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第37回 コロンビア大での実験

小柄なフェルミは渋い表情をして言いました。
「私はウランから別の物質ができると仮定をしたが、核分裂の連鎖とまでは言っていない。だいたい実験をやったとしても成功率は10%だろう」
フェルミは「なぜあの時に核分裂を発見しなかったんだい?」という多くの人の質問に食傷気味でした。ウランの自然放射を防ぐために、薄い金属箔を間に挟んだのですが、それが邪魔して核分裂を見つける事ができなかったのです。
しかし、それは自分が間違っていると認める様なものでした。仲の良いラビが反論しました。
「それじゃ、10%で死ぬはずもないし、とにかくやってみよう!」
実検の準備費用はシラードが借金して工面し、ようやく1939年3月初めにフェルミはコロンビア大の装置を使って実行しました。そして核分裂から中性子が出て更に連鎖反応をするという実験は成功しました。

嬉しさと同時に悲しみがシラードを襲いました。
「これで莫大な量の連鎖反応が実現すれば、本当に原子爆弾が作られる可能性が分かった。世界はどうなるのだろう?」(続く)

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