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第20回 業平と小野小町・僧正遍照(昭)(1)

仁明天皇が崩御されて、運命が変わった人がいます。
一人は小野小町。この世界三大美女に後年入れられる人は謎めいています。生年も不詳ですが、825年生まれ、というと業平と同い年です。
そして小野篁(たかむら)の娘だとか、出身が出羽(秋田県)だとかはっきりしません。だから「あきたこまち」という米の銘柄があるのですね。

そしてどうも仁明天皇に仕えていたらしいのですが、ただの官女か妃の一人である更衣か。更衣説が有力で、小町の歌は恋い慕い、夢の中で会ったなら覚めないでほしいと詠っているのでお相手は仁明天皇かとも言われています。更に実は小町には姉がいて最初に仁明天皇の更衣になったのは姉の方で姉が「小野町」と呼ばれ、妹なので「小町」だとか。

ところで同い年の美男・美女ですから二人の関係はどうだったのか?という事が気になりますよね。小中学校でも同じクラスに美男子・美女がいたら周りでくっつけようとした事はありませんか?(笑)
どうもはっきりした事は分からないのですが、『古今集』や『伊勢物語』(第25段)に二人の贈答めいたものが載っています。
業平「秋の野にささわけしあさの袖よりも 逢はで寝(ぬ)る夜ぞひぢまさりける」-秋の笹を押し分ける朝帰りの袖が露に濡れる以上に貴女に逢わずに寝る夜は涙で一層ひどく袖が濡れる事だー
小町「みるめなきわが身を浦としらねばや かれなで海人(あま)の足たゆく来る」-ここは海松藻(みるめー見る目)の生えていない浦だと知らないからか、漁夫(あま)がやめようともせずに、やってくる事だ。逢い見る気のないこの私をいやな女と思い知らずに、あの人はしげしげと通ってくるのだろうかー
まあ業平がかきくどくけど、小町に振られるという展開にしていますが、これは『伊勢物語』の作者が二人の別々の歌を並べてそれらしくしたという説が専らです。作者もやりますね!

小町は求愛してくる幾多の男性に振り向かなかったと言われています。「小町針」なんて言葉もありますよね。(説明カット)
小町に求愛してくる一人として「深草の少将」という物語の人がいますが、良岑宗貞ー僧正遍照がモデルの一人だとも言われています。
長くなってきましたので続きはまた明日!

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