りの席に座らせ、大半が阿部さん弄りでお腹いっぱいになった。参加者ひとりひとりがどんな思いがあったのかを深掘りしてほしいと思う。

どうか、岡村隆史が、自分の歪んだ女性観に気づき、聡明で自立した女性という存在をリスペクトしてほしい。
視聴者と同じ目線でバチェロレッテを見てほしい。
偏ったコメントをせずに参加者全員を応援して欲しい。
それができないのであれば、バチェロレッテ3からはMCを降りてほしい。

◯以下はただの悪口


岡村隆史のコロナ発言でびっくりしてしまって、二度とテレビで見たくないと思っていたから、Amazonの、しかも先進的な女性の物語のMCになっているのにびっくりした。
ラジオで矢部が指摘していた通り、岡村がとりあえずパーソナリティとして女性のことを寄り添えられる人だとは思えない。ラジオの発言については、反省し、謝罪をしているが、バチェロレッテを見る限り、あの一件を機に考えがアップデートされたとも思えないのだ。

もしも、岡村はバチェロレッテに参加者になったとしたら、初回落ちすると思う。好きな人を喜ばせようと努力し、相手の気持ちに寄り添い、積極的に将来像を考える……そうした経験をもってからこそやっとMCができると思うのだ。

岡村は、常に男性が女性を選ぶ側に立っていると思っているのだろう。「風俗発言」然り、数万円払えば可愛い女の子を抱けると思っているからこういうことになるのだろう。

岡村の過去について、真剣に恋愛をしたことがないからこうなったと、ラジオで矢部が指摘していた。
そのせいか、岡村は、真剣に恋愛をしている男性参加者を馬鹿にしているように見える。振られて涙している参加者をいじる。視聴者が気持ちが入っているなかでそういう態度をとられると一気に興ざめする。

矢部も、モテてきた男性だが、どこかいつも自分本位で、モテてきた男性特有の女性を物扱いするフシがある。妻・青木裕子の前で浮気を繰り返した、みたいなエピソードをめちゃイケで話していたよなあ……

そんなわけで、バチェロレッテのときのSHELLYが楽しそうではないし、いつもの先進的な意見がでてこないのが、期待外れ。

シリーズ3になるときはMCをがらっと変えて欲しい。

バチェ''ラー''MCにも問題はあると思うが(指原が女性参加者のルックスを比較するような発言をしたり、今田が失礼な言葉をいったり)、それよりもナインティナインは早急に変えるべき問題だと思う。


もう無理だよこういうの。

本気で「女の幸せは金持ちの男に嫁ぐこと」だと思ってそうな人に、自分で稼げて一本足で立っているバチェロレッテのことなんてわかるわけないよ。



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