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好調サイバーエージェント 機器から育てたテック路線(日経ビジネス2022.01.17)

なんだか毎回トップ画像が同じような感じのものになるな。テーマが似通っているんですな。ということで、今回はサイバーエージェントについてです。

好調サイバーエージェント、その理由は?

サイバーエージェントが絶好調。
なぜかというと、大きいのが「ウマ娘」の大ヒット。21年9月の連結売上高は6664億円(前年比39%増)。営業利益も3倍の1043億円といずれも過去最高。時価総額に至っては業界最大手の電通と競っている状況。あの天下の電通と渡り合えるところまで来たベンチャー企業というのが本当にすごいですよね。インターネットという分野にいち早く目をつけ、そこに特化してきたからこそなのでしょう。
しかし、それ以外にも好調の秘密はあるみたい。
強みは広告制作。ネット広告では最適な広告をAIが判別して出稿する運用型広告。AIを使うことで30〜40%も広告効果が高まるそうで、今まさにサイバーエージェントはテクノロジーに力を入れているんです。
もう人間が広告媒体を選んだり、制作物を判断する時代は終わる。それは多くの広告代理店の危機を意味します。かくいう僕も広告制作業を営んでいたこともあって、その恐ろしさたるや想像に難くない。というか、そもそも広告業ってかなりガバガバなところがありまして笑。テレビCMなんかぶっちゃけ効果がわからないし(視聴率はわかるけど、あれも実際あてにならんし)、媒体の選び方もなんとなくテレビ、新聞、ラジオやっておきましょ〜、なんてのはザラだし。特に僕の住んでいる地方都市なんてかなり適当な感じがしました。そこにテクノロジーがやってきて、GoogleとかFacebookとか少額から誰でも広告が打てて、しかも効果検証もしやすいとなると、そっちに流れていくのは当然ですよね。そこに人材を投資して、AIが広告を判断できるまでに育てたサイバーエージェントは本当慧眼がすごい。
サイバーエージェントはこの技術にかなり投資していて、研究開発組織「AIラボ」という部署が存在し、38名の研究者が日夜研究に明け暮れているそうです。大きい企業の特徴として、研究開発にどれだけ投資できるかってのも重要ですよね。アマゾンがいい例ですけど、アマゾンは売上の殆どを研究開発に使うから毎回最終的に赤字。でもその研究費の額が半端なくて、はたから見れば一体そんなに金をかけて何を研究することがあるんだと思うんですよね笑。研究だけしてればいいなんて、いい仕事だなぁとか思ったり(怒られるぞ)。
さらにサイバーエージェントを支えているのはゲーム事業で、そのヒットの確率の高さも特長。そこにもテクノロジーが寄与しているようです。技術力を高めればヒットの確率は高まるという実感があるみたい。しかし最近のゲームはほんとすごいクオリティですからね。逆に少しでもクオリティが低いと感じたらユーザーは離れていくのは分かる。ユーザーの目がどんどん肥えてるから。
また、サイバーエージェントにはアイディアを生み出し人材を育てていく仕組みもあります。それが「あした会議」。役員一人ひとりが、社員をスカウトして新しいビジネスを創出し、アイディアを練る。そこから子会社が30社以上も生まれています。
前回取り上げたソフトバンクの15年ビジョン会議に似ていますよね。やっぱり未来を見据えてアクションを起こしていくってのは大事なんですな。それを仕組み化できているのがよいですよね。たぶんその姿勢が社員たちも未来志向になって、成長を促す空気が醸成されるのではないかと想像します。なんとなく新規事業立ち上げなきゃ〜っていい出すのはダメなんでしょうな。というか未来の共有が一番大事ってことですな。
ただ、サイバーエージェントの課題としては、まずメディア事業がずっと赤字のこと。もう一つは海外展開をしていないこと。それが今後どういう手を打ってくるのか楽しみです。

内製化はしていくべきなのか?

内製化するのか、アウトソーシングするのか。この課題はある意味永遠の課題かもしれません。
規模が小さいときはできるだけアウトソーシングしてリスクを避ける。内製化すると便利にはなるけど、コストがドンと乗っかるので、損益分岐点が必然的に高くなる。だからリスクが上がる。リスクは少ないけど、動きが遅かったり、小さなことが頼みづらかったりと不便を許容するのか。はたまた、リスクを背負ってその分頑張るのか。
僕は創業から従業員を雇っていました。僕はどうも内製化思考があるみたいで、というか内製化でしか本当にいいものは作れないと思っているからなんですけど。そもそも仕事をするのに、単にプロジェクトだけを遂行すればいいと思っていません。僕の会社を興した目的は「楽しい会社」を作ること。楽しい仕事をするためには、大前提として同じマインドを持っていないといけないと思っています。それは一朝一夕に同じになるものではなく、地層のように一層一層重ねていくイメージで、じっくり時間がかかるもの。だから社員という形でそばにいてもらって、僕の意識を共有して、将来どんなことをしたいのか、いや会社をどんな風にしたいのかを、同じ気持ちで考えて貰う必要があって、それだと仕事だけを頼むアウトソーシングじゃとても無理だなと思っています。社員とは毎週「心の勉強会」と「ブレスト」を開催して、「未来会議」を月1回、さらに毎週「戦術会議」で短期の戦術的な話をしています。それでやっと心が一つになっていく実感があって、今後もどんどん内製化していきたいと思っているんです。
でも、どんどん人を入れられるわけじゃないですよね。お金が必要になるし、それだけの売上がないと持たなくなりますから。そこが非常に悩ましいところ。人を入れて質を上げて勝負をかけに行くのか、はたまた売上が上がるのを待って上がったら人を入れていく。昔、先輩経営者に相談したら、当然後者だろと言われまして。いや、僕も頭では分かっているんです。だけど、先の成長を考えたら、儲かったら人を入れていたら、その後のブーストが弱くなる気がしていて。人を入れて育てていく中で売上が上がっていくんだと思っているフシがあって。他社の事例で言えばそれこそサイバーエージェントも創業期は売上に見合わないでかいオフィスを渋谷に借りて、だからガンバロー!で一気に行ったし、ソフトバンクも初期の頃に、社員と同じ数だけの中途を入れろといって(しかも確か3日でw)、一気に成長させた。まぁでも彼らはゴリゴリ行くタイプの経営者なのでそれが可能だった思っていて、たぶん僕にはそんなに向いてないなと思います笑。いまデザイナーを募集しているんですが、実は入れるのか入れないのかすごく迷う時期で。デザイナーはアウトソーシングしやすいので、ギリギリまで入れずにいるのが最善なんですけど、早く仲間にして意識を共有して、細かいところとか色々やってもらって一気にブーストしたいなと。
僕はアウトソーシングはクオリティは高くなるけどスピードが落ちる。内製化はスピードが上がるけどクオリティは下がる。と思っていたんだけど、それをブレストで共有したら、いや逆だろと。外注はスピード、内製化はクオリティですよと言われて。とくにゲーム業界はそうらしい。あぁ、なるほど、僕は広告業界だったので、プロダクトが重層的なゲーム業界は確かに内製化したほうが相互に紐づく質が上がるから結果的にクオリティが高まるんだと納得しました。なので、メインの事業は内製化してやろうと思いましたね。僕で言えば謎解きですか。逆に、ウェブサイトとかマーケティング系はまだ外注と一緒にやったほうがいいかなって感じです。でもそれもやがて内製化していったほうがトライアンドエラーがしやすいので、そうなっていくのかな。でもリスクも増えるからなぁ。たぶんその判断をするのに、未来の読みが必要になるんでしょうね。だから未来を見据えるってのはめっちゃ大事だってことですな。

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