白い鱗の蛇
白い鱗の蛇が 一疋
私の生命に鋭い睨みをきかせている
私は立ちすくみ 恐れおののく
白い鱗の蛇が 一疋
しずかに 身をよじりながら
此方に向ってくる
彼は 私を呑もうとしているのではないらしい
しずかに 私に何かの
教えを説こうとしているらしい
白蛇の言葉を私は聴いた
なかでも〈ただ 神秘のみを愛せ〉という
言葉はただただ有難かった
白い鱗の蛇が 一疋
私の生命に鋭い睨みをきかせている
その眼光は冷たく その眼差しは温かい
やがて去ってゆく 白い鱗の蛇を
私は先生と呼びたかった
━━夕焼け空は音もなく闇に堕ちていく…
(2023.11.16)
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