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第48回 堤邸に帰る。そして再出仕

道長はいわば社長で、新しい従業員、しかも人気流行作家が来たとあっては味見しない訳にはいきません。本で読んだのですが、平安朝の貴族は通い婚ですから夫人の家に行った際、貴族の姫ですから仕度に手間取るので、その間にお付きの女房と事前に事を済ますとか?

光源氏が言うセリフ「私は何をしても許される身なのですよ」という傲慢な言葉は、この時、道長が言ったのかも知れませんね。後でまた『源氏の物語』を編集したかも知れません。

しかし香子にとっては屈辱でした。ただでさえ緊張の女房初出仕。そんな時にレイプされた訳です。それに周りの女房にも筒抜けだったでしょうし。
たった3日で帰宅した香子を、為時は驚いて迎えたでしょう。(惟規は出仕していた?)しかし察した筈です。
口惜しい香子はこの時の事を、短編「空蟬」を書いたでしょう。空蟬の容貌の表現は面白いです。「目が腫れぼったく鼻も曲がっている。決して美人といえる相ではないがどことなく品がある」-これは香子自身の自画像ではないでしょうか?

なかなか香子が再出仕しないので、とうとう北の政所である倫子がお忍びで堤邸を訪れたと思います。夫の不始末を妻が謝罪すると言うのは政治家などよくある事です。
私も知人の妻が病院の看護師だったのですが、院長からセクハラされて訴えると言ったら、奥さんがとんできて、いっぱい進物を置いて謝罪にきたそうです。慣れているのかな?

2か月後の3月4日、天皇が一条院に遷御するという時に、香子は再出仕をします。かつて清少納言も道長派だと思われて居づらくなり里居していた時、中宮定子が住居を変える時に再出仕した事がありました。
私は拙著で、時々出仕する清少納言を永久に追放してほしいという条件を出したとしましたが、どうでしょうか?まあ小説なので(笑)

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