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第55回 『紫式部日記』の開始
寛弘5(1008)年6月、中宮彰子一行は一度一条院内裏に還啓して主上と過ごし、そして再び7月16日、9月の産み月に合わせて土御門殿に退下しました。
その時、香子は道長から呼ばれ、ある命令を受けました。
「中宮様は必ずや皇子様を出産される。それまでの記録として日記を書いて欲しいのじゃ。あの『枕草子』を超えるものを頼む。内容はそなたに任せる」
香子は驚きながらも、落ち着いて尋ねました。「どのような事を書いてもよいのですか」
「うむ・・・まあ良い。任せたぞ」
道長は少したじろいだ表情となりましたが認めました。
こうして早速、香子は与えられた豪華な紙に日記をつけ始めました。
「秋のけはひ入りたつままに、土御門殿の有さま、いはむかたなくをかし・・・」(続く)
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