もう誰も私を結婚式に誘わないでくれ【アンチ結婚式過激派のひとりごと】
つい先日、高校時代の友人から10年ぶりにLINEがあった。
「久しぶり!元気?今度遊ばない!?」
こういう誘いは保険の営業か宗教の勧誘だと身構えたが、せっかくなので会ってみると、結婚式に招待したいというものだった。
招待客の数十人の中の1名に選ばれたというのは、素直に嬉しい。
「え〜結婚するの〜お・め・で・と〜〜!」
と高校時代の自分の振る舞いを召喚して、いつもより1オクターブ高い声を上げた。
それから半年経って、結婚式に関する情報収集をしている。
例えば、ドレスを一着購入するにも
「白いドレスを着てはいけません」
「肩を出すドレスを着てはいけません」
「離婚を想起させるのでバイカラーを着てはいけません」
こんなにマナーがある。
だるい。
面倒臭い。
「新郎側の大半は黒いスーツを着るので、新婦側は華やかになるようにカラードレスを着るのがいいでしょう」
は??
だったら!!新郎側にも!!カラースーツを着用させろよ!!
カラードレスにしても、新婦のお色直しの色と被ってはいけないとか色々あって面倒臭い!!
なんで!!せっかくの土曜日を、参加費3万円を払って、他人の引き立て役にならないといけないんだ!!
ていうか、10年も連絡をとっていない高校の同級生を結婚式に呼ぶというのは、どれほど参加客が困窮しているのだろう。
色々絞り出した末にここまで声をかけてきたんじゃねーかクソ女!!
私は決して彼女と仲良くなかった。高校1年生のときの仲良しグループの一人で、その後クラス替えで疎遠になり、大学進学を機に連絡が途絶えた。
仲良しグループとは言ったが、彼女は複数人いるグループ内で「先週Bちゃんと一緒にオープンキャンパスに行ってきたんだよ〜」と私を省くことが多々あった。今では仕方ないと思うが、多感な女子高生はもやもやしていた。
私もそんな単純じゃない。
軽んじられていたかつての友人に3万円払って「引き立て役」になることはできない。
そこから想起されすべてのことに対して苛立ちが隠せない。
どうせ、「友人代表」には選ばれず、知らない人のスピーチを聞くことになる。
「両親への手紙(笑)」という茶番を聴きながら泣くふりをしなければならない。
「めっちゃいい結婚式だったよ〜〜〜〜」と声を上げて写真を転送しなければならない。
「◯◯ちゃん、綺麗!!お姫様みたい!!」と誉めて写真をいっぱい撮らなければならない。
新郎側の友人から「新婦のお友達ですか?」という話をかけられ、「本当に幸せそうな二人ですよね〜」みたいな社交辞令をしながらホステス役をしないといけないんだろうな。
式の最中も「この結婚式で3万円かあ」「早く帰って寝たい」という気持ちになるんだろうな。
結婚式という馬鹿げたウエディング産業の阿漕なビジネスに乗っかってしまった馬鹿な友人と心の中で蔑んでしまうんだろうな。
これが仲がいい友達だったらまだわかる、、いや、わからない。
私の友人になるような人は、結婚式ビジネスを斜に構えていて、ほとんどが家族単位かウエディングフォトをするくらいにして、その分を新婚旅行とかに充てる人だ。
私の一番の親友は、結婚からくる日本の戸籍制度・家父長制・夫婦同姓に批判的で、大体がパートナーシップ制度に留めている。結婚式なんかやるわけない。
東京都写真美術館のロベール・ドアノーの展覧会に行った。
ドアノーはフランスの国民的写真家だ。
その中でも、結婚式の写真を並べたチャプターに心惹かれた。
この写真を見て泣きそうになった。
フランスの片田舎で、有名人でもなく、お金もかかっていない。手作り感溢れる結婚式に、参加している親族は皆嬉しそうで、これからの二人の門出を心の底から祝っている。
牧歌的な風景の中、愛が輝いている。
名前も知らないその新婦の今後の幸せを心から祝福したいと思った。
◯◯ホテルやるんだよね、
とか、
ブライダルエステに通っているんだよね、デコルテを綺麗にしたくて、
とか、
ウエディングドレスはどこのブランドでお色直しは◯回するんだよね、
とか
かけ離れていた。
「ああ、私、結婚式、欠席の連絡を出そう」と思った。
「結婚式 欠席 連絡」と検索したとき、この知恵袋が目についた。
不参加にブチギレて「どういう神経をしているんでしょう」「さらし者にしてやろう」となるようなピリピリ感と、ドアノーが切り取った幸せそうな新婦の微笑みは結びつかない。
こんな感じに思われるんだろうなーと思いながら、ちょうどいいお断りの文章をコピペして送信した。ここまでの逡巡でだいぶ心のメモリが割かれた。
もう誰も結婚式に誘わないでほしい。
日本の結婚式、3万円もご祝儀を求めるなんてあんまりだよ。韓国の、誰でも参加O Kの参加費0円のパーティー形式ならまだしも。
せっかくの休日、交通費やヘアセット代やドレス代をかけて、面白くもないコンテンツを見ながら、ブーケトスで気を遣わなければならないなんて嫌だ。
3万円かけるなら劇団四季を見に行きたい。S席買えるし。
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