バグの原因１：後付けで納得してしまう「知恵バイアス」

　知恵バイアス(Hindsight bias)とは、過去の出来事があたかも予測可能であったように思ってしまうことです。突然、雨に降られたとき、なんで!?って思う一方で、「そういえば天気予報で言ってたよなー」、とか「雲行きが怪しいと思ったんだよ」、とか後付けで自分勝手につじつまを合わせようとしてしまいます。でも、雨に降られる前には予測できなかったわけです。
　突然思いもしなかったプログラムの挙動に遭遇すると、脳はその原因を探そうとします。非合理的であっても、なんらかの原因を見つけた方が脳は安心するからです。実は前から潜んでいたバグがあっても、しばらく見つけられなかったということはよくあります。潜在していて顕在化していなかったのです。顕在化した途端、「さっき手を入れた箇所が原因に違いない」と思い込んで、そこを一生懸命直そうとしてしまいます。でも、本当の原因は別のところにあるわけですから、いつまでたっても思うようになりません。
　こんな時は冷静にひとつひとつステップを逆に追っていって本当の原因にたどり着くしかありません。