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第146回 頼政謀反

清盛はこの頃延暦寺とは微妙な関係でしたが、しかし座主の明運(みょううん)とは仲が良く、丁重に招き、以仁王に協力しない事を取りつけました。そして近江米2万石、北国の織延(おりのべ)絹を3千疋(びき)を比叡山に送りました。比叡山の僧徒はこれを醜く奪い合いました。

治承4(1180)年5月21日、源頼政は自邸を焼き、家来たちと共に園城寺に参入しました。しかしその時、家来の渡辺競(きおう)は平家方に残っていました。競は平宗盛に忠誠を誓い、世間知らずの宗盛はそれを信じました。
清盛はこの謀反の張本人が源頼政と知って驚愕しました。
「2年前の師走に従三位に推挙した時は、源氏始まって以来の栄誉と、泣いて喜んでいたのに・・・何を思ってか・・・」
清盛は今にして、平家と源氏の複雑な因縁を感じました。
「結局は闘わねばならぬ相手だったのか・・・」
顔を皺くちゃにして喜んでいた頼政の顔がまた浮かびました。

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