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第77回 アメリカの科学研究開発局

1941年6月、ローズベルト大統領は、軍事目的の科学を統括するための科学研究開発局を正式に創設しました。責任者はやはり第一人者のヴァネヴァ―・ブッシュでした。ブッシュは大統領に言いました。
「原子爆弾の製造は非常に困難ですが、一つだけ確かな事があります。その爆発力は既存の爆発物の何千倍も大きなものとなりましょう」
そして後でブッシュはこうも思いました。
「そのような爆弾を発明して、他人の頭上に落とすのも悪くない」
自分自身の頭上になど落とされる筈がないという絶対的な自信の元での冷酷な考えでした。

早速、ローズベルトは有能な科学者を全米中から集め始めました。
その中に最初、オッペンハイマーは候補として入っていませんでした。ノーベル賞という実績を持っていなかったからです。
オッペンハイマーは、同僚のローレンス(ノーベル賞受賞者)などに声がかかるのを羨(うらや)ましげに見ていました。そして明らかに嫉妬を感じていました。
「何でこの俺が、こんな所に燻(くすぶ)っているのだ!」
プライドの高いオッペンハイマーは独り傷ついていました。(続く)

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