夜空に星が光るころ
夜空に星が光るころ、
娘はひとりで寂しかった。
ひとりのかなしみに娘が泣く時、
夜風はやさしい歌をうたうように吹いた。
悲しまなくていいように、
ひとりで泣かないでいいように。
ひとりじゃないと云うように。
夜風は明るく、ほがらかに吹いた。
夜空に光るお月さま、
娘の泣きやんだ時のためにと
星々にやさしく云いかけて、
皆でさらに明るく光った。
やがて娘が泣きやんだ時、
「顔をお上げ」と夜風が云うと
そこには満天の星々の祈り。
もう泣かないでいいように。
娘は涙を拭いたあと、
何も云わずに見とれてた。
夜風がひとつ歌をうたうと、
娘の顔に笑顔が戻った。
(2024.11.30)