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大規模プラントのデジタルツインのプログラミング

 以前の項目でも触れましたが、デジタルツインとは、現実世界を計算機上に模擬したデジタル上の双子です。設計段階では処理フローや運転条件などの検討に、提案段階では品質やコストを比較して顧客への最適な提案に、運転段階では実データとの差異をモニタリングして状態把握などに使うことができます。
 私は、水処理プラントのデジタルツインをプログラミングしました。水処理プラントには、きれいな水を届けるための浄水場、下水を安全に処理して海や川に放流するための下水処理場、海水を飲み水などにする海水淡水化施設、などがあります。家電や車などは、製品とほぼ同じの試作品を作って、性能やコストを見積もることができますが、大きな水処理プラントはそういうわけにはいきません。事前にシミュレーションすることになります。専用のソフトウェアもありますが、ここでも表計算ソフトの魔の手が伸びています。
 そこで、操作はなるべく簡単にして、詳細な設計ができるソフトウェアをプログラミングしました。水処理プラントは、基本的には入ってきた水をきれいにして出す、というものです。入ってきた水の水質は地域によってまちまちで、出す水質も用途や場合によって異なります。また、プラントで使う機械もたくさんの種類があり、その組み合わせも様々です。それぞれの機械の入出力の水質と水量を計算をモジュール化しました。機械によっては、1入力1出力ではなく、多入力多出力になります。また、機械の運転条件をモジュールごとに細かく設定できるようにしました。これらのモジュールをドラッグ&ドロップで繋げて、プラントへの入力水質と水量を設定すると、どのような水が出力されるか計算されるわけです。
 どのような設定にすればよいかは、ノウハウとして蓄積されます。それまでは、ベテランの設計者の頭の中にしかなく、必ずしも知識が十分に共有されていたわけではありませんでした。使えば使うほどノウハウが溜まって、みんなが再利用できる、というソフトウェアを目指しました。

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