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第17回 ヒトラーの台頭

1929年10月にアメリカから起こった世界恐慌は特にドイツに深刻な被害をもたらせました。失業者はおよそ600万人、約45%が完全失業というとんでもない事態です。
1930年9月の選挙で躍進したのがヒトラー率いるナチス党と共産党です。
1889年4月生まれのヒトラーはこの時41歳。第一次大戦に従軍し、祖国の敗戦に憤っていました。そして、戦争責任の全てをドイツに負わせ、「天文学的数字」の賠償金を課してドイツ民族を「奴隷化」しているヴェルサイユ体制の打破と、敗戦後に成立したワイマール・デモクラシーの打倒を叫んでいました。

同時にヒトラーは、自信を喪失しているドイツ国民に、アーリア人種の優位性を説き、ゲルマン民族が東方に大帝国を建設する権利を有する事を、1924年獄中にいる時に執筆完成した『わが闘争』で述べていました。そのためにはユダヤ人を弾圧しても良いという主張もありました。
人々は最初、ヒトラーに懐疑的でしたが、自分たちを鼓舞してくれる、その雄々しい弁舌にこの新しきリーダーに賭けてみようという気になってきました。

1933年1月、ヒトラーはついに首相となります。ヒトラーは失業者を減らすために高速道路などの公共施設を次々と建設し、給料を与えます。
この資金はどこから来たのか?
実はドイツの共産化を恐れる富裕層がヒトラーを援助したのです。共産化されてしまったら、自分たちの財産が没収されてしまいますから。
そして短期間でヒトラーは世界で一番最初にドイツを恐慌から抜け出させました。ヒトラーを疑っていた人たちも今や一番信頼する人になってしまいました。世界はこれを驚きと不安の目で見ていました。(続く)

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